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漢字が読めない首相・・・実は、敵を欺くには味方から?

2018-10-02 05:44:00 | 時事/金融危機
 

■ 国連の演説で漢字を読み違えた安倍首相 ■



安倍首相が国連演説で「背後」を「セイゴ」と読み違えたと話題ですが、以前にも「云々」を「デンデン」と読んで、「でんでん首相」などとネットで揶揄されています。

上の画像は安倍首相の所信表明演説の原稿だと思いますが、漢字にルビが振られています。官僚達が安倍首相が漢字を読み間違えて恥をかかない様に配慮したものでしょう。「国会」にまでルビが振ってあるのには、いささかの悪意を感じますが、読み間違えは無いに越した事はありません。

ただ、ルビが振ってある漢字が必ずしも難しい漢字で無い事を考えると、ルビは「ゆっくり読む」とか「はっきり発音する」語句に振られている様にも思えます。


■ 漢字を読み違えて何が悪い ■

これに対して「麻生氏も首相の頃は読み違えが多かった」という意見がある様ですが、麻生氏の読み違えは以下の通り。

(1)怪我   - かいが        - けが
(2)完遂   - かんつい       - かんすい
(3)焦眉   - しゅうび       - しょうび
(4)順風満帆 - じゅんぷうまんぽ   - じゅんぷうまんぱん
(5)措置   - しょち        - そち
(6)思惑   - しわく        - おもわく
(7)低迷   - ていまい       - ていめい
(8)破綻   - はじょう       - はたん
(9)頻繁   - はんざつ       - ひんぱん
(10)踏襲   - ふしゅう        - とうしゅう
(11)前場   - まえば        - ぜんば
(12)未曾有  - みぞゆう        - みぞう
(13)有無   - ゆうむ         - うむ
(14)詳細   - ようさい        - しょうさい

高校生も間違えるかも知れない少し難しい漢字も含まれていますね。未曽有は「みぞうう」という読み方も有りますから微妙な間違い。私も「雰囲気」を「ふいんき」って読んでました。

麻生氏の原稿にルビが振られていたかは定かではありませんが(多分無いと思います)、「漢字が読めない」事がメディアでも随分と取り上げられました。丁度リーマンショック後の景気低迷期だったので、麻生政権は何をやっても批判されていた様に記憶しています。

私は当時、「漢字の読み違えごときで首相を批判するメディア」に不快感を抱いていました。国会質疑の内容よりも漢字の読み違えが大事なの?

■ 読み違えよりも「国会」にルビの方がヤバイのでは? ■

安倍首相は麻生元首相の二の舞を踏まない為に、官僚にルビを振らせているのだと思いますが、官僚がルビを振り忘れると「でんでん」とか「せいご」と読んでしまう・・・。これが人気の無い政権ならば、ワイドショーがこぞって取り上げるネタですが、安倍政権ではその様な事は起こりません。

私個人としては麻生氏の漢字の読み違えは「愛嬌のうち」と捉えますが、小学生でも読める漢字にルビが振られた首相の原稿には「危機感」を覚えます。

尤も、官僚が印象操作でわざと簡単な漢字にまでルビを振った可能性は否定できません。

■ 安倍首相のはぐらかし答弁もライターが存在する? ■

先日の自民党総裁選のTVでの石破氏との討論で、国民の中には初めて安倍首相の「はぐらかし答弁」を知った方も多いかと思います。利益関係者とのゴルフを指摘されて「テニスや将棋なら良いんですか?ゴルフはオリンピック競技にもなっています」と反論した事が話題になっていました。

これ、安倍首相の失点の様にネットでは批判されていますが、私は安倍首相がTV討論に出演するに当たり、事前に司会者の質問を知らされていないハズは無いと思います。この場面でも「公務員の服務規程ではゴルフだけが禁じられている・・・」などと、咄嗟に出たとは思えない反論もしていて、ある程度、答えが準備されていた感がします。

