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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「灰色のサイ」とジャンク債市場・・・市場のカナリアが何かに反応している

2017-11-27 05:59:00 | 時事/金融危機
 

■ 灰色のサイ ■

リーマンショック前後に流行した「ブラックスワン」という言葉。白鳥は「白い」と思われてい所、オーストラリアで「黒い白鳥=黒鳥」が発見された事になぞらえて、「想像もしていなかったリスクが突然現れる」事を意味します。

サブプライム・ショックはある程度予測可能でしたが、政府が救済すると思われていたリーマンブラザーズの破綻は想定外。それによって市場は一気にパニックに陥りました。

「ブラックスワン」は「予想外の危機」を指す言葉ですが、それに対する言葉として、米国の学者ミシェル・ウッカー氏が2013年1月にダボス世界経済フォーラムで米国の学者ミシェル・ウッカー氏が2013年1月にダボス世界経済フォーラムで提起「灰色のサイ」を提起します。

「灰色のサイ」とは、「見えているのに対処されず放置された危機」の事です。草原で草を食んでいる灰色のサイは体も大きく目立ちますが、普段は温厚な動物です。しかし、サイは一度何かに怒ると突然走り出し手が付けられなくなります。

「灰色のサイ」は当時は理財商品などで強引な拡大を続ける中国経済を指して使われる事が多かった様です。

■ 気づいたら「灰色のサイ」だらけになった市場 ■

リーマンショック後の「狂った様な金融緩和」によって世界経済は崩壊の危機を脱しましたが、未だに継続する「超緩和的金融政策」によって、世界の投資マネーはジャブジャブの状況が続いています。

それらのマネーはあらゆる市場に入り込み、株価や債券金利を適切な水準から乖離させています。この乖離が大きくなる状態を「バブル」と呼びます。

かつてのバブルはある特定の市場に資金が集中する事で拡大し、そして何かの切っ掛けで崩壊しました。ところが、リーマンショック以降の市場は、特定の市場が過熱する事無く、様々な市場で見えないバブルが徐々に進行する事を特徴としています。

「ダウ平均株価が史上最高値を更新」とか「日経平均株価が15年ぶり高値」など、一見景気の良さそうな見出しが新聞を賑わせていますが、あまり話題にならないのがジャンク債市場。破綻リスクが高い故に金利の高いジャンク債ですが、それ故にリスクには敏感で危機を予兆して資金が真っ先に逃げ出します。

市場のカナリアとも言えるジャンク債ですが、トランプ政権誕生前後に金利が上昇した後、金利が低下し続けていました(価格は上昇)。株式市場の上昇にリンクするかの様に、ジャンク債市場にもリスクマネーが大量に流入していたのです。

株式市場もジャンク債市場も、トランプラリー以降はリスクに鈍感になっています。この状況は、草原に灰色のサイが大量に発生した状況と言えます。彼らは今のところ、おとなしく草を食べていて、一見平和な光景です。

■ ジャンク債市場から資金が流出した ■

リスクに敏感ばジャンク債ですが、11月10日にジャンク債の上場投資信託(ETF)から13億ドル(約1470億円)を引き揚げられました。それ以降、ジャンク債の金利が上昇しています。

これに反応したのか11月14日頃にダウ平均株価が下落しますが、こちらは日経平均同様に、その後回復に転じています。

市場のカナリアとも言えるジャンク債市場が何に警戒したのか不明ですが、一説にはサウジアラビア国内の粛清劇に反応したのでは無いかとの憶測もある様です。サウジアラビアのマネーが引き上げられる事を恐れたのでは無いかと・・・。

依然ジャンク債市場からは資金が流出している様ですが、株式市場は若干の変動はある物の、今の所上昇基調で推移しています。

■ ブラックスワンが水面にちょっと顔を出せば、灰色のサイが暴走する? ■

私個人としては世界経済の最大の危機は「中東戦争」だと予想しています。しかし、それは「危機の仕上げ」であって、切っ掛けには成り得ない。

FRB議長の交代も大きなリスクとは成り得ませんし、FRBの12月利上げも市場は充分の織り込んでいます。

中国経済も不安定の内に安定しており、こちらは巨大は灰色のサイですが、黒い白鳥には見えません。

結局の所、現在の世界経済に大量の灰色のサイは居れど、ブラックスワンは見当たらない・・・。これが史上が楽観的になる理由で、ただ、それ故に、危機に敏感なジャンク債市場は何か予感めいた物を感じ取っているのかも知れません。

