一昨年の『ローヤの休日』に続く僕としては2度目のゲキバカの長編作品である。こういう「おバカ」そうな芝居はもともとは苦手なのだが、食わず嫌いせず、見てよかったと思う。なんでもそうなのだが、ちゃんと極めたものは、面白いし、意味がある。中途半端はダメだ、ということだ。彼らは確信犯的にこのバカ街道をまっしぐらに暴走する。前作以上に今回それを感じさせられた。おふざけではない。本気のバカだ。これは簡単そうに . . . 本文を読む
何も知らずに見たから、この展開には驚いた。あっ、でもそれは嘘かも。もちろん予告編を見ていたからこれが衝撃作であることは、想像はついた。しかも、キネマ旬報の批評もさらっと流し読みで、読んでいたから、これが凄いことは充分に予備知識として仕入れていたのかも知れないが、それでもまるで先が読めないし、一体何が起こっているのかも、わからないまま、どんどん話の中に引き込まれていく。凄い。この有無を言わさない展 . . . 本文を読む
久々のニキータ・ミハルコフ監督の新作だ。(あっ、でも数年前に『12人の怒れる男』があったなぁ)しかも今回は戦争大作である。渾身の力作だった。スターリン政権下、不可侵条約を破棄して侵攻してきたドイツとの戦いを描く。だが、作分自体は前作である(でも、あれから16年も経っている!)『太陽に灼かれて』(84)の完全な続編というスタイルを取る。平和な田園風景を背景にした前作の父と娘のたどったその後が描かれ . . . 本文を読む
新城毅彦監督の映画は好きだ。でも、さすがに今回だけはつき合いきれない。マンガの映画化だからではない。ここまでマンガそのものとして、映画化するのは、作り手の意図なのかも知れないが、それにしても、ここまで徹底してやられると、あっぱれと言うよりもバカバカしくって、見ていられない。ペラペラのマンガ世界を映像化して見せると、マンガの読者は喜ぶのかも知れないが、一般の観客はひく。別にリアリティーなんかいらな . . . 本文を読む
『黄金時代』に続く作者の自伝的長編小説。帯には「『黄金時代』を超える」と書かれてある。まぁ、それほどの渾身の一作なのだ。椎名さんは人生の総決算としてこの作品に取り組んだはずだ。自分の人生のクライマックスはどこだったのか、を考え、それを小説として書きあらわす作業は結構勇気がいることだったはずだ。まだ、人生は終わったわけではない。だが、60代の後半戦に入り、改めて自分の人生を振り返ったとき、自分の一 . . . 本文を読む
一昨年の『おれのおばさん』の続編なのだが、普通の意味での続編ではなく、作品がスピンオフのようなスタイルになっている。前作の主人公である「おれ」(陽平)の視点から描かれた話が、今回はもうひとりの主人公である卓也の方から語られる。前作と同じ話が視点を変えて描かれる部分もあるが、それ以前も含めて彼がこの施設にやってくるきっかけとなる両親の話から(要するに彼の出生から)始まる。この第1話『小石のように』 . . . 本文を読む
矢口史靖監督の最新作だ。前作『ハッピーフライト』はあまりに真面目で、まともすぎる映画で、そのことに驚いたが、今回はあまりに不真面目で驚いた。こんないいかげんな思いつきで映画を1本作れるはずもない。
見始めてしばらくすると、なんか退屈してくる。こんなの嘘じゃん、と思い、もう話に乗れない。だが、終盤、主人公である3人が、大学の講演会に呼ばれて大学生からいろんなことを学んでいくシーンは、面白かった . . . 本文を読む