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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

戦争を回避する為の陰謀論・・・「シラケ」てしまえば戦争は出来ない

2014-05-15 10:41:00 | 時事/金融危機
 

■ ベトナムと中国の確執の歴史は長い ■

かつて同じ共産圏の中国とベトナムが戦争をしていた事を知る若い人達は少ないでしょう。

「中越戦争」と呼ばれる戦争で、カンボジアの支配を巡る戦争でした。

カンボジアは中国の支援したポル・ポト政権が支配していましたが、「文化大革命」のカンボジア版とも言える大量虐殺によって国内ではポル・ポトに反抗する動きが高まります。カンボジアと国境を接していたベトナムはベトナム戦争で共産化し、ソ連との関係が緊密でした。

当時中国とソ連はアムール河(黒龍河)の国境線を巡って軍事衝突を起すなど決して中ソ関係は良好とは言えず、ソ連との関係が親密であったベトナムにとって、中国の傀儡政権であったポル・ポト政権は煩わしい存在でした。

ポルポトの圧政に反抗する形でカンノジアで内戦が発生すると、べトナムは反政府軍を率いるヘン・サムリンを支援する名目で、カンボジア領内に侵攻します。そして、ポル・ポト政権は打倒され、1979年1月にヘン・サムリン政権が樹立されます。

これに対して中国は50万の兵をを中国とベトナムの国境に集結させ、10万の兵力でベトナム領内へと侵攻します。主力軍をカンボジアに投入していたベトナム軍は、北部の戦線で後退を続け、ハノイ近郊に防衛ラインを築きました。

ハノイ近郊でベトナム軍の主力が合流した為、ここで戦闘は膠着状態となりまさすが、ソ連から武器供与を受けてアメリカ軍を撃破したベトナム軍は中国軍に引けを取らず、止む無く中国軍は国境まで撤退します。

それ以来、中越国境は緊張を続けていましたが、中国が改革開放路線を打ち出して経済発展を続け、同様にべトベムも資本主義経済を導入するに当たり、経済大国となった中国との関係は改善して行きます。

近年は中越国境では人民元で貿易決済が行われる程、緊張緩和は進んでいました。

■ 西沙諸島、南沙諸島における中越の対立 ■

南シナ海における中国とベトナムの対立は、最初はアメリカに支援を受けた南べトナムと中国の領土問題でした。
 
「西沙海戦」とも呼ばれる戦闘が、1974年に発生しており、装備に勝る中国海軍が南べトナム海軍を圧倒し、西沙諸島を占拠します。この戦闘ではアメリカ海軍が支援をしている事からも、東西対立の一環の中で行われた戦闘でした。

一方、共産化したベトナムと中国の間で1988年に南沙諸島の環礁の領有を巡って衝突が発生しています。この衝突は中越戦争の中で起きた共産国家同士の戦いです。

中国は南沙諸島(ベトナム名 チュオンサ諸島)を防衛するベトナム海軍に対して攻撃を仕掛けます。満潮時に海面下になる環礁の一つをベトナム軍が防衛していましたが、ほぼ無抵抗のべトナム兵士達を、中国海軍は艦船から銃撃し、100名あまりのベトナム兵の命が失われました。

中国とべトベムは当時戦争状態でしたから、この戦争においてどちらが悪いという判断は出来ません。しかし、無抵抗の兵士達を虐殺した事で、ベトナム人の中国への憎しみを深いものにしています。

Youtubeに当時の映像がアップされています。多分、べトナム人女性と思われるたどたどしい日本語のナレーションが付いています。



映像にある様に、ほぼ無抵抗な兵士達に、中国海軍は予告射撃無く、大口径の機銃を集中射撃しており、これは当時の海軍関係者にショックを与えました。ほぼ虐殺に近い状況です。


■ 国境を接する国に付きまとう領土問題 ■

私は中国が悪いともベトナムが正しいとも判断は出来ません。国境を接する国が戦争状態に陥れば、国境付近での戦闘は避けられません。特に制海権に絡む離島の領有を巡っては、両国が自国の正統性を主張して戦闘も厭いません。

特に当時は、ベトナムも中国も近代国家としては幼く、領土的野心を隠す事をしない時代でした。

■ 古くて新しい対立を刺激するのは誰 ■

問題は日韓の竹島問題や、日中の尖閣問題、フィリピンやベトナムと中国の間の西沙・南沙諸島問題など、昔から存在する領土的対立が、最近になってクローズアップされて来た事です。

直接的な原因は中国海軍が近代化によって沿岸海軍から外洋作戦行動も行える海軍に成った事にあります。中国は国益上、南シナ海や東シナ海の制海権を確立したいと望んでいます。

