■ 「不安定な弧」と米軍再編(トランスフォーメーション) ■
日刊動労千葉 2003年3月8日 より
米軍は1990年代からトランスフォーメーションと呼ばれる再編計画を着々と実行しています。
これは東西冷戦に対応していた米軍の軍事力を、軍事的緊張が高まっている「不安定の弧」に対応させる為の米軍の構造改革です。
1) 旧来の米軍の戦力配置は北東アジアとヨーロッパに偏っていた
2) 旧来の戦力配置は東西冷戦時のソ連に対抗したものであった
3) 東西冷戦の終結で、対ソ連の戦力配置の必要性は薄まった
4) 新たに「不安定の弧」と呼ばれる軍事的緊張地域が出現した
5) 極東の軍事力を南アジアに移動させ、即応性を高める
6) 在韓米軍は2016年までに撤退する(未達)
7) 朝鮮半島の軍事指揮権を2015年までに韓国に返還(朴政権の要請で20年まで延期)
8) 沖縄の海兵隊員8000人をグアムに移転
9) 沖縄の米軍基地のいくつかと、訓練場の一部地域を返還
10) 無人機や航空輸送が可能な装甲車、電子的に統合された戦闘システムなど
装備の重点を従来の物量から、機動性や即応性にシフトする
簡単ではありますが、1990年代半ばから米軍は着々と再編を継続しています。但し、北朝鮮の脅威の拡大によって、在韓米軍の朝鮮半島からの撤退は延期されています。又、普天間基地から辺野古への基地移転も反対運動で遅れています。
米軍は状況に応じて当初の計画を修正しながらも、確実に再編を進めています。
■ 米軍は極東アジアから撤退するの? ■
東京新聞 2017.09.16 より全文引用
米軍、対中衝突想定で日本に役割 「第1列島線」委ねる案、検討
【ワシントン共同】米国が南シナ海や東シナ海で中国と軍事衝突した場合に米軍が米領グアムまで一時移動し、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ軍事戦略上の海上ライン「第1列島線」の防衛を同盟国の日本などに委ねる案が検討されていることが15日分かった。昨年7月に陸上幕僚長を退職した岩田清文氏がワシントンのシンポジウムで明らかにした。
米軍を中国近海に寄せ付けない中国の「接近拒否戦略」に対応するためで、中国が開発した「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」による空母撃沈を避ける狙いがある。実際にこの案が採用されれば、自衛隊の役割拡大が求められるのは確実だ。
引用終わり
日本のメディアは米軍再編についてあまり報道して来ませんでしたが、防錆省のホームぺージには米軍再編の進捗状況を開示するページが在ります。
東京新聞が報じているのは、平常時では無く、中国と米軍が直接戦闘になった場合の米軍の対応です。中国の対艦弾道ミサイルの精度が上がったので、米中有事の際には、米空母機動部隊は中国近海に近づけなくなった事を暗に示しています。
発射から着弾まで数分では、空母機動部隊が発射を察知して転進する時間的猶予が有りません。空母の進路はある程度予測出来るので、米軍は対中有事に際してはグアムまで後退する。
■ 米中有事で北朝鮮はどうなる? ■
実はここからが本題。
仮に米軍がグアムまで後退したとして、その軍事的空白は誰が埋めるのか。当然、日本、韓国、フィリピンなどが連携して中国軍の対峙し、米軍が支援に回る事になります。
ところで北朝鮮は中国側に着くのでしょうか・・・?