ちょっとでも黒い頭が水面に見えたら、灰色のサイ達は一斉に暴走し始めるのでしょうが、黒い頭が、いつ、どこから現れるのかは予測が難しい。

今は水流の変化を感じ取っているジャンク債市場の動向に注意が必要・・・程度なのかも知れません。


50歳を過ぎてハーフマラソン90分切に挑戦してみる・・・先ずは減量

2017-11-24 05:49:00 | 自転車/マラソン
 

■ 自転車に乗っていると太る? ■

40歳代の半ばまではフルマラソンの大会にエントリーしていましたが、自転車に乗る様になってからランニングはすっかりサボっています。最後の大会が2013年の「かすみがうらマラソン」ですから、5年近くマラソン大会に出ていません。

理由は「体重の増加」。

大会に出るからには、ある程度のタイムを出したいのですが、体重が67kgを越えると、秋からの走り込みの時期に必ず左膝に痛みが出ます。減量と夏場の体力維持に自転車に乗る時間を増やした所・・・何と体重が増えて最近では70kgを越えてしまいました。

ピストの重いギアで坂道を上る場合、体重だけではペダルが下がらないので、上半身の筋肉を総動員してハンドルを引っ張り上げる事でペダルを強引に踏み込みます。これで増えたのが胸回りと、腹直筋など体幹の筋肉。筋肉が太くなっただけで皮下脂肪はあまり減らないので、上半身が二回りばかり太くなった。

体重も3kg程度増えました。

■ 長雨で体が細くなった・・・ ■

10月の終わりに親戚の結婚式に呼ばれていたのですが、礼服を着ようとしたら・・・ボタンがハマらない。9月のこの惨事に気付き、2か月でダイエットをする事を決意したのですが・・・そこから土日の度に雨、雨、台風、台風・・・。

10月などはほぼ一か月自転車に乗れず仕舞でしたが、何故か礼服が着れる様になった。見た目にも上半身が痩せたのが分かります。

そう、運動不足で筋肉が落ちたのです。

■ 勢いでハーフマラソンにエントリーしてしまった ■

せっかく不要な筋肉が落ちたので、このまま要らない脂肪も減らしてしまおう・・・。自転車では痩せない事は立証されているので、やはりランニングが一番。

しかし、目標無く走ると、3日坊主で終わる事は間違い無い。そこで思わず来年2月の浦安ベイシティーマラソンにエントリーしてしまいました。

9月に走った時は・・・8kmでギブアップしました。そこから3回目のランニングで20kmまで距離を伸ばしたので、少し練習すればハーフマラソンの大会に出る位には回復するのでは・・・。

■ 自転車で体幹の筋力が上ったので、着地が変わった ■

先週から、本格的なハーフマラソンの練習メニューを始めましたが・・・早くも膝に痛みが出ています。例年はここでスピード練習をして膝痛が本格化して挫折するパターン。

ところが今年の私は一味違います。自転車で体幹の筋肉が鍛えられたので、着地の仕方が変化しました。

マラソンでは数年前の「フォアフット(つま先)着地」のブームが有りました。日本人は「踵着地」のランナーが多いのですが、踵着地は膝が伸びた状態で着地するので衝撃が大きく、膝や腰を故障し易い欠点が在ります。

アフリカのランナーなどは爪先から着地するのですが、これだと膝が曲がった状態なので衝撃が緩和されます。さらに、着地がブレーキにならないので走りの効率も高まる。但し、日本人は骨盤が落ちているので、意識しても、なかなか爪先着地が出来ません。

私も何度かフォアフット着地にフォーム改造をチャレンジしましたが、なかなか難しかった。ところが、久しぶりに走ったら、フォアフットとは行かないまでも、足裏全体で着地するミッドソール着地に近いフォームになっていました。

