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オリンピックは美味しいビジネス・・・ヨーロッパ貴族の小遣い稼ぎ

2016-08-18 09:29:00 | 時事/金融危機
 
■ 任意団体のIOC ■


日々熱戦がくるひろげられるオリンピック。(TVが無いので見れませんが)

ところでオリンピックほど不思議な物はありません。

オリンピックを主催するのはIOC(国際オリンピック委員会)ですが、これはスイスのローザンヌに本部を置く任意団体です。法人ではありません。

「スポーツ好きの貴族が勝手に集まって大会を開いている」のが近代オリンピックの始まりであり、今に至るまでIOCはこの運営方針を貫いています。要は元々は金持ちの貴族がボランティアで主催していたのが近代オリンピック。

近代オリンピックの父、ピエール・ド・クーベルタン男爵(1863~1973)が提唱して始まった近代オリンピックですが、当時は帝国主義の時代で国家間の争いは戦争によって解決するのが当たり前の時代。この様な時代に敵対する国同士の選手が平和的にスポーツで実力を競い合うオリンピックは、一見、クリーンで理想的なイベントでしたが、一方で出場選手は国家の威信を掛けて戦っていました。

■ 巨大ビジネスと化したオリンピック ■

しかし今ではオリンピックは巨大なビジネスと化し、莫大な放映権料とチケットの売り上げ、スポンサ企業の協賛金の10%程度がIOCのポケットに収まります。

開催国の招致や、種目選考を巡っては公然とロビー活動(接待攻勢)が行われていますが、IOCは任意団体の為に贈収賄などの法律に問われる事もありません。開催国決定などに際し、億円単位のリベートが乱れ飛ぶとも噂されています。

■ IOC理事にはチケットが割り当てられ、それを販売している ■

しかし、昨日アイルランドのIOC理事がチケットを高額で横流しして逮捕された様に、ファミリーの中の「掟」を守らない者は容赦なく排除される様です。

ところでこの事件、「理事に割り当てられたチケット」とありますが、横流しされたチケットは1000枚程度とされており、IOCの理事は少なくとも1000枚以上のチケットの販売収入が有るという事になります。1枚5万円として5000万円の収入。実際には割り当て枚数はもっと多いでしょう。

元々は貴族のボランティアとして始まった近代オリンピックですが、現在のIOCの理事は金銭的に非常にオイシイ思いをしている様です。

■ 競技場の建設コストや運営コストは開催国の国民が負担 ■

オリンピックの開催国はIOCが決定しますが、競技場の建設や運営に掛るコストは開催国の負担となります。「国の負担=国民の負担」あるいは「開催都市の負担=開催都市の住民の負担」ですから、東京でオリンピックを開催する為には、東京都民は当然負担を強いられます。

ロンドンオリンピックではIOCの4年間の収益、約6300億円の70%が開催都市が組織する実行機関であるオリンピック組織委員会(OCOG)へ、20%が競技選手の組織へ、残り10%がIOCの活動資金となりました。

ロンドンオリンピックのIOCの取り分は630億円。ロンドン大会当時のIOCの委員は111名だった様ですが、これをどう配分するかは・・・神のみぞ知る。組織の運営費などもありますが、数億円の小遣い稼ぎにはなるのでは?

一方、開催国のメリットは世界中から観光客が集まったり、オリンピックに絡む道路整備などの公共事業で都市のインフラが整備されるなど少なくはありませんが、競技場建設などにコストが掛り過ぎると開催国の収支は赤字になります。

日本でも長野冬季オリンピックは、その後のスタジアムの維持費など長野県の財政の大きな負担を掛けつづける事になりました。

■ アマチュアリズムはもう古い? ■

オリンピックって要は世界中のアマチア選手をタダで出演させて莫大な利益を得る「興行」だとも言えます。アマチア選手達の努力にタダ乗りしているヤクザみたいな存在。

ただ、「近代オリンピックの精神」が美化され、歴史的に権威のあるスポーツ大会なので、出場選手も観客も全世界でTVで応援する人々も、「オリンピックの異常性」に気が付かないのでしょう。

選手には「オリンピックのメダリスト」というのは一生の勲章ですし、その後の人生にメリットも大きいので、否定する様な事ではありませんが・・・。

尤も、アマチアスポーツの祭典であったオリンピックもプロが出場する様になると、少し様子が変わってきます。

例えばテニスなどはグランドスラムなどプロツアーの大会の方が賞金も高いので、選手にとってはオリンピックは数ある大会の一つといった程度の存在でしょう。大きな大会と調整が難しければオリンピックは二の次になるでしょう。

野球やバスケットボールんども微妙な空気が漂います。しかし、陸上なども賞金レースが増えているので、トップ選手に至ってはアマチュアとプロの境界は限りなく曖昧になっている事も確かです。

「「オリンピックの出場者は、スポーツによる金銭的な報酬を受けるべきではない」と主張したのは近代オリンピックの父、クベルタン男爵ですが、オリンピックにアマチュアリズムを求めるのは古臭い考えなのかも知れません。

■ TVを見なくなるとオリンピックなんて興味が無くなる ■

ところで私達が何故オリンピックに夢中になるかという原因の一つは、「メディアが盛り上げるから」。オリンピック期間中はどのTV局もオリンピック一色になります。

ところが、TVを持っていない私などは、「え!!オリンピックってもう始まってるの?」って感じで、ニュースサイトのスポーツ欄の見出しを目で追う程度の興味しか有りません。

どの選手がどれだけ苦労して、故障を乗り越えて・・・などという情報が無ければ、あるいは試合の経緯を知らなければ、興奮も感動も味わう事は不可能なのです。

私がへそ曲がりだからという事もありますが、我が家の娘や息子も「へぇー、オリンピックやってるんだ」程度の興味しか無い様です。最近の若い人達はTVを見ない人も多いので、こういう反応になるのは当然と言えます。

■ リアルなスポーツは面白い ■

私がスポーツが嫌いな訳ではありません。先日も記事にした様に「観るものでは無くやるもの」と考えてはいますが。

「観るスポーツ」も子供のバスケットの仕合などは興奮しますし、我が子がコートに立てば声を張り上げて応援する困った親です。

結局私にとってスポーツはリアルである事が重要な様です。高校野球もTVでは見ませんが、地元の高校が県大会でベスト4に進めば、球場まで応援に行きます。

リアルなスポーツなら、ジョギング中に土手の上から眺める少年野球や草野球だって結構楽しめます。

ただ、TVの箱の中の映像は・・・胸を熱くする事がありません。逆にアナウンサーや解説者が盛り上がったりしていると醒めてしまう・・・。


多分、私がへそ曲りなだけなのですが・・・。