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房総神社サイクルライド・・・1日では無理だった

2018-10-01 03:47:00 | 自転車/マラソン
 

■ 房総南部でサイクルツーリズムの試みが始まった ■

皆さんは「サイクルツーリズム」という言葉をご存じでしょうか。直訳すれば「自転車観光旅行」となりますが、サイクリングの旅行者を誘致して、地元経済の活性化に役立てようとする試みです。

先鞭を付けたのは「しまなみ海道」です。本四連絡橋を自転車で走破するこのコースは自転車乗り達に大人気で、遠くから多くの自転車乗りがチャレンジに訪れます。一泊する方も多いので、地域の経済活性化にも役立っています。

NHKで紹介されたらしいのでご存じの方もいらっしゃると思いますが、房総半島南部でも「サイクルツーリズム」の試みが始まっています。レンタルサイクルのステーションを設置したり、サイクルラックを設置するなど、小さいながらも自転車乗りの利便性を向上しています。

■ 自転車専用列車は・・・改善の余地あり ■

これに呼応するかの様に昨秋からJR東日本では、自転車をそのまま電車に持ち込める特別列車「B.B.BASE」の運行を開始しました。両国駅の現在は使われていないホームから出発し、房総南部の主要駅を結ぶ自転車専用列車です。




ただ、この特別電車、自転車乗りからは少々不評です。何故なら出発駅が両国に限られるので、そこまで自走して行くか、輪行する必要が有るのです。JRでは利用率を上げる為に津田沼駅と千葉駅からも乗車できるように改善しましたが、改札を通り再は自転車を輪行袋に入れる必要が有るそうです。自転車を輪行袋に詰めれば一般の電車に乗車出来ますから、わざわざ特別料金を払ってまで自転車専用列車に乗る必要は有りません。

現在の所、この特別列車の利用率は振るわない様ですが、輪行に慣れた自転車乗りは高いお金を払って特別列車に乗る必要は有りません。初心者の方が利用するには、両国駅まで自走するか、乗車駅まで輪行する必要があり、これ又ハードルが高い。

JRはこんな専用列車を作る位いなら、休日の朝と夕方の何本かの普通列車の最前車両か、最後尾の車両に、自転車をそのまま持ち込める様にする方が無駄なお金もかからずに、利用者にも便利です。小湊鉄道は既に休日にサイクルトレインを運行していますし、外房線や内房線でも限定的にサイクルトレインの試みがなされています。

問題は改札や階段を通過する時の安全性ですが、駅員が付き添って他の乗客に迷惑が掛からない様にするだけで良いかと。ただ、ビンディングシューズは階段で危険なのでエレベータを利用するか、スニーカーを履く事を義務付ければ良いかと思います。

■ 南房総の神社で始まった「房総神社サイクルライド・スタンプラリー」 ■

最近、南房総地域の神社がサイクルツーリズム運動に参加されています。自転車で決められた神社を巡るスタンプラリーを企画したのです。発起人は安房天津にある「天津神明宮」の神主の息子さん。この方、様々な地域振興の試み参加されていて、鴨川を舞台にしたアニメ『輪廻のラグランジェ』のプロジェクトでも名前をお見掛けしました。

「西のしまなみ、東の房総」に向けて、房総の若手神職が協力してサイクルツーリズムを推進

房総神社サイクルライド スタンプラリー

神社を巡って「御朱印」を集める「御朱印集め」はここ数年、女性の間でちょっとしたブームになっています。「コンプリート感」が魅力という御朱印集めですが、JRなどが企画するスタンプラリーの魅力に通じるものが有ります。

そこで自転車に乗って神社スタンプを集めるという企画を思い付かれたのだと思うのですが、御朱印帳はかさ張るので、カードにスタンプを押すスタイルに。御朱印は1つにつき300円程度ですがスタンプは無料で、コンプリートすると記念品が貰えます。

参加神社は木製のサイクルラックを設置しています。スポーツバイクはスタンドが有りませんから、これは嬉しい。ワイヤーロックをラックに絡めれば盗難防止にも役立ちます。

日頃のサイクリングでも、気になる神社には立ち寄る私ですが、神社を巡るという発想は新鮮です。それに、国道から少し離れた神社には、なかなか立ち寄る機会が有ませんでしたから。そこで、秋分の日を利用して、房総神社ライドへGO!!


