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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

陰謀論には注意が必要・・・これって浸食地形では?

2014-10-06 08:56:00 | 時事/金融危機
 






ロシアのスクープとしてネットに拡散している911事故現場の画像です。小規模核爆発で御影石が溶けたとの解説がされている様ですが、これって岩盤が水の浸食によって削られた地形ではないでしょうか?

マンハッタンはハドソン河の河口の三角州の上に築かれた街ですが、高層ビルが林立している理由は岩盤がしっかりしている事にあります。



wikipediaによると「ンハッタン島は1枚の岩盤から構成されており、島の大部分を構成している基盤岩はマンハッタン片岩 (Manhattan Schist) と呼ばれる雲母の結晶片岩である。この岩は強度が高く、その構成成分の変成岩はパンゲア大陸が形成された過程で作られた。この岩盤上は高層ビルの建設に適しており、ダウンタウンとミッドタウンの表面はこの岩石に富んでいるためこれらのエリアには高層ビルが多く建ち並んでいる[2][3]。セントラルパークにはマンハッタン片岩の露頭があり、ラット・ロック(英語版)はその一例である」そうです。

上の写真はセントラルパークに露出している岩盤の写真ですが、岩盤はハドソン川の堆積物に覆われ地下20m位の所に位置している場所も多いようです。






上の写真は勝手ながら三波川変成帯の写真をネットから拝借しました。ジュラ紀の地層だそうです。

http://www.osk.janis.or.jp/~mtl-muse/subindex03-03rocksalongmtl.htm より


日頃、河原や海岸性で浸食地形を見慣た人ならば、冒頭の写真を間違えるはずがありません。


この様にネットの陰謀論の多くは「デタラメ」ですが、その中から本物の欠片を見つけるのが陰謀論者の楽しみでもあります。


例えば、911で言うならば、小型核弾頭はウソでしょう。


但し、ビルが自由落下に近い速度で崩落する為には、下層からタイミングを合わせて鉄骨を爆破解体する必要があり、アメリカでは鉄骨にあらかじめ爆薬を仕掛けて崩壊をコントロイールする爆破解体の技術が確立しています。まさに、その手本の様な見事な崩落シーンをTVで見たならば、建築科の学生であっても「綺麗な解体だ」と無意識に思ってしまったかも知れません。

ビルは古くなると維持コストが高くなります。ましてアスベスト対策をしながらの解体となるとその費用は莫大なものになります。保険を掛けておいてテロでドカンとやれば・・・ゲフン、ゲフン・・・。

おっと、中に人が居る状態でそんな事する訳ないですよね。いくらアメリカと言えども。



911事件当時動員された消防士や作業員の中で呼吸器系の疾患や癌が多発しているとの報道もあります。それをして、「小型核弾頭の放射能の影響だ」とする「放射脳」は欧米にも沢山居ますが、盛大にアスベストを撒き散らしながら倒壊したビルの影響を考慮すれば、癌の多発は不思議な現象では無いかも知れません。911から13年が経過しました。アスベストによる癌の発生までの期間は15~40年と言われています。

911の被害はこれからも広がり続けるのかも知れません。


<補足>

911関連の癌の内訳が少し出ていたので抜粋します。

「40歳女性、直腸がん、グラウンドゼロで1月間警備に当たっていました」
「35歳男性、甲状腺がん、WTCで12日間…骨髄腫も併発」
「41歳男性、リンパ腫」「42歳男性、前立腺がん」「47歳男性、咽頭癌」
「48歳男性、甲状腺がん」「58歳男性、扁桃がん」「48歳男性、脳腫瘍と
肝臓がんの併発」「43歳男性、膀胱がん」「49歳男性、膀胱腫瘍」「41歳男性、多発性骨髄腫」「45歳女性、白血病」・・



・・・・ウーン、アスベスト由来の中皮腫や肺癌ではありませんね。そもそも発生時期が早すぎる。ただ、それを理由に「核爆弾」と短絡的に結びつけるのも如何なものかと・・。

例えば、作業従事者の中心年齢が30代だとして、その後、自然発生の癌が8000人の追跡調査のスクリーニング効果によって見つかっただけではないかと・・・。癌の種類があまりにも多岐にわたっているので、自然発生と見るのが自然かと思われます。

アスベストの影響があるとすればこれからですが、実際に作業員は防塵マスクをしていらした様なので、吸引量は昔の工事現場に比べたら格段に低いと思われます。むしろ周辺住民の方の吸引量が心配ですね。


ただ、そんなのも自転車でトラックの後ろを走る危険性に比べたら微々たるものかも知れません。ブレーキにアスベストが使われているんですよね・・・。現在では含有量は極わずかですが、二酸化硫黄とか、有害微小物質もタップリ吸ってます・・・。実際に自転車乗りの肺がんが注目され始めています。

アスベスト被曝も好まざる被曝と、好んでする被曝で、被害者意識が非対称になるのはちょと興味深い事です。「癌になるから自転車止めよう」ってなかなか思わないですよね、ロード乗りの皆さんは・・・。(当然私も)