■ 目指せハーフマラソン90分 ■

ところで、来年2月のハーフマラソンの目標タイムをどの位にするか・・・・。これが問題だ。

40歳の時に出したベストタイムが1時間27分26秒だから、現在の目標としては90分切が達成できれば上出来かと。

90分(1時間30分)切りは、市民ランナーの多くが目標とする所ですが、1kmを4分15秒で21km走るのは結構大変です。ダッシュやインターバルといったスピードを鍛える練習をこなさないと達成出来ませんが・・・当然、故障のリスクが高まります。

私の経験では体重が65kg程度ならどうにか故障せずにシーズンを乗り切れますが、67kg以上では膝痛でシーズン半ばで諦める事が多い・・・。

そして今朝の体重が67.9kg。2週間前の体重計の数字がチラリと人生初の71kgを表示してから、3kgの減量に成功。食事制限とアルコールの制限はしていないので、やはりランニングは痩せます。

とりあえず65kgまで体を絞ったら(ちょっとムリゲーの気もしますが)、スピード練習を開始します。

目指せハーフで90分切り。と、宣言すれば達成できるかな?



加計学園問題の「本当の問題点」・・・メディアが恐れる本質

2017-11-21 04:35:00 | 時事/金融危機
 

■ マスメディアが恐れる加計学園の本当の問題点 ■

朝日新聞や毎日新聞を始めとするマスコミは、「総理のご意向」などという「些末な問題」の証明に終始するばかりで、加計学園問題の「本当の問題点」に決して触れる事をしません。


1)国家戦略特区で京都産業大学を排除する為に「18年4月開校」との条件を入れる
2)18年4月開校の為には、文科大臣の認可を待たずに学校施設の建設を始める必要が有る

3)今治市は「認可されていない大学」に36億円の土地を無償供与
4)今治市は17年3月に「認可されていない大学」に64億円の補助金支給を決定
5)補助金支給決定時に、大学側から工事費の見積は提出されていなかった

6)文科大臣の認可を待たずに大学の建設が進められた

■ 新設大学の建設が「内定」で進められるケースは他にも多いらしい 

ネットでは安倍擁護派が、「大学設置基準によれば、大学新設を申請する際に土地と校舎が必要である」とのデマが垂れ流しています。「加計学園が認可前に校舎を建設するのは当然で、問題なのは設置審議会の制度である」と。これ、メディアでも流されていますが、大嘘。

「大学設置基準」が求めているのは、キャンパスの環境、教室や実験設備の仕様や、運動場の設置や、ある程度のキャンパスの土地の広さなどです。

申請時には、予定地の取得は必要かも知れませんが、校舎やその他施設は。計図で審査は充分であり、実際に今回の加計学園も設計図を元に審議会は大学設置の是非を審議しています。但し、認可後に資金が足りなくて開学出来ない、或いは将来的な経営破綻を避ける為に、資金計画などは審査の対象となるでしょう。

ところが、世間では審議会の答申や、文科大臣の認可を前に着工する新設大学が実際には有る様です。大学施設の建設を進めるのは大学側の「リスクテイク」ですから、認可が下りなかった場合は大学側が損をします。普通は次回に再チャレンジするケースがほとんどでしょう。

但し、大学側にも「アテ」が無い訳ではありません。それは「内定」です。大学設置審議会の答申や文科大臣の認可の前に、内々に文科省から「内定」が貰える・・・らしい。「内定」が覆るケースはほとんど無いので、大学側はある程度安心して、学校施設の建設を進めるというのが「慣行」となっている・・・らしい。

要は、加計学園の認可の内定は17年3月には出ていて、確信を持って今治市は補助金支給を決定し、加計学園も校舎の建設に取り掛かった。

■ 大学設置審議会の一回目の審査では「警告」だったのに?! ■

大学設置審議会の最初の審査の結果は17年6月に出された計画の抜本的な見直しを求める「警告」でした。「大学設置審議会をナメンナよ!!」って感じ。



<朝日新聞デジタル 11月10日より引用>

16年11月 国家戦略特区諮問会議で獣医学部の新設を認める方針を決定
17年1月 特区諮問会議で加計学園が事業者に認められる
   3月 学園が獣医学部の新設計画を文科省に提出
   5月 大学設置・学校法人審議会が計画の抜本的見直しを求める「警告」
   8月 大学設置審が新設の判断を保留
   9月 学園が計画の修正案を提出
   11月 大学設置審が獣医学部新設を認める答申