この地域の軍事バランスはかつてはアメリカの第七艦隊によって守られていました。第七艦隊に中国海軍は逆立ちしても適わないので、中国の制海権や領土的野心は抑えられていました。

同時に中国は経済成長を遂げる上でアメリカからの投資を必要としていましたから、表立ってこれらの地域で問題を荒立てる事を避けていました。

中国経済のアメリカへの依存度は以前低くは無く、さらに中国経済はアメリカの投資によって発展しています。その意味では、中国は現在もアメリカと対立を深めるメリットはあまりありません。

それなのに、尖閣を始めとする領土問題を活発化させています。一方で、日本やフィリピンやベトナムもこれらの地域の領有を巡り、中国を刺激する事を繰り返しています。

■ アメリカを引き止める為のヤラセ? ■

一部には中国を巡る領土問題は、アメリカ海軍のアジア地域からの撤退を引き止める為の日本やフィリピンやベトナムのヤラセだという見方をする人達も居ます。

しかし、アメリカは身勝手な国ですから、アジア地域で自国の利益が無いと思えば、第七艦隊を中国軍の脅威に曝す様な事はしません。とっとと、ハワイ-グラムラインまで後退します。

米軍は財政難回避と兵器の近代化の名目で、「トランスフォーメンション」と言う戦略上のロードマップを作成しており、世界各国から軍を引き上げる方向に動いています。

在韓米軍は2016年に撤退させると発表され、韓国での指揮権は米軍から韓国軍に移管される予定でした。沖縄在留米軍のグアム移転も、この流れの中で実施される予定でした。

■ 昨今のアジアの緊張はアメリカの戦略変更か、或いは置き土産か? ■

先日オバマ大統領が来日した際に、「尖閣諸島は日米安保条約の適用内」と明言しています。これは以前ヒラリー元国務長官も口にしていたので、アメリカが戦略を変更さいた訳ではありません。従来通りの立場を確認しただけです。

この発言に勢いを得た様に、安倍政権は集団的自衛権の確立に向けて本腰を入れ始めました。「アメリカが後ろ盾になってくれるなら戦争も辞さず」的な姿勢とも言えます。

しかし、グアムの米軍基地の拡張は着々と進行しており、アジアの海兵隊の主力はグアムに後退する事は確実な様です。

戦略的には沖縄の海兵隊基地は中国本土からあまりにも近すぎて、有事の際には中距離ミサイルの良い標的となります。ミサイルによる先制攻撃が可能な現代において、沖縄は既に戦略的な価値を失っているとも言えます。

もし日中間で尖閣紛争が発生した場合、中国が沖縄へのミサイル攻撃という冒険に出る可能性はゼロではありません。もし、米軍兵士に犠牲が出れば、米中開戦という事態が回避出来なくなるかも知れません。世界の安定の為には、米軍を韓国や沖縄に駐留させておく事はリスクになります。米軍はオバマ大統領の発言とは裏腹に、徐々にアジアから徹底して行くのではないでしょうか。

一方、米軍が抜けた穴を、日本やその他の国は自力で補わなければなりません。自衛隊は沖縄地域に戦力の移動を始めています。従来は「日本の覇権主義の復活」とアジア諸国の警戒を煽る為に控えていた戦力移動を実行する程、日中間の緊張は高まりつつあります。

こうして、アジア各地で中国との緊張を煽りながら米軍は軸足を中央太平洋に写し、アジア諸国は米軍から武器を大量に購入して中国と対峙する事になります。

これは従来の「オレが守ってやるゼ」という姿勢から「言う事を聞かないと守ってやらないぞ」という姿勢に変化している様に思われます。

米軍に直接被害が発生しなければ、アメリカが戦争に巻き込まれるリスクは格段に減ります。

■ 適当な緊張を演出しながら、アジアの盟主の座を獲得するアメリカ ■

アメリカは中国と全面的に対立する気などありませんが、領土紛争が発生して犠牲者が出れば、日本やその他のアジアの国と中国の関係は完全に断たれます。

中国があまり露骨な拡大戦略を取ると、アメリカが出て来ざるを得ないので、多分中国が侵攻するにしても尖閣諸島を占拠するとか、南沙諸島か西沙諸島で死者が出る様な小競り合いをするとか、38度線を越えて北朝鮮が韓国領内にちょっとだけ砲撃する程度だと思われませす。

しかし、これによって中国とアジア諸国は完全に対立し、アジア諸国のアメリカ依存が劇的に高まります。

アメリカは直接的な戦闘をする事無く、アジアの盟主に収まる事が出来ます。


■ ベトナム兵の虐殺映像を見て、日本の軍事費強化を訴える人は・・・ ■

私は陰謀論者なので、「戦争は世界を変革する道具」だと思っています。さりとて小規模な戦闘においても確実に誰かの命が失われて行きます。

「戦争を抑止する最大の手段は核兵器の保有ですが、それが認められていない以上、日本は軍備拡張によって中国軍が容易に戦争を起さない様にするべきだ!」というのが昨今の保守派の主張かと思われます。

