<掲載写真は『若おかみは小学生!』原画展より (有楽町マルイ8Fで開催中)>
■ 433席の大劇場がほぼ満員 ■
またか・・・と思わず、『若おかみは小学生!』の記事にお付き合い下さい。
『若おかみは小学生!』を満員の劇場で観たくて、新宿バルト9に出かけて来ました。433席のシアター9が満員。
客層は幅広く、中学・高校生ぐらいから80代まで様々な年齢。男性の比率がやや高いのは、子供向け映画としては異例でしょう。半面、子供が少ない。・・・しかし子供の観客が少ない子供向け映画って不気味でもあります。
これまで、公開二日目の上野も、2週目の夜の船橋ららぽーとも、ガラガラの劇場で鑑賞したので、満員の劇場で、周囲の人がどんな反応を示すのか興味津々。
私の右隣は、20代前半との女性の二人組、左隣は、小学生の女の子二人を連れたお母さん。オタクの男性に囲まれなかった事を神様に感謝します。
■ 隣のおねえさん、GOODな反応をありがとう ■
ムサイ50代オヤジの隣で、おねえさんが不快な思いをしたら申し訳ないなと、座席で身を小さくしていましたが、上映が始まるとオネエサンは映画に夢中。とにかく、楽しいシーンで良く笑います。小学生の姉妹も同じタイミングで笑うので、心の澄んだオネエサンなのでしょう。
先日、船橋ららぽーとで観た時には、5歳くらいの子供が大きなリアクションをしいて子供映画らしい雰囲気でした。、オッコがライバルの若おかみとケンカするシーンでは「ピンピン・フリフリーーー」って、スクリーンのセリフを復唱して笑ってしまいましたが、本日は幼児が居ないので、天真爛漫なリアクションが無いのが少し残念です。
アニメが好きそうな男性諸氏の反応は薄めです。彼らは「背景が・・・」とか「動画が・・・」とか、ネットで色々話題になっておるクオリティーのチェックに余念が無い様です。
私はと言うと・・・今朝、朝2時から起きているので・・・時々意識が飛びかけます。暗い所に入ると直ぐ眠くなるんです・・・。
■ 劇場中が泣いているから、心おきなく泣けた ■
3回目の視聴で流石にラストで泣く事は無いだろうと思っていたのですが、何と、衝撃シーンの前から鼻が垂れて来ました・・・。どうやら「パブロフの犬」現象が発生している様です。『若おかみは小学生!』を観ると、条件反射で涙が出る様になってしまった。
さて、問題のシーンに差し掛かると、劇場中から鼻をススル音が聞こえてきます。隣のリアクションの良いオネエサンも盛大に鼻を啜っています。左隣のリアクションの薄かったお母さまも何回も鼻を啜り、涙を手で拭っています。
私はハンカチを準備していたので、鼻と涙を遠慮なく拭います。
ネットの書き込みでは、箱ティッシュ持参で劇場に足を運んだ女子も居る様で、この映画を観る為には、やはりハンカチか小さなタオルは必需品の様です。
しかし、不思議な映画です。今回は劇場の観客の観察が目的の視聴でしたが、周囲の気配に気を取られているのに、問題のシーンになると、ブワンと心の底の方から、何か形容しがたい感動が浮かび上がってきて、涙が止まらなくなります。
■ 終映後はあたかも葬式会場の様だった ■
終映後、あちこちから「私、泣いちゃったよ」とか「これヤバくない」なんて声が聞こえてきます。
真っ赤に目を泣きはらして、鼻を盛大に啜る両親に連れられた子供が「面白かったね。でもちょっと泣いた!!」と親よりも泣かなかった事を自慢しています。
衝撃的なのは明らかに号泣したと思われる中年男性が少なからず居た事。
劇場を出ると、若い方は一斉にスマホを取り出して、TwitterやLINEで感動をネットに放出し始めました。一方、中高年は子供向けアニメで泣かされた事が信じられないのか、茫然示寂といった感じでエスカレーターの列に並びます。
ほとんどの人が目を真っ赤に泣きはらして、鼻をズルズルとやってうるので、何だか葬式の参列者の様になっています。そのまま粛々とエスカレーターで階を下って行きます。
ロビーの売店には長蛇の列が出来ていました。中高年の男女が目立つのが特徴です。ほとんどの方が「若おかみは小学生のパンフレットを下さい」と言っています。その間も鼻をズルズルとやっている方が多い。