国会質疑でも安倍首相の「はぐらかし答弁」は有名ですが、野党の質問者との対話が成立しないという点では実に有効な手法で、質問者は苛立ちのあまり毅然とした質問姿勢を忘れ、感情的になるか、安倍首相をバカにした態度を取る事で、視聴者の印象を悪くします。「追及しきれなかった」という汚点だけが残ります。

この「はぐらかし答弁」もきっと原稿があるか、ある程度レクチャーを受けていると思います。これは麻生首相も同様で、横柄に見える彼の答弁は、議論の余地が無いという点でパーフェクトに近い。

■ 予期せぬ質問で支離滅裂になる安倍首相 ■

むしろ国会中継で面白いのは、事前の質疑書に記されていない質問がされた時で、安倍首相は早口で支離滅裂な事をまくし立て、最後はキレて質問者を攻撃し始めます。

これも結果的には「キレ芸」みたいなもので、結局、質問の内容には全く答えず、さらには視聴者は質問の内容すら分からなくなってしまいます。

これを動画でアップして「安倍首相、無双!!」なんて赤字のタイトルを付けるのですから、ネトウヨの頭の中を一度覗いてみたいものです。

■ 「日本の首相はバカにしかやらせない」と言ったジャパンハンドラー ■

実は小泉首相以降、日本の首相は「対話の出来ない」方が多い様に感じます。小泉氏、森氏、安倍氏らが先ず浮かびます。

福田康夫氏は、きちんと対話が出来る方でしたが、本人がイヤイヤ政治家や首相をやられていたので、答弁の「他人事」的な空気が漂っていて国民の人気はイマイチでした。

アメリカの日本利権を持つ人達をジャパンハンドラーズと呼びますが、読売新聞に度々登場するリチャード・アミテージ氏や、ジョセフ・ナイ教授、小泉新次郎氏がアメリカ時代に鞄持ちをやっていたというマイケル・ジョナサン・グリーンらは良く知られた存在です。

マイケル・グリーンは以前「日本の首相はバカにしかやらせない」と語ったそうで、何故安倍首相なのかという疑問に明確な答えを与えてくれます。

■ 気付いたら「親米」になっていた安倍政権 ■


実は安倍政権発足前や、発足直後の安倍首相の言動は、反米的な所が見られました。これはお祖父さんである岸元首相を尊敬している事に由来している様です。岸首相は日本が独自武装して日米地位協定を改正、或いは撤廃する事で日本の真の独立を目指していたと言われています。

安倍首相の憲法改正への執念は、祖父の意思を継いだものでしょう。日本を戦争出来る普通の国のする事で、自主防衛、あるいは対等な集団的防衛権を確立して、アメリカと距離を取るというのが、自民党の悲願でもあります。日本会議や自民党を支持する保守層の多くもこの理念を共有しているでしょう。

第一次安倍内閣はこの姿勢を強めに打ち出して、アメリカに見限られ早期に退陣します。この経験を踏まえて、第二次安倍内閣はアメリカに対して柔軟に対応して来ました。TPPも選挙では反対しながらも、実際には条約締結の旗振り役を担いました。


ただ、オバマ政権の時は、安倍首相とアメリカの間に距離が有りました。日米首脳会談もなかなか約束を取り付けられませんでした。これは反米保守を裏に隠した安倍政権をアメリカが警戒していたのでしょう。

ところが、モリカケ事件がマスコミを賑わす様になる頃から、安倍首相の隠れ反米的な態度は一変して、アメリカの言うなりになって来ます。オバマ政権末期から、かなり尻尾を振ってはいましたが、トランプ政権になってからは、安倍首相の親密度アピールはハンパ有りません。

憲法改正という大望の前にはプライドなど捨てても構わないのか・・・それともモリカケ問題で脅されているのか・・・。

今回の訪米でも、安倍首相はFTA(包括的貿易協定・自由貿易協定)は避けられたと強調しますが、単に「今回は避けられた」だけで、今後アメリカは投資やサービスの分野での交渉を求めて来る事は確実ですし、自動車関税もワイルドカードとして何回も切って来るハズです。