漫画の時間・・・背筋が寒くなるヤマシタトモコ

2014-10-06 02:34:00 | マンガ
 

■ マンガを読んで「背筋が寒くなる」のは初めてだ・・・ ■



先日、仕事帰りにふらりと寄ったブックオフでマンガを三冊買いました。久しぶりに「欲しい」と思わせる作品に引かれたからです。

先ずは現在、飛ぶ鳥も落とす勢いで、往時の安野モヨコを思わせるヤマシタトモコ『運命の女の子』

ヤマシタトモコと私は不幸な出会いをしてしまいました。数年前、電車待ちの品川駅構内の書店で西炯子の『娚の一生』とヤマシタトモコの『HER』が一緒に並んでいました。どちらを買おうか迷っている内に、電車に乗る時間になってしまい結局どちらも買わず仕舞。

こういう出会いをした作品や作家って、縁が無いというか、その後、何だか買いづらくなってしまいます。そうこうしている内に人気作家になってしまうと「乗り遅れ感」が悔しくて、買えなくなってしまいます。電車には乗れましたが、ヤマシタトモコには乗り遅れた・・・。

『運命の女の子』は今年発売されたばかりのヤマシタトモコの最新短編集集。もう表紙からハンパ無いオーラが出まくりで、書店でも何度か手に取った作品。それが早くもブックオフに並んでいるのですから思わず衝動買い。

イヤー・・・・ハンパ無いっす。
特に冒頭の『無敵』は背筋が凍りつく様な作品です。



殺人の容疑が掛かる女子高生を、女性刑事が尋問する密室劇ですが、この女子高校がとにかく「異常」。美人に分類される容姿をしていますが、彼女の中身は人間の範疇を越えた何か・・・。『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターを思わせる異形の何かが人間の皮を被っています。

彼女の怖い所は、確信犯でありながら、通常の罪悪感を感じていない所。人が息をするのと同様に、自分が犯した罪を当たり前の行為と捉えています。尋問する女性刑事は、とにかく目の前の有る異形の物から逃げたい気持ちを抑えながら向き合いますが、彼女の雰囲気にのまれてゆきます。

佐世保の女性高校生猟奇殺人事件が7月ですが、この作品がアフタヌーンに掲載されたのが2月。実際の事件にこの作品が影響を与えたとは思えませんが、あまりの類似性に、再び背筋が寒くなります。

高校演劇部の男女関係をクールに描く『きみはスター』。ファンタジー色のある『不呪姫の檻の塔』と肌合いの違う2編がカップリングされていますが、女性作家らしい剃刀の様な醒めた視線は、現在のどの男性作家よりもスリリングです。

ヤマシタトモコに乗り遅れた私ですが、この作品が出会いで良かった。

■ ファンタジーとしてのSF 市川春子 『25時のバカンス』 ■



こちらも書店で何度も手に取っていながら、何故か買えなかった市川春子の作品。

『虫と歌』の表紙にも惹かれましたが、『25時のバカンス』のビキニでシドケナイ表情には逆らえません。

内容はファンタジー色の強いSF。ただ普通の作品ではありません。「珠玉の作品」。

科学者の姉とカメラマンの弟の微妙な関係を描く『25時のバカンス』も、太陽系内開発を描く『パンドラにて』も、月の王子の不治の病を描く『月の葬儀』も、今までのどの作家も書いた事の無いアプローチで、SFとファンタジーを融合しています。

ちょっと評論するのがヤボなので、「大好物の作品」とだけ。

■ 『アンダーカレント』の豊田徹也の作品が再び読めるとは何たる僥倖。『珈琲時間』 ■



ヤマシタトコモと、市川春子をゲットして、棚の下段を見ると『珈琲時間』というベタなタイトルが目に留まります。ただ、その下の作家の名前を見てビックリ。何と、豊田徹也の作品です。



2005年に『アンダーカレント』という単行本でデビューした彼は、独学でマンガを勉強し、働きながらデビューします。しかし、『アンダーカレント』は、デビュー作家の作品というよりは、15年以上のキャリアを持つ作家の作品と言われても誰も疑わない完成された作品でした。

風呂屋の亭主が失踪した後、奥さんが一人で風呂屋を切り盛りしています。そこに一人の男が流れ付き、風呂屋を手伝う事に。素性の知れない男ですが、律儀でどこか影が有りまます。実は、この男の過去において・・・おっと、これ以上書いたらダメだ・・・。

絵柄は青年誌のシリアスな作品をコピーした様な、ある意味無個性な作家ですが、ストーリーテーリングと人物描写に関しては超一流です。亭主に逃げられた風呂屋の女房と、流れ者の男の関係がいつしか過去を巡るミステリーに発展して行く様は、優れた映画の様でスリリングです。この作品はフランスでも高い評価を得ている様です。

ただ、豊田徹也は極端に作品が少なく、単行本は2005年のこの作品以来、2009年の『珈琲時間』、2012年の『ゴーグル』だけです。

『珈琲時間』は発刊から時間が経っているので、何度か表紙くらいは本屋で目にしたと思いますが『アンダーカレント』と雰囲気が違う絵柄なので、豊田作品とは気付かなかったのでしょう。ブックオフで開いた途端、アアーー!!と思いました。速攻ゲットです。

『珈琲時間』は、コーヒーを巡る短編集です。それぞれのエピソードが独立していながらも、登場人物がどこかで関係している所は、くらもちふさこの『駅から5分』の様でもありますが、タッチとしては優れた海外の映画を見ている感じに近い。

本棚の片隅にこっそりと置いて置きたい作品です。



先週は堅い記事が多かったので、息抜きにマンガの話題でリラックス。