しかし、悲しい事に、日本が軍備を拡張しようが、拡張しまいが、誰かが戦争を欲れば、小規模な紛争など簡単に起こす事が出来ます。


現代の戦争は単純な領土的侵略を目的とするのでも無く、相手を殲滅する事を目的とするのでも無く、単に「世界のバランスを変更」する為の道具に過ぎません。

そして、悲しい事に、世界の経営者が戦争を欲する限り、それを抑止する事は不可能なのでしょう。日本国民がどんなに憲法改正に反対しても、専守防衛を貫こうとも、中国がその気になれば、尖閣紛争は明日にでも勃発します。


それを防ぐ手立ては・・・国家の否定ですが、アナーキズムは諦めの一つに過ぎません。


私は、「世界は一部の人達にコントロールされている」と皆が信じる事で、現実的な危機のリアリティーが消失する事が唯一の私達に残された手段だと信じています。


「尖閣で衝突が起こりそうだって!!」
「イヤ、イヤ、あれ、ヤラセだから」


こんな具合に両国の国民が好い感じで「シラケ」てくれるのならば、それが一番なのですが・・・。




何故か〇〇平という中国の元首席の名前を書くと、ブログの一部、或いは全体が文字化けしてしまいます。これ、以前にも起きました。禁句なんですかね・・・。

金融抑圧の罠・・・低金利で日本の利益が失われる

2014-05-15 07:46:00 | 時事/金融危機
 

■ 低金利で国内でリスクに見合う金利が確保出来ない邦銀 ■


先ずはロイターのこの記事を読んで頂きたいと思います。

「焦点:追い詰められる銀行、商業銀行モデルが転換点」 (ロイター・5月14日)
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0DU10B20140514

簡単に要約すると・・

1) 日本の金利は極めて低い状態が続いている
2) 日銀の国債買い入れの拡大で国債金利が低下したので預金金利との逆ザヤが生じる
3) 住宅金利も非常に低い水準なので、預金金利との逆ザヤが生じる
4) 銀行は金利確保の為に海外投資の拡大に活路を見出そうとしている


これは金融資本家達の願望記事では無いかと思われます。

ところで、日銀は異次元緩和でマネタリーバースを大幅に拡大しています。本来ならば供給された資金は銀行を通して民間に貸し出され、実体経済を活性化するはずです。

ところが、金利が異常に低い環境では、リスクに見合う投資物件は減少します。日本の金融機関はリスクを嫌うので担保が取れる物件に投資が集中する傾向にあり、住宅ローンなどで過剰な融資合戦が発生し、ローン金利はどんどん低下しています。ゼロ金利で借り入れコストは最低状態ですが、一方で貸出金利の低下で収益性も低下します。

さらに、日銀の異次元緩和で新発国債の7割に相当する額を日銀が購入する事で、国債金利で利益を上げるという濡れてに粟の時代も終焉を迎えました。

国内で有望な投資先が見つからないので、邦銀は海外で資金を運用して利益を確保する必要が生じています。

■ リフレ政策では解決しないゼロ金利の罠 ■

リフレ政策に効果があったのか、無かったのかは意見の分かれる所です。

A) コアCPIが上昇した事から、リフレ政策はデフレ脱却に効果があった
B) コアCPIを上昇させたのは円安で輸入物価が上昇した為で国内の需要は拡大していない


私はBが正しいと思っています。これは単なる円安によるスタグフレーションに過ぎません。昨年前半は確かに景気が上向きましたが、これも株価上昇の資産効果と、公共事業拡大による名目GDPの拡大が観測されたに過ぎません。確かにアベノミクスに対する期待は一時的に高まりましたが、それも昨年後半には縮小してしまいました。

結果として国内金利は低位で安定し、日銀の低金利政策は金融抑圧政策となって国内景気にむしろ悪影響を与えています。

日銀の供給したマネーが国内で循環すれば日本は不景気を脱却出来たはずです。リフレ派の目的もここにありました。しかし、ゼロ金利の罠に陥っている状況では、いくら資金を提供しても有効な投資先は限定され、結果的に大量の資金が日銀の当座預金にブタ積されます。

■ 金融のグローバル化によって内外金利差によって海外に流出する国内資金 ■

リフレ派経済学者があえて目を瞑っている事があるとすれば、内外金利差の問題でしょう。

通貨の価値を毀損させてリフレ政策は実質金利を下げる政策です。これは為替相場の円安にも反映されます。一方、グローバル金融の時代には、投資における国境は限りなく低くなっています。国内金利よりも海外の金利の方が高ければ、資金はどんどん海外に流出します。