<引用終わり>


17年1月に加計学園の獣医学部が特区の諮問委員会で事業者と認められ、その条件として18年4月の開校という条件が付いた・・・。

16年 3月 学園が獣医学部の新設計画を文科省に提出
    3月 今治市が64億円の補助金の支給を決定
    4月 校舎の建設を着工

全てが17年4月開校に間に合わせる為の「見切り発車」な訳ですが、今治市も加計学園側も認可が下りないというリスクは一切考慮していない様見えます。これは「内定」を確信していたとしか考えられません。

審議会が「警告」を出す様な「お粗末」な申請内容の大学に「内定」が出ていた・・・。これこそが「加計ありき」の実態で、「行政が歪められた」実体です。しかし、「内定」は公にはされませんから、加計学園が勝手にリスクを取ったと言い訳されては反論出来ません。

■ 今治市の土地の譲渡と補助金の支給決定に問題は無いのか? ■ 

今治市の市民団体が「認可前の補助金支給決定と土地の譲渡を地方行政法上違法だ」とした訴え大して、今治市の監査委員会は「適法」との判断を下しています。

今治市は未だ補助金を予算化していませんから、「補助金を支給しなければ適法」という意味合いだと思います。譲渡された土地の登記も未だ済んでいないハズ。認可が下りて初めて土地が譲渡され、補助金が予算化されるのでしょう。これなら「適法」です。

■ 裁判に怯えた大学設置審議会 ■

大学設置審議会のメンバーは「裁判をチラつかされた」と発言しています。

「校舎も建ててしまったのに、認可されなかったから大損だ、どないすんや!!」と告訴される事を恐れた様ですが・・・・これはほどんどヤクザの言い掛かりです。

もし仮にこんな訴訟が起こされる様ならば・・・この国は行政どころか司法も歪められています。(実際に歪みだらけですが・・・)


■ 加計学園の一連のプロセスを「異常」と感じないのであれば「異常」だ ■

マスコミは「総理のご意向」という立証不可能なイメージ作りにご執心で、加計学園の獣医学部建設のスケジュールの異常性や、工事費水増しによる補助金詐欺の可能性という分かり易い「異常性」にピタリと蓋をしています。

実はこの問題を追及すると、同じ国家戦略特区で開学が認められた成田の某大学や、全国に政治家の口利きで開学したFランクの大学など、ヤバイ物件がゾロゾロと出て来てしまうのでしょう。

加計学園問題は氷山の一角に過ぎず、大学新設は政治家の口利き利権と、補助金詐欺の温床になっているのかも知れません。

そして、その様な大学は文科省OBやマスコミOBを教授や運営陣に採用している。だからマスコミも騒がないし、文科省も行政が歪められてたとは言わない。

「どこもやっているだろう」「加計だけじゃないだろう」という意識は国民の少なからぬ人達が抱いているハズです。「政治はキレイごとでは済まない・・・」と。

こういった意識は地方に行けば行くほど強まるはずです。「補助金」で仕事を得ている地方の方々には「日常」に過ぎない事件なのでしょう。

問題はこれを「異常」と感じない日本の現状であり、「税金」が「補助金」として一部の人達の懐に入るシステムこそ問題なのです。

今治市の場合は「補助金」の出どころが市民や県民ですから未だ問題は少ない。もっと大きな問題なのは「国の補助金」が投入される幾多の事業です。負担者と受益者が異なりながらも、負担者は自分達の税金が浪費されている事にも気づけない・・・そんなシステムが日本には出来上がっているのです。そしてそれが官僚や省庁の利権になっている・・・。


実は加計学園問題の最大の「問題」は、「異常」を「異常」と感じなくなっている国民に有るのでは無いか?




