人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

リスクオフ・・・誰かさんの「稼ぎ時」

2014-10-14 10:55:00 | 時事/金融危機
 

■ 市場は何を慌てているのか ■

アメリカも日本も株式市場、為替市場が混乱しています。昨年5月のバーナンキショックの時と同様に、株や新興国通貨などが売られ、米国債に資金が誘導されています。

「アメリカの利上げが来年中頃までに実施される事を見込んだリスクオフ」と説明されますが、利上げはまだまだ半年も先の話で、利上げが実施されるにしても上げ幅は0.25%などという微々たるものになる可能性が大です。

では、市場は何を慌てているのでしょうか?

■ 市場は自分達の妄想するストーリーに踊らされている ■

ジム・ロジャースが円安を前に円を売り抜けている様ですが、今回の混乱のストーリーは一部の人達が思い描く通りのものなのかも知れません。

「アメリカの利上げ前に市場が混乱する」という予想はたやすいのですが、それが何時かと聞かれると答えられる人は少数のはずです。ただ、相場の上昇がある程度続くと、流石にチキンレース状態になってきます。

「もうそろそろ調整が来そうだ」と疑心暗鬼になっている市場は売り崩し易くなります。市場が過敏になってきたら材料は何だって良いのでしょう。阿吽の呼吸(インサイダーとも言う)でヘッジファンドなどが売り抜けると、市場はそれに反応して大きく値を崩します。

これは自分達の頭の中で描いたストーリーに自分で捕まっているだけとも言えます。

■ 儲かるのはいつも最初に仕掛けた人達 ■

今回のNY株式市場の下落は、10月という株価が下落し易い状況と、「アリババ」の上場というイベントが終了する事で、買い材料が無くなったと多くの投資家が判断した結果起きたと思われます。少し過熱感があったNY市場は、ここらで調整が必要でしたから、一休みといった所でしょうか。

では、今回、誰が儲かったかと言えば、それは仕掛けた連中でしょう。(当然と言えば当然)

■ オネダリ相場だから、底抜けの心配は無い ■

今回の下落は、日銀とECBの追加緩和政策への「オネダリ相場」だと思われる節もあるので、相場が底抜けして暴落という事態にはならないでしょう。

「アメリカの住宅着工件数が急回復?!」なんてネタで相場は反転するかも知れません。来年の利上げまでには未だ先が長いので、相場も下がったしもう一儲けを企む人達はウジャウジャ居るでしょう。

現在の投資家達のもっぱらの興味は、何処で買い戻すかという点に尽きます。

■ 日本株も外人が利確しただけ ■

日経平均も15000円を割っていますが、外人が利確しただけで、本気で売り崩す気は無いはずです。

但し、日銀にプレッシャーを掛ける為に、ちょっと上がってはストンと落ちながら、14000円を割る事もあるかも知れません。ただ、日銀の追加緩和が発表される直前に、一気に買い戻す人達が居るのでしょう。もうこの辺は、「インサイダー」としか言いようのない人達では無いでしょうか。

■ 利上げ前の膝の屈伸 ■

今回のリスクオフは「利上げ前の膝の屈伸」みたいなもので、実際にコケルとすれば走り出してから躓くか、或いはスタートを失敗するかでしょう。スタートの失敗はやり直しが効くので、あまり心配要らないかも知れません。

問題はスピードに乗ったコーナーで足を絡めて大勢が転倒するケースで、利上げが上手く行きかけて多くの投資家が安心した所で、誰かが故意に足を引っ掻けるかも知れません。こういう人は、このレースの先にゴールが無い事を知っているのでしょう。


何れにしても、まだまだFRBの見せ場が色々と残っている状況なので、相場をしばらくしたら持ち直すと思われます。(妄想だけど)

肩透かしの大型台風・・・台風予測は日本近海の海水温ですべきでは?

2014-10-14 04:36:00 | エコロジー
 

■ あれ、50年に一度の巨大台風って大した事ないじゃん? ■

台風18号、19号で被害に会われた方や、非難をされた方が読まれていたら申し訳ありませんが、「あれ、たいした事無いのに何でTVで大騒ぎしているの?」と思われた方は多いかと思います。

台風18号・・・最低気圧 935hPa  上陸時気圧 955hPa
台風19号・・・最低気圧 900hPa  上陸時気圧 975hPa

確かに南洋上での中心気圧は低いのですが、上陸時には普通の大型台風の気圧になっています。ちなみに歴代の上陸台風の中心気圧の記録は次の通り。





ちなみに最低気圧の歴代ランキングは次の通り




気圧の低さが台風の勢力の全てではありませんが、最低気圧も上陸時気圧も、台風18号も19号も「50年に一度」とか「過去10年で最大」などというキャッチコピーに見合わない台風である事は一目瞭然です。