日本の金融機関は極端にリスクを嫌うので、リーマンショックの後では委縮して積極的に海外でリスクを取る運用は控えていました。しかし、日銀の異次元緩和というリフレ政策は、国内の実質金利を低下させているので、銀行は湯金金利の逆ザヤを埋める為には、海外で資金運用をせざるを得なくなります。

リフレ政策によって実体経済が回復するにうは時間差を伴います。一方、内外金利差は現状でも存在し、円安で実質金利差は拡大します。こうして異次元緩和によって日本の金融機関は海外に押し出されてしまうのです。

日銀の異次元緩和の発表時期がFRBのテーパリングの開始時期はリンクしていると私は考えています。緩和マネーに支えられた市場は、供給資金の減少で崩壊します。FRBが資金供給を縮小するならば、誰かがそれを補う必要があります。その役目を日銀が担っていますが、日本国内に資金が滞留していたのでは目的は達成されません。

テーパリングには米国債金利を上昇させる効果があるので、日米の金利差が拡大します。こうして、日本国債から押し出された資金は、米国市場や米国債市場へと誘導されます。

■ 国内で運用されなければ日本の景気は刺激されない ■

日銀の異次元緩和にも関わらず日本国内の景気回復実感は乏しい。これは、緩和マネーが国内で運用されずに日銀の当座預金口座にブタ積されている事に原因がありますが、預金金利の逆ザヤが銀行の経営を圧迫し始めれば、資金は日銀の当座預金から引きはがされて金利を求めて市場を徘徊し始めます。

国内融資で金利を稼ぐよりも簡単に海外投資で金利が稼げるならば、金融機関が海外投資を拡大するのは当然と言えます。

こうして、異次元緩和は国内の景気を刺激する事無く、国内の金利を抑制し続けます。

■ 低コストで財政危機を先延ばししたい財務省 ■

日本の人口動態はジム・ロジャースですら絶望的と表現する程酷い状態です。増大し続ける社会保障費と、減少し続ける労働人口を考えれば、景気回復による税収の拡大は限定的です。一方で景気回復が確実になれば金利が上昇し始めますが、累積債務がGDPの200%を超える日本の財政状況は金利上昇に極めて脆弱です。

既に消費税増税程度では改善が不可能な日本の財政を低コストで支える最良の方法は、日銀の財政ファイナンス以外には考えられません。

インフレによる債務圧縮も有効な手段ですが、現在の日本でこれを達成しようと考えると経済が破綻する様な高いインフレ率になります。これは最後の手段とはなり得ますが、現状選択出来る手段ではありません。

むしろ、国内景気が過熱しない様に消費税増税で水を差し、金利を抑圧して国内の金利獲得機会を潰しながら、日銀に国債を着々と買い取らせる事で日本の財政を延命させるのが一番確実な方法です。

■ 利害が一致した国際金融家と財務省 ■

財務省出身の黒田氏が異次元緩和に踏み切ったのには、財務省が日銀の財政ファイナンスを必要としている事が大きく作用しているでしょう。同時に日銀マネーを金融市場に供給させたい国際金融資本家達との利害とも一致します。

明らかに中央銀行の財政ファイナンスである異次元緩和が、国際的な非難を浴びず、円安政策とも言える異次元緩和を通貨マフィア達が看過している理由は、異次元緩和にQE3のバッファーの役目を期待しているからでしょう。

■ 景気回復を餌に釣られた国民 ■

集団的自衛権の確立や憲法改正など、安倍政権が本来の目的を遂行し始めました。

国民はアベノミクスに期待して自民党に安定多数を与えましが、日本の財政の継続性を考えれば景気回復は金利上昇による財政破綻を早めるだけなので、公共部門の支出拡大は2014年度予算では控えめになっています。

一方で、TPP参加や、規制緩和や集団的自衛権など、安倍政権を支持した人達でも躊躇する政策が次々に実行に移されようとしています。

本気で景気回復を望まない財務省や日銀と、日本を戦争の出来る国に変革したい世界の経営者の思惑通りに安倍政権は行動しています。

人間は目先の利益に騙され易く、それと引き換えに多くの物を失うのでしょう。


本日は財務省が景気回復を望まないというトンデモな妄想にふけってみました。予断を捨てて合理性のみを追求すると、不合理に見える事象が意外にも合理的に見えて来ます。「人力でGO」は、トンデモ理論の裏に隠れる合理性を発見する思考ゲームの場だと私は考えています。・・・私にとっての「陰謀論」はそんな遊びだと思って下さい