本日は下記サイトさんのデータを参考にさせていただきました。グラフ等も拝借しております。
「米国の労働参加率は本当に悪いのか?」
http://www.cmegroup.com/ja/education/featured-reports/labor-participation-rate-no-cause-for-alarm.html
■ アメリカの景気回復のウソ・ホント ■
「アメリカの景気は回復している」というのはウソでは有りません。各経済指標はリーマンショック前の水準に戻っています。
「アメリカの労働参加率は1977年10月以来の低水準に落ちている」・・・・景気が回復しているのに、何故労働市場から去った人も沢山居るの?
いったい、「アメリカの景気回復」はウソなのでしょうか、ホントなのでしょうか?
■ 労働参加率の定義に問題が有る ■
「労働参加率」とはアメリカにおいては「16歳以上の人口で労働出来る人の割合」を示します。ですから高齢でリタイアした人もこの中には含まれます。
アメリカの退職者は1950年代は生産年齢人口の11%程度でしたが、現在は20%を超えています。アメリカの「労働参加率」は1950年代から一貫して低下しているのです。
一方、就業率は2010年頃に舌打ちして、昨年辺りから力強く回復しています。これだけを見ると、「米経済は回復している」と言えそうです。
ただ、リーマンショック後に働き盛りの25歳から54歳までの労働参加率も低下し続けている事は確かで、アメリカの労働市場が完全には回復していない事を裏付けています。
■ 表面的には危機的状況は脱しが、一進一退の雇用市場 ■
アメリカの景気回復に貢献したのは「資産市場」の価格上昇(回復)です。リーマンショックで紙屑になった債権などの価格が回復した事で、アメリカの景気は表面的に回復した様に見えています。株式市場が市場最高値を付けるなど、むしろ絶好調に見えます。
一方、市場はアメリカの農業以外分野の雇用者数の推移に一喜一憂しています。9月は予想を大幅に下回ったとして、FRBの利上げ先延ばしの一因ともされています。
■ 雇用市場を支えているのは結局は緩和マネーによる資産価格の回復 ■
上のグラフはアメリカのGDPにおける産業別の構成比です。2006年とリーマンショック前のデータで現在とは若干異なると思いますが、大差は無いでしょう。
アメリカは製造業が既に衰退しているので、労働市場の大半を金融業やサービス業が占めています。これらの産業は景気動向に敏感です。
金融業は緩和マネーに支えられているのは明らかですが、サービス業も緩和マネーによる資産価格の回復の恩恵が大きいと思われます。
結局、現状のアメリカの雇用市場を支えているいのも、FRBを始めとした緩和マネーです。本来は実態経済のバロメーターである雇用市場までが、緩和マネーの影響を強く反映しているのが現在のアメリカの状況かと思います。
■ 緩和マネーに支えられた偽りの回復 ■
FRBが利上げに入る事で、「緩和マネーが縮小」すると市場が考えた時、偽りの回復は終了します。既にその兆候が見え始めています。
FRBが年末までに利上げを達成する為には「緩和マネーが減らない」と市場が理解する事が重要で、その為にはFRBの縮小する分を補う存在が必要です・・・。
FRBに注目していた視線が、クルっと日銀に向く時が必ずやって来ます。今年もハロウィンが近づいて来ました。