安倍首相を擁護するネトウヨの多くは「安倍首相の大儀の前に加計学園問題など些末」と考えているはずです。ネトウヨの方々の妄想する「大儀」は「日本の真の独立」ですが・・・どうやら首相の大儀とは「アメリカへの忠誠」の様だと、先日のトランプ氏とのゴルフを見て思ってしまう私は、頭のネジが3本程緩んでいるのかも知れません。



<おまけ>

口蹄疫などに対応する為、四国の産業動物獣医育成の為に今治市も愛媛県も補助金を出すハズですが・・・加計学園の獣医学部には大型動物の飼育施設が有りません。

それどころか・・・大型動物の解剖実習は「解剖用の精密模型(報道ではヌイグルミ)」を使用して行われるといいます。動物愛護の観点や、経費や、解剖後の死体の処理の点からも模型の利用は世界の獣医学部で進んでいる様ですが・・・。


ちなみにネットに書かれていた国立の獣医学部では・・・

二年、三年生では解剖実習で犬二頭、牛一頭、豚一頭、鶏一羽を解剖し、勉強しました。研究室では病気になった牛、豚をその原因を追究するために解剖することがかなりありました(いわゆる病理解剖)。おそらく50頭はゆうに超えていると思います。

というのが実情の様です。模型シミュレーションしかして来なかった獣医と、実際の動物を沢山解剖した経験を持つ獣医・・・。果たして、あなたが畜産農家だったら、どちらの獣医に診察を依頼したいか・・・。


最近では牛の直腸診用の模型なんてものも有る様で、こんなので実習した獣医が実際に大型動物を診察しようなんて決して思わないでしょう。だって、牛の斜め後ろに立つと回し蹴りされて肋骨の2~3本は簡単に折れるって獣医学部の友人が言っていましたから。馬は真後ろに立つと蹴り上げられるそうですが、破壊力は牛の回し蹴りが勝るとか・・・。

ちなにみ彼の大学の構内では、巨大な種豚が逃走して走り回っていたとか・・・。

上昇し始めた日本の物価・・・円安と原油価格の上昇

2017-11-17 02:58:00 | 時事/金融危機
 

■ 年率1.2%の物価上昇? ■

超次元緩和を続ける日銀ですが、一番恐れているのは物価上昇。日銀は緩和目標を「物価上昇が2%を安定して達成するまで」としていますが、超少子高齢化が進行する日本で、国内的な景気回復でこの目標を達成する事は難しい。どんなに頑張っても、成長率は0%前後かと・・・。

ところが、直近の物価動向によれば、物価上昇率の年率換算が1.2%になる可能性が有り、ジリジリと物価が上昇してきている。

■ 景気回復? ■

「物価上昇」と聞くと、「景気が回復している」と錯覚しがちです。7-9月期のGDP速報値が7か月連続でプラスになったと報道され、経済に詳しく無い方達は「お、安倍ちゃん頑張ってるね」などと錯覚してしまいそうですが・・・。

報道によれば、今回のGDPのプラス数値を支えたのは外需で、国内の景気動向を反映する内需はマイナスとなっています。

■ 円安と原油価格上昇による効果に過ぎない ■




上のグラフはドル/円の推移ですが、直近で113円とジリジリと上昇しています。



上は原油価格の推移ですが、一時期40ドル/バレルを割り込んでいましたが、ジリジリと上昇しています。これは中東での危機を具体的に織り込んだという訳では無く、下がり過ぎた相場が正常化していると考えられます。

円安と原油価格の上昇の影響は国内での石油製品の値上がりとして観測されますが、分かり易いのがガソリン価格です。多少のタイムラグは有りますが、原油価格上昇には敏感です。



上のグラフは国内のガソリン価格の推移ですが、かなりのペースで上昇しています。ガソリンに限らず火力発電の燃料用の重油や、天然ガス、その他の資源、輸入物価など、円安と原油高の影響を受けますので、国内物価には上昇の圧力が掛かります。

■ 外需の拡大は、海外の景気と円安の効果 ■

GDPの上昇をけん引した外需は、円安と海外の景気に後押しされています。現在、米経済は踊り場で、消費がそれ程強い訳ではありませんが、新興国の消費は堅調です。さらにスマホ用の半導体やパーツ需要が拡大しており、外需は拡大しています。

これに円安効果が重なるので、日本の輸出は拡大しています。

■ 異次元緩和直後の物価上昇と類似 ■

7か月連続のGDPの上昇と言っても、異次元緩和直後の状況と同様に、円安と原油価格の上昇の相乗効果の影響が大きく、国内景気が回復している訳では在りません。当然所得も横這い。

