かなり思い切ったタイトルだ。映画の本質を直截に看破したようにも見えるけど、なんだか安易にごまかしたようにも取れる。微妙。原題は『黄海』。こちらはストレート。でも日本で商業ベースに乗せるにはこれではダメだろう。
中国の辺境地、朝鮮族が中心になって暮らす地域。延吉市。そこでタクシードライバーをしている男が主人公だ。前半の、彼のここでの暮らしを描く日常描写のシーンが、とても興味深い。中国の地方都市 . . . 本文を読む
このカバーイラストには驚く。なんて趣味が悪い、と思った。これだけで読みたくはなくなる。でも、そんな風に思う人はきっとお断りなのだ。この小説は。このイラストを見た瞬間「嬉しい」と思えるような奇特な人だけを対象にしたマニアックな小説なのである。
でも、当然よしもとばななのファンはちゃんと手に取り読むんだろうな。そして、このイラストの意味を知る。そうすると、ここに込められた彼女の想いに共感する。僕 . . . 本文を読む
村上ラヂオの第2作だ。10年振りとなるらしい。アンアン連載のエッセイである。村上春樹のまるでなんでもないたわいないエッセイなのだが、そのあまりの「たわいもなさ」がうれしい。どうでもいいことをどうでもいいままに書く。それを有り難がるってどうよ、とも思うけど、まぁ、「有り難がる」というのではなく、ただ楽しいから、それだけなのだ。
村上春樹はエッセイが苦手だ。本人がそう言っているのだから、その通り . . . 本文を読む