■ トルーマンはマンハッタン計画の詳細を知らされていなかった? ■
私はTVを持っていないので昨日放映されたNHKスペシャル『決断なき原爆投下 米大統領 71年目の真実』を見ていませんが、ネットの情報によれば次の様な内容だった様です。
1) ルーズベルトは晩年少々クレージーでその中の一つがマンハッタン計画の推進
2) ルーズベルトの急死で大統領に繰り上がったトルーマンはマンハッタン計画の全貌をし知らされていなかった
3) トルーマンはマンハッタン計画にあまり興味を示していなかった
4) 計画はグローブス准将を中心に推進された
5) グローブスは京都に投下しようとしたが一般市民の犠牲が大きいと反対される
6) 軍都の広島か小倉なら一般市民の犠牲は最小限とグローブスは進言する
7) 7/16にロスアラモスで原爆の実験に成功する
8) 8/6に広島に原爆が投下される
9) トルーマンは報告を受け、「原爆投下は戦争を早期に終結させ、多数の米兵の命を救うためやむを得なかった」とラジオで即興で演説する
10) 8/9に長崎に2発目の原爆が落とされるが事前の報告はトルーマンには無かった
番組はマンハッタン計画を任されていたグローブスのインタビューを交えて進行した様ですが、こんなインチキ番組を放映するNHKは地上から消えてヨシ!!
■ 原爆投下の真実 ■
NHKスペシャルは次の様な方法論で原爆投下の責任が米国大統領に無かった様に偽装しています。
1) 晩年のルーズベルトはちょっとクレイジーな状態だった
2) トルーマンは無能で、マンハッタン計画に興味が無かった
3) マンハッタン計画はグローブスら軍の主導で推進された
4) 広島は軍都で一般市民の被害は少ないとトルーマンには報告されていた
5) 22億ドルを掛けた国家プロジェクトは大統領にも止められなかった
全くのでたらめです。
原爆投下の真実については、過去にも日本人の研究者達が米国の文献などを仔細に調査しており、次の様な背景があった事が分かって来ています。
1) 大統領就任式の日に陸軍長官スティムソンが、トルーマン新大統領にマンハッタン計画の話を始めて伝える
2) 4/25日にスティムソンはトルーマンに新めて計画の詳細を説明し、原爆の威力について、原爆投下の目標が日本となっていることについて、またさらに原爆が戦争の終結をはやめると確信されていることなどについて話した。
3) スティムソンは原爆の扱いがこの後の世界に大きな影響を与える事を大統領に説明した
4) スティムソンを議長として原爆に関する様々な勧告をする暫定委員会が発足
5) 大統領代理として国務長官となる予定のJ・F・バーンズが暫定委員会に参加
6) ソ連のアジア進出を阻止すべく戦後の日本をアメリカのパートナーとする事が決定される
7) ソ連の対日参戦で日本が徹底的に破壊される前に日本を幸福させる必要があった
8) ヤルタ密約協定の内容をアメリカに有利に運ぼうと画策する
9) 5月28日朝にトルーマンと会談した国務長官代理のJ・C・グルーは戦争に早期終結の為に「対日警告」をただちに出す様にトルーマンに進言し、トルーマンも合意するが、軍と協議する様にトルーマンは要求する
10) 29日の軍との協議では「対日警告を出す事には賛成であるがタイミングは今では無い」と先延ばしされ、その結果がトルーマンに報告される
11) 軍は戦後の対ソ連政策にカードとして原爆投下を考えており、その前の日本の降伏を望まなかった?
