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■ 『ドキュメント72時間』のテーマに採用された松崎ナオ ■
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』をカミサンがワンセグで見ていた。(我が家にはTVが無いので)
かつての面影も無い松坂慶子がちらっと写っていたので、思わず『ウルトラセブン』に出演していた15歳頃の松坂慶子でも見て口直ししようとGoogleで「マツザ」まで検索ワードを打った所で候補一覧に松崎しげると一緒にチラリと表示された「松崎ナオ」に目が留まりました。
ああ、一時よく聴いていたなと思って松崎ナオを検索すると『川べりの家』の動画が大量にヒットしました。???
こんなマイナーな歌手に何で今頃注目が集まっているの?って不思議に思って「川べりの家」で検索すると、どうやら2013年から2期目が始まったNHKの『ドキュメント72時間』という番組のテーマソングに採用されて一部で話題になったらしい。(テレビ無いので見れませんが・・)
この曲、2006年発売の『Flower Source』というアルバムの2曲目に収録されていたのですが、何で今更・・・・。
ちょっと調べたら、NHKのこの番組のプロデューサがCDショップで掛っていたこの曲が『ドキュメント72時間』のイメージにピッタリだと感じで製作会議で決定したのだとか。発売あから時間も経っていたので、月に数枚しか売れる事の無かったこの曲にシングルは1000枚のバックオーダーを抱える事になったとか。メデタシ、メデタシ。
■ 未完成の魅力 ■
松崎ナオの魅力は何と言っても「触れれば壊れてしまいそうな不安定さ」です。繊細というよりは「ネジが緩んでいる・・」と言うか「暴走しそう・・・」と表現した方が的確なある種の未熟さが初期のアルバムにはありました。一言で言えば「イタイ」のが魅力のミュージシャンです。
風の唄 松崎ナオ
デビューアルバム(ミニアルバム?)の『風の唄』の各曲は「普通の言葉」で書かれているのに不思議に心に浸透する力を持っています。
『花びら』 『風の唄』より
不思議な事に、歌はいたってシンプルなのにアレンジが超ぶっ飛んでいるのが松崎ナオの初期のアルバムの特徴です。
『白い』 『風の唄』より
私は2枚目のアルバムの『正直な人』が彼女の最高傑作だと思います。
『正直な人』 松崎ナオ
一曲目の『true colors』が好きな曲ですが、あいにくネットに音源が見つからないので、2曲目の『哀しみが止まらない』を紹介します。これもシンプルな名曲かなと。
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『哀しみが止まらない』 『正直な人』より
このアルバムもアレンジが超ヘビーで、アルバム1枚を通しで聴くとゲッソリします。
このアルバムが発売された1998年は椎名林檎がデビューした年です。彼女の『無罪モラトリアム』(1999年)も衝撃的でしたが、亀田誠治のプロデュースはヘビーかつポップですが、松崎ナオのこの初期のアルバムはもっとヘビー&ディープ。デビューアルバムのプロデュースは渡辺善太郎と松本靖雄。渡辺善太郎は「詩人の血」のギタリスト。CHARAの『やさしい気持ち』のアレンジなど多くのアーティストを手掛けていますが、ちょっと腐ったポップスと言うかデカタンスを感じるアレンジが多い様です。
■ シンプルさの獲得 『虹版』 ■
『月と細胞』 『虹版』(2001年)より
続く3枚目のアルバム『虹版』は、一転してシンプルなアレンジ。このアルバムをベストに挙げる方が多いのではないでしょうか。
■ 椎名林檎との奇跡のコラボ 『木綿のハンカチーフ』 ■
『虹版』は松崎ナオをメジャーに押し上げても良い内容だったのですが・・・こういうミュージシャンって本当に売れないんですよね・・・。
そんな折、奇跡の様な出来事が・・・
椎名林檎のカバー曲アルバム2枚組の『歌い手冥利』(2002年)の中の一曲『木綿のハンカチーフ』で林檎ちゃんが何と松崎ナオとデュエットしています。原曲の良さを残しながらも現代的に生まれ変わったこの曲ですが、何で松崎ナオなの・・・って疑問は置いとく事にします。しかし、林檎ちゃんと一緒に歌うと、松崎ナオは至って普通。林檎ちゃんの非凡さが引き立つ結果となりちょっと微妙ですが・・・。
youtubeに何故かパフュームの映像と一緒にアップされていましたので、ちょっと拝借します。アレンジは亀田誠治ですね。
■ メジャーアルバムから離れていた時期 ■
その後2003年に4thアルバムの『FLOR TREM』を発表します。このCD,タワーレコードの限定販売でした。多分、この時期にエピックとの契約が解除されたみたいで、その後はインディーズレーベルからアルバムを発表しています。
このアルバム、今までとガラリと趣が変わり、「ロハス」なんて言葉を連想させる自然でシンプルな肌合いの演奏になっています。
冒頭で紹介した『川べりの家』は、その後に発表された『Flower Source』の2曲目に納められています。アルバム全体としては「普通」になってしまった感じがして、これから後のアルバムは持っていません。
松崎ナオの魅力は「未熟な不安定さ」にあるので、をれをいつまでも保ち続ける事はなかなか難しいのでしょう。似た様なタイプに小島真由美が居ます。
松崎ナオ、小島真由美、小谷美佐子・・・ここら辺が私のかつてお気に入りでした。ちょっと「イタイ」タイプですね。ここに初期の林檎ちゃんを加えると、完璧。