その結果、実質所得が低下するので国内消費は減少し、内需の減少としてGDP統計にはっきりと表れています。

■ 「アベノミクスでGDPは50兆円も拡大した」という嘘 ■

安倍首相は衆議院選挙で、「アベノミクスで日本のGDPは50兆円も拡大しました」と宣伝しましたが、この内の30兆円以上がGDPの集計方法の変更によるものです。

従来は経費としていた研究開発費をGDPに含めた事で、従来の統計数字よりもかなり水増しされています。

20兆円程度のGDPの回復は有りましたが、これは民主党政権当時、リーマンショックの余波で超円高だった事と、世界の景気が低迷していた状況と比較しているに過ぎません。

実際の所、現在のGDPは「リーマンショック前に戻った」だけであり、日本の経済成長率は中長期的には0%近傍に張り付いています。超少子高齢化の進行に鑑みれば、ゼロ%でも上出来ですが。

■ 海外発の危機が無ければオリンピックまでは安定 ■

世界的な金融危機や、中国経済の大失速や、中東での大規模な戦争など、外的な大きなマイナス要因が無ければ、日本経済はオリンピックに向けて緩やかに拡大するでしょう。これには、新興国の需要拡大が大きく貢献するハズです。

■ 金融緩和バブルがいつまで持つのかがカギ ■

最も警戒すべきは、海外の金融緩和バブルがいつまで継続可能かという点です。

トランプラリー以降、単調に上昇していたダウも日経平均も、先週辺りから調整が入っています。利確による売りが出ている為ですが、ここから相場が力強く上昇する様ならば、それはバブルが弾ける兆候として、むしろ警戒が必要でしょう。

多分、株式市場は薄商いの中でボラティリティーが増大する展開がしばらく続くと思われますが、不感症相場が終了し、FRBの金利政策などに敏感に反応し始めるはずです。

ここで問題になるのが日銀の資金供給の動向です。FRBは既に利上げと資産売却に入り、ECBも緩和を緩やかに縮小する見込みです。

日銀はイールドカーブコントロールと称して「ステルス・テーパリング」に入っていますが、米の利上げが順調に進めば、円安が進行して日本の国内物価を2%近くまで押し上げる可能性が有ります。

こうなると、市場参加者は「金融緩和の時代の終焉」を意識せざるを得ず、何かのきっかけで一気に今の相場が崩れる事になります。

毎度の事ながら「何かの切っ掛け」が分かれば大金持ちになれますが・・・・私は中東危機では無いかと妄想しています。


「核心に触れたら負け」・・・政治プロレスの裏側が重要

2017-11-16 08:17:00 | 時事/金融危機
 
このブログの読者の多くも「モリカケ問題はもう飽きたよ」という方が沢山居らっしゃるでしょう。そこで、次の話題に目移りしてしまうと、見えそうな物も見えて来ない。だから陰謀論者的にはこの問題から目が離せない。だって、陰謀論的には裏で糸を引いているのは・・・。


■ 「総理のご意向」なんてどうでも良い ■

世間を騒がせ、衆議院解散の原因ともなった加計学園問題ですが、野党は根本的に戦略を誤っています。

1) 国家戦略特区の基準の決定において加計学園に有利な条件が追加された
2) 文科省から「総理のご意向」というメモがリークされた
3) 「総理のご意向」に従って、国家戦略特区が首相のお友達に有利に利用された

野党が証明しようとしているのは上記の内容かと思いますが、政府が特区の議事録を隠蔽しているので、「総理のご意向があったに違いない」という憶測で追及が進められて来ました。

ただ、議事録が開示されたとしても、そこに明らかな「総理のご意向」という言葉も無いハズです。問題とされるであろう、加計学園関係者の会議への出席や発言も、国民にしてみれば「何が悪い」のか今一つ理解出来ないハズです。

結局、どんなに国会で審議に時間を割いた所で、この攻め口では平行線をたどるだけで、国民は徐々に「大切な審議時間を無題にする」として野党に批判的になるはずです。

■ 今治市の設置した第三者委員会は「形だけ」 ■

加計学園問題は国の行政レベルのプロセスの問題を追及しても、国家戦略特区の基準自体が「曖昧」なので、何が問題化を明確化する事がはじめから難しい。

一方、加計学園の獣医学部開設に当たり、今治市と愛媛県は加計学園の自己申告の大学開設コストを元に税金(或いは地方債を発行)から多額の補助金を支給する予定です。今治市は土地を無償で提供もしています。