■ 走行距離とルートは? ■


房総神社サイクルライド・スタンプラリーに参加されているのは下の11の神社です。★印の神社では完走すれば記念品が貰えます。

      1.岩井神社   南房総市高崎905
      2.瀧渕神社   南房総市富浦町多田良1193
      3.鶴谷八幡宮  館山市八幡68
      4.★安房神社  館山市大神宮589
      5.下立松原神社 南房総市白浜町滝口1728
      6.★高家神社  南房総市千倉町南朝夷164
      7.莫越山神社  南房総市沓見253
      8.★天津神明宮 鴨川市天津2954
      9.★遠見岬神社 勝浦市浜勝浦1
     10.瀧口神社   勝浦市部原1921
     11.國吉神社   いすみ市苅谷630

ルートラボで浦安から自走するコースを引いてみました。

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内房は交通量が多いので、いすみ市の國吉神社から初めて、岩井神社をゴールとし、岩井駅から輪行すると217kmのコースとなります。頑張れば1日で回れそうです。

■ 最初の神社で・・・何とカードが手に入らなかった・・・ ■

朝6時に浦安を出発し、うぐいすラインで上総牛久を経由して大多喜街道を南下します。大多喜からは、いすみ鉄道沿いを走る国道465号に入ります。田園風景の中をしばらく走ると、國吉神社と出雲神社の案内板が出て来ます。

しばらく進むと、神社の林が見えて来ます。駐車場に木製のサイクルラックが設置されています。





境内はひっそりしています。社務所に寄ってスタンプを頂こうと思いましたが・・・


そう、本日は「大原 はだか祭り」の当日でした。何十基もの神輿が海に突入する全国的にも有名なお祭りですが、國吉神社の方達はどうやらその手伝いに行っている様です。

國吉神社は健御名方命(たけみなかたのみこと)の外28柱の神々を祀っています。健御名方命(タケミナカタ)は大国主神(オオクニヌシ)の子供の神様です。國吉神社の隣に出雲大社上総分院が有り分霊を祀っていますが、親子の縁で分社が置かれたのでしょうか・・・。






拝殿の前にスタンプラリーのスタンプが置かれていましたが、何と、スタンプを押すカードが有りません。これでは完走を証明できなくなります。隣に房総の神社の縁起などが載った御朱印帳が有りましたので、200円でこれを購入して、國吉神社の場所にスタンプを押します。



■ 大原 はだか祭りの神輿に遭遇 ■

國吉神社を後にして、再びいすみ鉄道沿いを走っていると、神輿に遭遇しました。山田神社の神輿です。丁度、神社の境内を出て来た所でした。

「大原はだか祭り」は神輿が海に突入する「潮ふみ」が有名ですが、本来は神輿を担いで地域の家一軒一軒を回るお祭り。結構広範囲を回るので、担がずに腰高に神輿を下げて移動する時間の方が長い。大原地区の神輿の特徴は、親棒(縦棒)が二本しか無い事。狭い道を通る為だと思われますが、その為に神輿は不安定で左右にグラグラと揺れやすい。

神輿の担ぎ手に子供が混じっているにも大原の神輿の特徴でしょう。一般的な地域では子供神輿が別途に用意される事が普通ですが、大原では小学生は立派な担ぎ手です。




いすみ鉄道沿いの465号線に分かれを告げ、御宿を目指します。道の両側の田圃の畔には彼岸花が今を盛りと咲き誇っています。



■ 勝浦 滝口神社 ■

御宿から海岸沿いを走ります。朝からの曇天から一転して青空が広がります。



滝口神社の赤い鳥居は国道のすぐ脇に在りました。参道に芝生が生えていて、樹木も大きく無いので開放的な感じです。この神社の主祭神は日本武尊(ヤマトタケル)です。782年の創建で勝浦市内最古の神社です。伝説では日本武尊が東征の折にこの地に立ち寄り、村人を困らせている大蛇を成敗したと伝わります。武芸上達にご利益がある神社だとか。






■ 勝浦 遠見岬神社 ■

勝浦市街に入り、朝市の近くの高台にあるのが「遠見岬神社」。長い石段にズラリとひな人形が並ぶ事で有名な観光スポットです。主神は天冨命(アメノトミノミコト)。神武天皇の側近だった天冨命は阿波を開拓した後、海路房総半島南端の布良(ふら)を中心に開拓され、その後この地に移り住んで漁業や農業を伝えてとされています。




本殿は岬の高台の上に有ります。境内からは勝浦の街と太平洋が一望できます。






■ 安房天津の中乃見屋で「三楽流おらが丼」を食す ■

行川アイランドの先のトンネルの脇道を海沿いに進むと断崖絶壁の「おせんころがし」に出ます。ここは本当に東京から100km圏内??と疑いたくなる光景です。外洋から流れ込む海水は透明で、海の底が透けて見えます。



そろそろお腹が空いたので、昼食休憩とします。安房天津の外れ、城崎海岸の近くにある「中乃見屋」さんにサイクルスタンドを発見します。神社にあるスタンドと同じ木製のスタンドです。

