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金融緩和で得をするのはメガバンク?・・・日銀によるリスクの肩代わり

2014-05-22 09:40:00 | 時事/金融危機
 

■ 異次元緩和の資金は何処へ行ったの? ■

異次元緩和によって2013年3月から2014年4月の1年間で日銀はマネタリーベースを73.9兆円拡大しました。一方、日銀の当座預金は同じ期間に70.5兆円増えています。

13年3月から14年3月までの間
マネタリーベース +73.9兆円
日銀当座預金   +70.5兆円


日銀が73.9兆円もマネタリーベスを拡大しているのに、市中に出回ったのは3.4兆円。これとて必ずしも事業の為に融資されたとは限らず、金融市場などへの投資資金になった可能性もあります。

■ メガバンクのリスクを肩代わりした日銀 ■

メガバンク各社は中長期債をせっせと日銀に売り(IMFの指導?)、日本国債の残存年数を極端に圧縮しています。これは金利上昇リスクに備える為ですが、一方地方銀行や信金などは長期債を大量に抱えたままです。

金融庁が何やら地方銀行の査察に入っている様ですが・・・・。

2015年の会計法の変更で、国債の時価評価は終了しますが、満期保有でも金利が上昇すれば確実に損が発生するリスクを日銀が肩代わりするのが異次元緩和の一つの目的かも知れません。

■ 金利はいつ上昇を始めるのか? ■

インフレと低金利が同時進行する現在の状況は非常に不自然で、インフレが続けば当然金利上昇がどこかの時点で始まります。

市場が金利上昇を予測していないという事は、どこかで景気が腰折れすると見込んでいるか、或いは日銀が異次元緩和を継続する限り金利が抑圧されると読んでいるのか?

経済学者とは違い、債権市場の関係者の興味は「金利は上昇するのか?」という点に集中している様に思えます。

日銀の当座預金の金利では預金金利と逆ザヤになるでしょうから、いつかはこれらの資金は日銀当座預金から炙りだされて来るはずです。それが国内に向かうのか、海外に向かうのかで、日本国内の状況も大きく変わるのでしょう。

日本に限らず、各中央銀行がジャブジャブと低金利の資金を供給する状況で、従来とは異なる市場の動きが発生している様です。市場関係者の多くが「異常」を感じながらも、資金が供給される間は踊り続けるしかありません。

「リーマンショック以降の危機は去った」と言われていますが、「金融緩和による危機」が密かに進行しているのが現在の状況だと私は考えています。

見えないリスクは無視するのが儲ける秘訣ですが、再びシステミック・リスクが発生すれば、世界は阿鼻驚嘆の様相を呈するのでしょう。

民間のリスクを中央銀行が肩代わりする先に何が起きるのか、或いは、三橋一派の主張の様に中央銀行はリスクフリーなのか・・・・。興味は尽きませんが、私達の生活は無関係では居られません。