一方、FTAを物品貿易協定(TAG)にしてもらった見返りは、防衛備品の大量購入という形でしかり払わされています。

■ 誰がやっても同じ日本の首相 ■


ここまで読まれた方は、「人力は随分と安倍首相を嫌いなんだな」と思われるでしょう。確かに小学生レベルの漢字を読み間違える首相は情けないと感じています。

一方で、日本の首相は誰がやろうが、たいして変わらないとも考えています。

仮にアメリカの言いなりにならない方が首相になったとしたら、その政権は短命で終わるでしょう。麻生政権がこれに当たります。故中川元財務大臣を始め、アメリカの要求を拒否したと思われる麻生政権はマスコミにフルボッコにされ、民主党に政権を譲る結果となりました。

福田康夫政権も自衛隊の中東派遣を逃れる為に退陣したと噂されます。「あなたとは違うんです」という官邸を去る際の一言の裏に、どれだけの思いがあった事か。

では日本がアメリカの軛から解放される手段は無いのか・・・・・。「抱き付き心中」とか「自爆攻撃」なんて過激な方法は思い浮かびます。日銀が狂った様に円をバラまいて、ドルを含めた通貨の信用を失墜させ、ドル基軸体制を終焉させるとか・・・。

アレアレ、安倍首相や黒田総裁って、もしかして切れ者だったりして・・・。ルビが振られた原稿も、支離滅裂な国会答弁の、今川を欺いた織田信長の様な演技だったりして・・・・。


バブル雑感・・・経済のジェット気流

2018-10-02 05:25:00 | 時事/金融危機
 

今年の異常猛暑ですがジェット気流の乱れが原因だとか。ジェット気流が大きく蛇行する現象は知られていますが、今年はさらに乱れてスムースに流れなくなってしまった。その原因をシカゴ大学の日本人研究者らのグループが交通渋滞のシミュレーションと同様の手法で解析した結果、気流の流量が閾値を超えると蛇行や乱流が発生するらしい事が分かった。但し、何故気流の流量が増えるのかという原因は分かっていません。

感覚的ではありますが、経済も似たような物ではないかと妄想してしまいます。金融緩和によってマネーの流れが活発化すると通貨流通量はどこかで限界を迎えます。以前は物の売買が主体の経済で、貨幣のやり取りが介在する経済でしたから、貨幣は「ある物」に滞留しやすくなりバブルが発生し易かった。チューリップの球根であったり、鉄観音茶であったり、土地のバブルがそれに相当します。

一方、貨幣や証券などの金融商品が半ば電子化され、国境を軽々と越えて取引される時代には「物バブル」に比べてバブルが発生し難く、特に債券の金融商品化以降は借金によって投資の対象が増え続けるという「疑似永久機関」の様な状況が生まれています。これによって増え続ける緩和マネーを市場は貪欲に吸収する事が出来ます。

では、あたかもジェット気流の様な現在の貨幣循環に蛇行や乱流は発生しないのか?どこかで渋滞が発生する事は無いのか?中央銀行は通貨供給量の調節や金利によって貨幣のジェット気流の流量をコントロールできると考えています。これが出口戦略。

面白い事に、貨幣のジェット気流の流量はアメリカの実態経済に依存するとは思えないのに、FRBは表面上はアメリカの実体経済や雇用統計を指標に金利のコントロールをしています。(実際には市場の過熱感にも結構敏感だとは思うのですが)。その結果、通貨の流量が過剰傾向になり、どこかで金利の均衡点が崩れると通貨のジェットストリームはスムースに流れる事が出来なくなる。

面白いのは流体には粘性があり、それによって予測を裏切る。身体の重さが羽の面積に比して重いクマバチは物理学的に飛行は不可能と考えられていた、だからクマバチをして「不可能を可能にする事」の代名詞としていますが、実は空気の粘性によってクマバチの飛行は可能だった。

経済の流れも同様で、「勢い」や「欲望」というある種の「粘性」が不可能を可能にしている。ピークアウトしてもしばらくは流れ続ける。これがバブル慎重派が予測を間違える原因。儲けはこのラグの中に転がっている。但し、多くの投資家が引き時を一瞬にして失うのがバブル崩壊。