ところが、「建築費水増し疑惑」が発覚してから、愛媛県議会では「このまま補助金を支給する事には問題がある」との意見が出ています。当然、議会は建築費算定の根拠となった設計図書一式を提出させ、しかるべき機関に再見積もりを依頼すべきですが、県議会が具体的な検証を行う予定は無い様です。


<NNK 愛媛 news web 2017.11.11 より一部引用>

媛県の中村知事は、今治市への補助金について、今治市の正式な要請を待って議論を始めるとした上で、今治市が立ち上げた専門委員の会合が年内にもまとめる、獣医学部の事業の妥当性を検証した結果などを踏まえて、しっかり検討するとしています。


この記事は、「愛媛県が今治市に補助金を支給するかどうかは、今治市の専門委員会の答申によって決める」と読めます。要は、愛媛県としては判断を今治市に丸投げしているのです。

今治市の専門委員会とは次の様に報道されている委員会です。

「第三者委は、菅市長が任命した弁護士や公認会計士、感染症が専門の大学教授ら5人で構成。校舎建設費や設備の安全性についても調査し、各委員が独自にまとめた結果を年内をめどに市長に報告する。 」

世間一般に「第三者委員会」とは「都合の良い答申をまとめる委員会」の事であり、「第三者で利害関係が無い故に、後々訴訟問題になっても責任の追及を受けにくい人達」と解釈すべきです。

当然、今治市の設置した第三者委員会が都合の悪い答申を提出する訳は無く、年内に「妥当」との答申を発表し、今治市と愛媛県は来年度の予算に加計学園への補助金を計上するのでしょう。

■ 野党が独自に国会に設計図を提出させ、専門家に再見積もりを依頼すれば良い ■

実は加計学園問題を野党も本気で追及する気は無い・・・そう私は妄想しています。

1) 野党が独自に加計学園の設計図を国会に提出させる
2) 設計図を数社のゼネコンや設計会社に再見積させる
3) 並行して設計図の内容をネットで公開する
3) 再見積の内容に関して、パブリックコメントを募る

建築業界は多かれ少なかれ、国や地方の公共工事に関与していすから、再見積もりを依頼されても阿部政権に都合の悪い見積もりを中々出せるものでは在りません。そこで、巷の建築関係者が情報を見れる状況で、提出された見積もりが妥当かどうかの意見を広く募る。

今治市で加計問題を追及している黒川氏がネットに設計図をアップしていますが、「内部リークされた設計図」では「偽物だ」と言われても抗弁出来ない。これが国会の要請によって提出された設計図であれば「正式」となります。

野党は立証困難な「首相のご意向」などに拘らずに、とっとと、加計学園が建築費を水増し申請していないかだけを検証すれば良い。これなら、国民誰にも「問題の本質」が分かり易い。

森友学園のショボい水増しを、大阪地検特捜部まで動員して解明する一方で、より巨額な加計学園の疑惑に対してはノンタッチ・・・これこそが「行政が歪められている」実体であり、野党が必死に追及すべき点のハズです。」

■ 政治プロレスの裏に有るもの ■

私から見れば、加計学園問題は設計図がリークされた時点で「詰み」なのですが、民進党の調査委会議は、この問題に早々に蓋をしてしまいまいした。「ワインセラーは実際には中止された」という些末な設計変更をネトウヨに追及されて、早々に追及を止めてしまった・・・。

これが報道された時点で「加計問題は政治プロレス」だと私の中で核心しました。

メディアと野党が安倍首相を追い詰める振りをして、決定的なダメージを与えない・・・要は「脅し」の裏に居る物が、一番の利益を得る構造です。先日、来日して「利確」していった方の顔が浮かびます。

ただ、この問題の面白い点は、追及していたハズの民進党が、何故か選挙で消滅して、結果的には与党が衆議院の2/3を獲得した挙句、改憲派が国会で圧倒的に多数になるというオマケが付いた事。

何だか、キツネかタヌキにばかされた様なモリカケ問題ですが、国民は「飽きる」前に、裏の仕掛けを妄想して楽しむべきだと私は考えます。