私はどの国にも加担せず、「我が国の国土を冒す国は、いかなる国も容赦はしない。地獄の業火で焼かれるであろう」と宣言するだろうと妄想しています。
近代において朝鮮半島は中国やロシア、日本の侵略にさらされて来ました。現在日本は大陸への侵略の野望を捨てていますが、防衛的観点からは朝鮮半島が中国やロシアの手に渡る事は避けたい。
しかし、有事の際には在韓米軍も在日米軍も当てには出来ません。一目散にグアムまで撤退してしまう可能性が有る。
そこで、朝鮮半島の防衛は「ロケットマンの核ミサイル」に委ねられる事になります。「あいつなら本当に発射するかも知れない」と思わせる事で最大の抑止効果を生み出します。
韓国は北朝鮮の核ミサイルが自分達を守るものである事に薄々気付いているでしょう。実際に南北統一が達成されれば、北の核は韓国の物でもあります。韓国はチャッカリ核保有国になれる・・・ハズ。
私は日本政府も北朝鮮の核武装を影で応援していると妄想しています。だから朝鮮総連からの送金を止めない。
安倍政権は2014年に2006年から続く北朝鮮制裁を一部緩和しています。理由は北朝鮮側が国内での有効な拉致被害者の調査を開始するからとされています。
【人的往来】
北朝鮮当局員の北朝鮮からの再入国を原則禁止 → 解除
日本から北朝鮮への渡航を自粛 → 解除
北朝鮮国籍者の入国を原則禁止 → 解除
【送金、現金持ち出し】
10万円超の場合の北朝鮮への現金持ち出しの届け出義務 → 100万円超に緩和
300万円超の場合の北朝鮮への送金の報告義務 → 3000万円超に緩和
【北朝鮮船舶の入港禁止】
人道目的の北朝鮮船舶の入港禁止 → 人道的目的に限りOK、万景峰号は禁止継続。
安倍政権は北朝鮮に強硬的な態度を示していると考えている人が多いと思いますが、実は優しい・・・。さらに、上の「届け出義務」とか「報告義務」ってザルに等しい。朝鮮総連やパチンコ業界がこれを厳守しているかどうか・・。
政界にはパチンコ議連なる組織が在ります。山本有二農林水産大臣、野田聖子政務会長も名を連ねています。野田氏はご主人が在日の元ヤクザである事を週刊文春が明かしていますが、日本の政界と朝鮮半島との繋がりは明治維新より続いています。安倍首相も統一教会と関係が深いですし・・・。
これをして、「日本の政界が朝鮮半島に乗っ取られている」と考えるのか、或いは「日本と朝鮮半島は運命共同体」と考えるかは人それぞれでしょうが・・・私は後者かな。
だから、北朝鮮の核は日本の核。北朝鮮のミサイルは日本のミサイル。
日本の政局が微妙な時に北朝鮮がミサイルを飛ばしたり、核実験をするのはスポンサーに対するサービスなのかも知れません。
■ アメリカが進める北朝鮮の核武装? ■
トランプ大統領は国連の演説で金正恩を「ロケットマン」と揶揄しましたが、アメリカが北朝鮮を挑発すればする程、北朝鮮にとっては核武装を正当化する理由が出来ます。「アメリカが我が国を滅ぼそうとするならば、我が国は核武装で対抗するしか無い」と考えるからです。(或いは、そういう動機を世間に印象付けて核武装を密かに支援する)
実際に水爆や、ICBMやSLBMの技術を「先端産業の技術基盤の無い」北朝鮮が開発する事は不可能で、電子機器や材料や燃料も含め、どこかのルートでロシアやアメリカから持ち込まれているであろう事は想像に難くない。
そもそも韓国の首都ソウルが何故南北軍事業界線にあんなに近いのに遷都しないのか・・・。境界線から40~50kmしか離れていないソウルでは、南北開戦直後に通常の砲弾が雨アラレの様に降り注ぎ、1千万人の命が危険に晒されます。トランプ政権のスティーブン・バノン前大統領上級顧問はこの事をして「アメリカが北朝鮮を先制攻撃する事はあり得ない」と発言していますが(それが原因で辞任?)これが現実です。韓国人も北朝鮮を嫌悪する一方で、どこか「同胞」として信頼している様に見えます。
さらに中露は北朝鮮制裁に消極的で、これも間接的に北朝鮮の核武装を助けています。彼らにとっても有事の際に「北朝鮮というクッション」は、米軍と地上戦で直接対峙しない為には重要なのです。
何れにしても、世界は私達が想像しているよりずっと複雑に絡まり合っている・・・・。
・・・・月曜日からドーデもいい妄想に浸ってしまいました。