■ 市場は何を慌てているのか ■
アメリカも日本も株式市場、為替市場が混乱しています。昨年5月のバーナンキショックの時と同様に、株や新興国通貨などが売られ、米国債に資金が誘導されています。
「アメリカの利上げが来年中頃までに実施される事を見込んだリスクオフ」と説明されますが、利上げはまだまだ半年も先の話で、利上げが実施されるにしても上げ幅は0.25%などという微々たるものになる可能性が大です。
では、市場は何を慌てているのでしょうか?
■ 市場は自分達の妄想するストーリーに踊らされている ■
ジム・ロジャースが円安を前に円を売り抜けている様ですが、今回の混乱のストーリーは一部の人達が思い描く通りのものなのかも知れません。
「アメリカの利上げ前に市場が混乱する」という予想はたやすいのですが、それが何時かと聞かれると答えられる人は少数のはずです。ただ、相場の上昇がある程度続くと、流石にチキンレース状態になってきます。
「もうそろそろ調整が来そうだ」と疑心暗鬼になっている市場は売り崩し易くなります。市場が過敏になってきたら材料は何だって良いのでしょう。阿吽の呼吸(インサイダーとも言う)でヘッジファンドなどが売り抜けると、市場はそれに反応して大きく値を崩します。
これは自分達の頭の中で描いたストーリーに自分で捕まっているだけとも言えます。
■ 儲かるのはいつも最初に仕掛けた人達 ■
今回のNY株式市場の下落は、10月という株価が下落し易い状況と、「アリババ」の上場というイベントが終了する事で、買い材料が無くなったと多くの投資家が判断した結果起きたと思われます。少し過熱感があったNY市場は、ここらで調整が必要でしたから、一休みといった所でしょうか。
では、今回、誰が儲かったかと言えば、それは仕掛けた連中でしょう。(当然と言えば当然)
■ オネダリ相場だから、底抜けの心配は無い ■
今回の下落は、日銀とECBの追加緩和政策への「オネダリ相場」だと思われる節もあるので、相場が底抜けして暴落という事態にはならないでしょう。
「アメリカの住宅着工件数が急回復?!」なんてネタで相場は反転するかも知れません。来年の利上げまでには未だ先が長いので、相場も下がったしもう一儲けを企む人達はウジャウジャ居るでしょう。
現在の投資家達のもっぱらの興味は、何処で買い戻すかという点に尽きます。
■ 日本株も外人が利確しただけ ■
日経平均も15000円を割っていますが、外人が利確しただけで、本気で売り崩す気は無いはずです。
但し、日銀にプレッシャーを掛ける為に、ちょっと上がってはストンと落ちながら、14000円を割る事もあるかも知れません。ただ、日銀の追加緩和が発表される直前に、一気に買い戻す人達が居るのでしょう。もうこの辺は、「インサイダー」としか言いようのない人達では無いでしょうか。
■ 利上げ前の膝の屈伸 ■
今回のリスクオフは「利上げ前の膝の屈伸」みたいなもので、実際にコケルとすれば走り出してから躓くか、或いはスタートを失敗するかでしょう。スタートの失敗はやり直しが効くので、あまり心配要らないかも知れません。
問題はスピードに乗ったコーナーで足を絡めて大勢が転倒するケースで、利上げが上手く行きかけて多くの投資家が安心した所で、誰かが故意に足を引っ掻けるかも知れません。こういう人は、このレースの先にゴールが無い事を知っているのでしょう。
何れにしても、まだまだFRBの見せ場が色々と残っている状況なので、相場をしばらくしたら持ち直すと思われます。(妄想だけど)