人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

トップ3の独走・・・前期アニメベスト

2015-10-13 06:28:00 | アニメ
 

少し遅くなりましたが、前期アニメの私的総括を。
前期アニメはバラエティーに富んで充実していましたが、少し時間が経過て振り返ってみると、TOP3の印象しか残っていません。それだけ、その3作品が素晴らしかった訳ですが、趣向が異なる作品に優劣を付けるのは非常に難しいものがあります。しかし、個人的好みで独断で決めてしまいました。

第一位 『のんのんびより りぴーと』



時間の魔術師・・・『のんのんびより りぴーと』の川面真也監督(人力でGO 2015/8/1)

「アニメのベスト作品を選ぶ」という選定基準において、この作品のトップは揺らぎません。私がアニメが好きなのは、絵を一枚一枚手書きして、細部まで完全にコントロールされた世界を作り出せるという点に尽きるのですが、この作品はその限界に挑んでいます。

最終話は1期、2期の内容を総括しながらも、1話として十分に見応えのある内容でしたが、特に縁側に子供達が座っているシーンの「ロングの長回し」は凄い。ちょっと「限界」を超えて「やり過ぎ」一歩手前の感もあるシーンですが、間延びしそうな固定構図を絶妙な「セリフや音の間」で力技で持たせてしまっています。この作品の「手品のネタ」を明かされた様な気がするシーンです。



お花見のお弁当作りの途中、お母さんが来客で玄関に行っている間、子供達は縁側で時間を潰します。


「夢」の話がスベッタ後、子供達は「かさね手叩き」を始めます。


二人が抜け、二人残ります


女の子達が誰も居なくなりますが、縁側で寝そべる猫がゴロリと転がって間を繋ぎ、最後にお兄ちゃん登場


女の子達が戻って来ます

全体の構成としては不自然に長いシーンで間延びしていますが、「ロングの長回し」の限界に挑戦した意欲的なシーンとも言えます。玄関で世間話をする母親の声、鳥のさえずりなどがバックグランドを満たしている事でシーンのリズムを継続させるという手法が取られています。

『のんのんびより』自体、「間」が非常に長い作品なのですが、その間は鳥のさえずりや自然の音に満たされていて決して「空白」では無く「充実した間」である事が、この作品を豊なものにしている事に気付かされます。


第ニ位 『ガッチャマンlン・クラウズ インサイト』



『ガッチャマンクラウズ・インサイト』・・・民主主義の本質を問う意欲作(人力でGO 2015/7/21)

「日本人が空気に支配されている」という指摘を最近良く目にしますが、まさに「空気の支配と民主主義」について考えさせられる作品。

「政治」や「思想」をエンタテーメントに昇華する手法はSFやアニメではおなじみですが、従来は「権力による支配」を告発する内容がほとんどでした。ところが、この作品は「国民の責任と無責任」を明確にする事により、「民主主義が内抱する根本的な問題点」を露わにしていきます。

アニメの活劇としての面白さをスポイルしていない点も評価に値するかと。


第三位 『GATE自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』



軍隊としての自衛隊・・・『GATE自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』 (人力でGO 2015/9/29)

こちらも「安保国会」が開催される時期に合わせたかの様な作品。「平和が自然に存在する」と思い込んでいる多くの日本人に見て頂きたい。「平和」とは「創られる」ものであり、それは「軍事的均衡」や、或いは「絶対的な戦力差」によって維持される事を明確にしています。

「安保国会」や「国会周辺デモ」の「浮世離れした喧噪」を静観する自衛隊員の方々の心中を代弁する作品でもあります。作品としてはバランスがイマイチではあるのですが、微妙な時期に微妙な内容にチャレンジした勇気に喝采を送りたい。


第四位 『六花の勇者』



実はナッシェタニアのウサギコスプレが出て来た時点で視聴を中止しようとした作品。しかし、フレミーが出てきてから釘付け・・・。そして謎解きが始まったら、もう次週が待ち遠しくて・・・。

アニメで探偵物は数多あれど、ファンタジーを用いたミステリーは珍しいのでは無いか。トリックが奇抜なのでミステリーとして成立しているのか?という根本的疑問は有れど、「次週が待ち遠しい」という「連続ものの罠」に視聴者を嵌める事にはしっかりと成功しています。

ちなみに、あらすじサイトで先を読んでしまいました・・・だって誰が7人目か知りたくて我慢出来なかったから・・・。


第五位 『プリズンスクール』




「エログロ」をやらせたら右に出る人は居ない「水島勉」の監督作品。原作は未読ですが、原作自体面白いのでしょう。

バカらしい内容ですが、だからこそ面白い!!


敢闘賞A 『実は私は』



80年代ラブコメを彷彿とさせる作品。どおって事無い内容なのですが・・・結構好きなんです、こういう作品。特に委員長のキャラが。



残念賞  『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』



最初の掴みはバッチリ。『図書館戦争』のエロバージョンとして期待大でしたが、生徒会長がデレた辺りから、『下ネタしか存在しない退屈な作品』になってしまいまいした。


特別賞 『食戟のソーマ』



ジャンプで連載が開始された当初は「つまらない」とさんざん酷評されていたと思いますが、ジャンプは作家を育てるのが本当に上手ですね。アニメ化の内容も素晴らしい。

とにかく「美味しいものを作りたくなる」作品。大人が見ても楽しめます。料理好きの方は是非。



以上、上位3作品と他の作品の差が大きいのですが、前期アニメを独断でランキングしてみました。



ちなみに今期アニメも注目作が多い


『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』

なんと、長井龍雪と 岡田麿里という鉄壁コンビがガンダムを手掛けるという話題作。1話、2話を見た限りにおいて『太陽の牙ダグラム』に近い肌合いを感じます。1話で世界情勢とキャラクターの性格をさらりと提示する辺り、脚本家としての 岡田麿里の力量を感じさせます。実はガンダムの第一話って「何だか訳分からない」という内容が多いだけに、期待させます。

『コンクリート・レボルティオ』

1965年生まれ(私と同じ)のベテラン脚本家「會川 昇」とボンズが仕掛ける意欲作。一言で言えば「石森章太郎」の世界。アニメの歴史を俯瞰しつつ、ウルトラマンを始めとする日本のヒーロー達が背負わされた宿痾に迫る作品。アニメでしか表現できない事にチャレンジしています。決してノスタルジーだけの作品では有りません。


『すべてがFになる』

森 博嗣の原作によるアニメ化。ドラマでも放映されていた様ですが、内容的にはアニメに向いている作品では?「あさのにいお」のキャラデザだけで萌えますが、オープニングも秀逸。

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』

死体版の『ビブリア古書店』といった所。大人も楽しめる作品ですね。

『Dance with Devils』

今季のダークホースはこれで決まりでしょう。基本的に腐女子向けの作品ですが、『俺の青春ラブコメ・・』の第一期で注目された吉村愛の監督作品。「芝居がしっかりしている」ので、ミュージカル風の突飛な展開にも耐えられます。音楽が意外にゴージャスでGOOD。今季の我が家の女子枠です。

以上、ここら辺が今季注目作品。