中心気圧の低さは台風の風力に影響を与えるのですが、台風の被害は強風だけでなく雨の被害も甚大です。

昨年、伊豆大島に多大な被害を及ぼした平成25年台風18号は最低気圧は960hPaと大した事はありませんでしたが、伊豆大島における被害は雨によるものでした。

先週の台風18号も、どちらかと言えば雨による被害が大きかったと思います。

■ 赤道付近の海水温は高いけれど、日本近海の海水温が低い ■

今年の夏はエルニーニョが発生して冷夏になると予測されていましたが、エルニーニョの発生は遅れており、夏の前半は暑い日が続きました。一方、8月後半から涼しくなり、秋雨前線の南下も早まりました。

これは、8月の後半から太平洋高気圧の勢力が衰えた影響で、その結果日本近海の海水温が低くなったと思われます。



上の図は気象庁が発表した10月初旬の海水表面温度ですが、青で示されている所が平年より低い海域です。日本近海は平年より1度程度、海水表面温度が低い様です。海水面温度が低いと台風へのエネルギーの供給量が減るので、台風の勢力は急速に衰えます。

今年の台風は赤道付近の海水温が高いので、大型に成長しますが、日本付近の海水温が低いので、日本に近付くにつれて勢力が低下します。

■ 昔のオーソドックスな秋台風 ■

2000年に入ってからの年間の上陸台風の数を示します。

2000年  0個
2001年  2個
2002年  3個
2003年  2個
2004年 10個(統計以来最大)
2005年  3個
2006年  2個
2007年  3個
2008年  0個
2009年  1個
2010年  2個
2011年  3個
2012年  2個
2013年  1個
2014年  3個(10月14日現在)

毎年平均で2~3個程度の台風が上陸していますが、今年は現状で3個が上陸し、さらに増えれば「台風の当たり年」となるのでしょう。

太平洋高気圧の勢力が強い時期は、日本への上陸コースに乗らずに朝鮮半島や中国大陸に新路を取ります。これが典型的な夏台風のコースです。秋になって太平洋高気圧の勢力が弱まると、台風は高気圧の縁をなぞる様に、日本への接近、上陸コースに乗ります。

今年の秋は太平洋高気圧の縁が日本付近に有るので、秋に入ってからの台風は、オーソドックスな「日本上陸コース」を取っている様です。

■ 放射能問題と同じでゼロリスクを求める国民 ■

台風で被害が出るのは毎年の事ですが、昨今の風潮は気象庁の予測や、自治体の防災体制に対する風当たりの強さです。

土砂崩れなどで被害が出ると、「気象庁の予測を上回っている」だとか「避難勧告が出ていなかった」などと文句を言う人が出て来ます。

降水量などは、局地的に短時間で変化するので予測が難しいのですが、被害が出ると「何故予測出来なかったのか!!」と文句を言う人が必ず出て来ます。

昔は観測技術も整備されていなかったので、「天気予報や台風予測はあまり当てにならない」と人々は考えていました。しかし、現在の様にきめ細かな観測網や地域ごとの予報が当たり前になると、「天気は予測出来るもの」という錯覚が人々に生まれます。

確かに観測や予測精度は向上し、降水量などもかなり正確に予測出来る様になりましが、しかし、土砂崩の予測は気象庁の範疇ではありません。

行政は土砂災害危険地域を公表して住民の注意を喚起していますが、どの程度の雨で土砂崩れが起きるかは、予測不可能です。

ですから、私達は最終的には自分の判断で自分の身を守るしか無いのですが、台風の度に非難するのも面倒なので、余程の事が無い限り、非難という選択肢を取りません。

本来、自分の身は自分で守るし無いのですが、ゼロリスクを気象庁や行政に求める姿勢は放射能汚染でゼロリスクを国や東電に要求する姿とダブります。

■ 御嶽山噴火で臆病になっている気象庁? ■

気象庁は先の御嶽山噴火で警戒レベルを引き上げていなかった事を責められ、少し臆病になっているかも知れません。

台風18号、19号は確かに大型の台風ですが、日本近海の海水温を見るに、勢力が低下する事は、ある程度の経験で予測出来たはずです。

少なくとも、気圧を見る限り、台風18号は「50年に一度の台風」などでは無く、有り触れた大型台風だと思います。

■ TVが騒ぎ過ぎ ■

TV局は今回もレポーター達を、わざわざ風の強い現場に立たせて、台風を「盛り上げて」いました。視聴者もバカでは無いので、又かと思いながら、「このレポーター可哀そうに」などと同情しながら画面を眺めます。

まあ、「日本の秋の風物詩」と言えばそれまでですが・・・。

本当はもっと伝えるべきニュースはあるはずですが、本当に都合の悪い事を伝えない事がメディアの仕事なので・・・。