1年程前に一度伺った事が有るお店ですが、店主は私の事を覚えていて下さいました。ここのオススメは「おらが丼定食」。鴨川の料理屋さんが自慢の一品を丼ぶりにするという企画です。中乃見屋さんのおらが丼は、ナメロウが3っつも乗っていて、さらに地魚の刺身も乗っています。ナメロウは一つはそのまま、一つは酢に漬けて、そして最期の一つはご飯と一緒に出汁茶漬けにして頂きます。2000円で満足度は◎。




民宿も営まれている中乃見屋さんですが、ホテルオークラで12年間フレンチの修行をされた息子さんと一緒に、リゾート割烹旅館を太海にオープンさせるそうです。図面を見せて頂きましたが、3部屋程のこじんまりとした宿ですが、オーシャンビューの立地で、今風の洒落たデザインです。食堂は7席で海に面してデッキも有ります。

ご主人は地域交流の場所にしたいと夢を語られていました。完成したら是非、食事に寄らせていただきたいと思います。

■ 源頼朝由来の天津神明宮 ■

昼食の後は、この企画の発起人が神職をされている「天津神明宮」に伺います。伊勢神宮の分社で天照皇大御神(アマテラスオオミカミ)を主祭神とする神社です。元々は事代主神(コトシロノヌシ)を祀った神社だったものを、頼朝が房州での再起を祈願し成就した事から、1184年に伊勢神宮より神霊を分神し「もうけ明神」とともに祀った。「房州伊勢の宮」と仰がれているとか。

伊勢神宮の遷宮同様に昔は20年に一度社を建て替えていた様ですが、現在は木製の大鳥居を建て替える「式年鳥居木曳祭り」が20年に一度行われています。以前にたまたまこの祭りに行き合いましたが、清澄山から切り出した杉の大木を街中の老若男女が綱を付けて曳回す珍しいお祭りです。次の開催は2035年。







■ 莫越山神社 (なこしやまじんじゃ) ■

天津神明宮から次の莫越山神社までは少し距離が有ります。外房の海岸線を潮風に吹かれ長柄は知るのは気持ちがイイ。(自転車が錆びそうですが)。

和田の先で海沿いを離れ暫く走ると、田んぼの中にコンモリとした岡が見えて来ます。そこが莫越山神社。神社の由来は神武天皇元年と伝わります。手置帆負命(たおきほおいのみこと)と彦狭知命(ひこさしりのみこと)のニ神が宮殿・家屋・器具・機械の類を作り出した神である事から、職人達の新興を集める神社だとか。

社は長い階段を上った昼も薄暗い木立の中に有ります。境内にはスダジイの巨木が生えています。







社務所を捜しましたが、境内の何処にもありません。小さな看板に「宮司宅は石段を下った先」と書かれています。石段の下には・・・普通の農家が建っていました。社務所らしき所は見当たりません。しばらく探すうちに、最初の鳥居の所まで来てしまいました。ふと見ると、社務所は〇〇さん宅の横と書かれています。さっきの農家の場所です。

まさかと思いながら農家の敷地に入ると女性の方が数人いらっしゃいました。「ここ分かり難いですよね」とおっしゃるので、どうやらここが社務所の様です。・・・農家の玄関の上がりかまちにスタンプが置かれていました。

私の200円の御朱印帳を見て、「御朱印集め」の女性の方が、「それ、どこで手に入りますか」と質問されました。どうやら、この神社では手に入らないみたいです。





■ フルコンプリート成らず ■


ここまでで11社中5社を巡りました。時刻は3時半を回っています。距離にして135km程度走りました。足は充分残っていのので走るだけなら岩井神社まで、後80km程は走れそうですが、それぞれの神社をじっくり見ていると、夜の遅い時間になるので社務所が閉まってしまいます。

ここから先は安房神社などじっくり見たい神社もあるので、本日はこれにて終了する事にしますい。この先は鉄道の沿線から離れてしまうので、電車に乗るまでに無駄に距離を走る事にもなります。

ここから先は追風に乗って、一気に館山市街に向かいます。4時半前に駅に着きますが、次の電車は5時17分。一時間近くを駅の周辺を散策して潰し、5時の時報のXーJAPAN「Forever Love」を聴いてからホームに向かいます。X-JAPANのYOSHIKIさんって、館山の呉服屋の息子さんなんですよね。




結局155km走って、5つの神社を参拝する事が出来ました。残りの6社は後日巡りたいと思います。

神社ライド、なかなか楽しいですが・・・一つ盲点が有ります。ビンディングシューズで石段は危ない。

私は歩き易いMTB用のSPDシューズですから問題は有りませんが、普通のサイクリストはSPD-SLシューズなので、つま先側のビンディングの突起が邪魔で、玉砂利や石段を歩く事は難しい。

この記事を読まれて神社ライドを決意された方には、スニーカーの持参をお勧めします。