12) 6月6日、原爆投下に関する勧告をスティムソンがトルーマンに伝えた
13) スティムソンの勧告を受けてトルーマンはスターリンとの会談を7月はじめから7月15日までに引き伸ばした。(原爆投下の時間を稼ぐため)
14) ポツダム会談は7月17日から開始され、スティムソンは会談には加わらなかったが、現地で大統領に原爆の開発状況を逐一知らせた
15) 7月16日にスティムソンの元に原爆が予想通りに威力を発揮する事が伝えられる
16) トルーマンは会談でのスターリンの積極的な攻勢に対し、「私もまだ爆発させてはいないが、あるダイナマイトをもっている」と述べている
17) 7月17日の会談でトルーマンはソ連の対日参戦が8月15日であると知らされる
18) 7月18日、スティムソンを通して原爆実験の詳細が伝えられる
19) トルーマンはその日の日記に「ロシアが参加する前に、日本はつぶれるだろうと信じる。マンハッタンが日本本土のうえにあらわれるとき、彼らはそうなるだろうと私は確信している。私はスターリンに適当なとき、それについて知らせることになるだろう」と記している。
20) 7月18日の会談でトルーマンはスターリンから日本の和平依頼の事実を知らされる
21) 7月21日スティムソンの元に原爆実験の詳細が届けられる。グルーブスの覚書には「爆発で開放されたエネルギーが少なく見積もってもNTT火薬1万5千トンから2万トンに達するものであった」とある
22) グローブスの覚書を読んだ後でトルーマンはスターリンに対して強気で交渉する様に変化した
23) 7月23日にハリソンからスティムソンに電報が届く。「8月1日以降であれば原爆投下作戦が実行できる」と記されており、それをスティムソンはトルーマンに届けた
24) トルーマンは8月3日以降、目視爆撃ができる転向となり次第、最初のウラン爆弾を広島、小倉、新潟、長崎のいずれかに投下する命令を承認した
25) トルーマンは対日警告(ポツダム宣言)の準備に取り掛かる
26) その案文には、対日戦の早期終結のために必要と考えられていた天皇制を保証する条文が、それまでのものから変更されてあいまいにしか示されていなかった。これは日本政府が受け入れられる物では無い事は当然予想出来た
27) トルーマンは7月26日の会談の終了間際になってスターリンに「前例のない破壊力をもつ新兵器をもっている」とさり気無く告げた。
28) スターリンへの原爆予告は7月4日の米英政策委員会の確認に反した方法で告げられたが、これは実際の原爆投下の衝撃を拡大する目的があった。
29) スターリンは「新兵器」の内容を速やかに把握し、モトロフ外相と共に1942年以降凍結していた原爆開発の再開を協議している
30) 8月6日の広島への原爆投下で日本政府は米国の予測を裏切り降伏を受け入れなかった
30) 8月9日、ソ連は15日からの予定を早めて対日参戦する
31) 8月9日、二発目の原爆が長崎に投下される
32) 8月15日 日本が無条件降伏する
「原爆を投下するまで日本を降伏させるな」鳥居民(草思社文庫) を参照
この本を盲信するのも危険ですが、少なくとも「アメリカの大統領がマンハッタン計画の詳細に興味を示さず、責任者不在で原爆投下が実行された」などという「戯れ言」よりは余程リアリティーが有ります。
トルーマンは戦後の冷戦構造を見据えてソ連を牽制する為に原爆のデモンストレーションの場に日本を選んだので有り、その為にポツダム宣言の天皇の戦争責任の項目を曖昧にする事で、日本を原爆投下まで降伏させなかたのです。
トルーマンはボンクラな大統領などでは無く、世界の経営者の意向で動く人物だったと想像できます。
尤も重度の陰謀論者の私は、戦後の冷戦構造も含めて世界の経営者のシナリオだと考えていますが・・・。当然スターリンもそれなりの役を演じているでしょう。
■ 「嘘つけ! 弾けろ!! NHK」 ■
ネットでは上記の様な原爆とポツダム宣言に関する「妄想」は既に常識となっています。日航機事件の件もそうですが、ネットでこの様な都合の悪い情報が拡散すると、タイミングを見計らった様にNHKは「陰謀論を否定する番組」を放映します。
この様なNHKに対して民放も負けてはいません。
** youtube へのリンクが上手く出来ません。 ***
「オバマ 原爆 拍手」でgoogleで映像を検索すると、ノルマンディー上陸作戦70周年式典のセレモニーで演じられたパフォーマンスで、原爆投下シーンでオバマが拍手し、プーチンが胸の前で十字を切った事を報じるJNNニュースの映像が見られると思います。
JNNのニュースですが、オバマが原爆投下に拍手をし、プーチンが胸で十字を切ったかの印象を視聴者に与えます。しかし、実際にはダンサー達のパフォーマンスの終了に対しての拍手だったとも解釈出来ますし、プーチンの十字は、第二次世界大戦という忌まわしい過去に捧げられあた十字だったとも解釈出来ます。
まあ、いずれにせよ、報道などというものは「目的」を持って製作・放映されている訳でプロパガンダ以外の何物でも有りません。
事実を知りたければ自分で調べるしか無く、正確に理解する為には反対意見は反証も含めて検討する事を怠ってはなりません。
尤も、陰謀論者の私が何を言うんだ・・・って感じですが。