『若おかみは小学生!』 高坂監督のストリーボード より
又かと思わず、もうしばらくお付き合い下さい。
■ Twitterで話題沸騰の劇場版『若おかみは小学生!』 ■
twitterなどネットの口コミメディアで劇場版『若おかみは小学生!』の投稿が大量に発生して、「祭り」状態となっています。
公開当初は劇場はガラガラで監督が舞台挨拶なさった、とある劇場の観客は5人だけだったとか。
それが、ネットで話題を聞きつけた人達が劇場に集まり出し、とうとう、新宿のバルト9では、昨日は最大席数433のシアター9を使って、一日6回上映を実施する程の本気モード。
■ 一般人は全く知らない『若おかみは小学生!』 ■
一方で、一般の方々の認知度は未だにゼロに等しいでしょう。
ネットの口コミがトレンド形成に影響力を持つと言われ手も、未だにTVや新聞の影響力は絶大です。
これはネットの口コミが「噂」であるのに対して、メディアの情報が「真実」だと人々が受け取る為です。ワイドショーの情報番組だとしても、TVで放送あれたという事は「真実」のお墨付きが有ると人々は判断します。
だから、ネットでどんなに盛り上がろうが、一般人はその情報を知ったとしても「懐疑的」です。
■ ネット口コミは「きっかけ」に過ぎない ■
ネットの口コミからヒットに繋がった作品として『カメラを止めるな』が有ります。ゾンビホラー映画の低予算パロディーですが、噂が噂を呼んで、たった5館の上映から、全国での上映に至っています。
ただ『カメラを止めるな』のヒットにしても、メディアが取り上げてから一般の人達の知る所となります。結局は、一般大衆を巻き込んだトレンド形成には、未だにTVや新聞などの既存メディアの力は絶大です。
■ 情報の閾値 ■
現代の情報拡散の状況を見るに、それぞれのメディアで「情報の閾値」が存在する様です。
1) Twitterなどで一部の人達が盛んに情報を発信する
2) 1次情報がある閾値に達する(Twitterのランキングで上位)と興味を持つ人が現れる
3) 興味を持った人が体験して、Twitterなどの2次情報を発信する
4) 情報が拡大して、ある程度の人達が体験し、3次、4次と情報が拡大する
5) 有名人がTwitterで情報を発し、多くの人がそれを目撃する
6) 〇〇さんが勧めるなら・・・と、多くの人が体験する
7) Twitterなどネットの口コミメディアが祭り状態となる
8) TVや新聞がこの人気を聞きつけて、情報番組などで取り上げる
9) TVを観た人達が、一気に体験に参加する
10)TVで情報を得て体験した人達は、リアルでも情報を発信し始める
11)ヒットが生まれる
この様な展開が想定されます。
先ず、ネットの口コミメディアの「閾値」は有名人の情報発信です。これはある意味における「真実認定」で、誰もが知る人気の有る人物の発言の影響力は大きい。
第二の閾値は、やはりTVや新聞の報道です。これで「真実認定」は揺らがなくなります。
■ 政治の世界でも口コミメディアとリアルメディアのギャップが存在する ■
政治の世界でも、ネットの口コミと、リアルメディアのギャップは依然大きい。
例えば、モリカケ問題一つとっても、ネットでこの問題が話題になったのは、TVや新聞が取り上げるよりも相当に早い。ただ、その情報にアクセスしていた人達は「阿修羅掲示板」の様に、安倍政権批判の情報を好んで収集する人達で、普通にネットを徘徊していても、これらの情報に遭遇する機会は多くは有りませんでした。
森友学園問題が表面化して世間の知る所となったのは、朝日新聞のスクープからですが、これでこの情報を知る人は、多分1万倍位に一気に拡大したでしょう。
この様に、ネット世界と、リアル世界で情報のギャップが著しく拡大しているのが現代です。そして、トランプ大統領などは、このギャップを逆手に取って、リアルメディアにフェイクニュースのレッテルを貼り、ネットによる情報発信こそが真実だというスリ替えをやってみせます。
尤も、トランプが有名人で、大統領候補だったり、大統領だったりする事によって、彼のTwitterのアクセスがリアルメディアに迫るものであるという事が前提になります。
様は、有名人、著名人のネット発信は、今やTVなどに迫る「真実」と受け止められる様になっているのです。
■ イーロン・マスクのテスラー株の非公開化というガセ情報 ■
先日、テスラーのCOEのイーロン・マスクが「テスラー株を非公開化するかも。資金の目途は付いた」とTwitterでつぶやき、その情報に投資家達が翻弄されました。
実際には非公開化の資金は集まっておらず、既存株主保護の上からも非公開化は中止されます。イーロンマスク氏はこの混乱の責任を取る形で、テスラの会長を辞任し、損失を被った投資家に保障をする様です。
マスク氏は依然よりTwitterなどのネットメディアを通じて情報発信をし、投資家達は、投資判断基準として、彼の発信に注目していました。しかし、その発信の信憑性は、当然の事ながらあまり高くは有りません。
マスク氏は、ある程度の願望や、若干の嘘も織り交ぜて、市場の期待を醸成し、市場を操作しているのです。
トランプ大統領にしても、マスク氏にしても、「ネットこそが真実」と考えている人達を、上手く手玉に取っています。
■ 劇場版『若おかみは小学生!』は、TVが取り上げた時点で大ヒットする ■
私がこれだけ何度も、劇場版『若おかみは小学生!』は名作だと書いてもも、ここの読者の多くは「子供向けのアニメ映画じゃないか」と興味すら持たれないでしょう。
これが「一般人のネット発信の限界」です。さらにこのブログは「陰謀論ブログ」ですから、信頼度の低さは折り紙付きです。
しかし、仮にTVのワイドショーや、新聞の映画情報欄でこの作品が取り上げられ、「ポストジブリの大本命」などと評されたら、多くの方が劇場に足を運ばれるでしょう。
既にネット口コミのフェーズは終了し、有名人が話題にするか、TVで取り上げれば、この作品の大ヒットは約束されています。
私は6月から、この作品のヒットを期待していますが、「現代におけるトレンドの形成のケーススタディー」として、全く無名の作品が、どの様に人々の認知度を高めて行くのか、興味を持って見守っています。
ちなみに配給会社は「ギャガ株式会社」です。現在は「USEN」の子会社みたいですね。