■ 魂の殻が厚くなってしまった大人程、浄化される様だ ■
今回、満員の劇場で観客の反応で特徴的だったのは、中高年の男性がボロ泣きしているという点。そして中高年の女性も、上映終了後、結構涙を引きずっているみたいでした。
人生、様々な経験をしている方が若い人よりも「泣かされる」様です。
長い人生で形成された心の厚い殻が、不意に破られて、忘れていた純粋な感情が溢れ出した・・・私自身はその様に感じています。
中高年の女性は、オッコの姿に自分の子供や孫の姿を重ねているのかも知れません。もう、健気で健気で、ひたすら健気なオッコに訪れる試練、そして、それを力強く乗り越えるオッコが、可愛くて仕方無いといった感じでしょうか。
■ 有楽町マルイの原画展で、高坂監督のサイン会が開かれていた ■
劇場版『若おかみは小学生!』は、誰が観ても感動する。そう確信して新宿を離れ、原画展が開かれている有楽町マルイに向かいます。
最近のマルイはサブカルチャーが充実しています。かつてはDCブランドブームの火付け役としてヤングファッションを得意としていたマルイですが、現在は新宿アネックス、渋谷店などでサブカル系のショップを展開しています。
今や、アニメなどのサブカルは若者にとってはファッションの一部となっているのかも知れません。秋葉原や中野ブロードウェイとは違い、ライトにオシャレにサブカルを楽しむ人達が増えているのでしょう。さすがにマルイは若者のトレンドに敏感です。
有楽町マルイの8Fも、かつてはTSUTAYAが入っていた場所が、巨大なイベントスペースとなっており、大型のフィギアの展覧会と、マルイのアニメコマーシャルの原画展が開催されていました。
その隣で、『若おかみは小学生!』原画展が開催されていますが、10月8日までなので、興味ある方はお早目に。
会場に来ているのは、ほとんどが「真性アニメファン」の男性ばかり。ここだけはファッションのマルイとは、ちょっと別空間。マルイさんの会社の方の姿が多いなと思ったら、何と、高坂監督のサイン会が始まりました。
監督は小柄の方ですが、アニメ界きっての自転車乗りです。かつてはツールド・信州で優勝の常連だったとか。色紙にその場で、オッコの絵をさらさらと書く横で、プロデューサーさんが、ファンの相手をしています。最初の男性は、劇場で19回もこの作品をご覧になられたそうです。
サインは何かの抽選に当選した方のみの様なので、私は原画展をじっくり鑑賞する事に。
この作品の見どころの一つは背景美術の素晴らしさですが、手描きですね。背景でクレジットされていた男鹿和雄氏は『となりのトトロ』の背景を担当された方。
絵コンテも展示されています。これはオッコがウリ坊に出合ったシーン。
エンディングの背景の、監督手描きのストーリーボードも展示されています。絵柄はモロにジブリ。
エンディングで気になった妊婦さんとウリ坊の絵。どうやら、オッコを妊娠したお母さんの様ですね。鈴鬼が封印された土鈴に「私にもしもの事があったら赤ちゃんを守って」と願いを掛けています。それを見守るウリ坊。カットされてしまったシーンですが、だから事故の時にウリ坊はオッコを救ったのでしょう。
これは、オッコの草履の鼻緒を「藍龍」とおう人物?が直している絵。劇場版には登場しない人物です。鼻緒を直す役は鈴鬼に代わっています。
これもエンディングで気になったカット。神楽を舞う前に身を清めるオッコとマツキですが、マツキがオッコに背負われています。その前のカットでも、マツキがオッコのもたれかかっているので、マツキに何か起こったと思われます。ただ、その部分は劇場版には有りません。
5日金曜日のトークショーで監督が「できればディレクターズカットで省略してシーンを加えたい」と語っていた様ですが、90分の尺に収める為に、カットされた設定やシーンも多いのでしょう。プロデュサーは「ヒットしたらそれも有るかも」と応じたらしいので、ちょと見てみたい気もします。
3連休も二日目。東京近郊の方は、是非、劇場で映画を鑑賞した後は、有楽町マルイ8Fで開催中の原画展もご覧にになられては如何でしょうか。