僕にとっては本当に久々の犯罪友の会だ。最近は野外公演もご無沙汰しているし、この時期の新人公演もあまり見ていない。武田さんの優しい世界に浸るのはとても心地よいのだが、ある種ぬるま湯のような気もして、足が遠のいた。でも、今回はとても見たいと思った。まず、あのチラシに心魅かれたのだ。そして、今回はとうとう昭和を舞台にする。時代劇をずっとやってきた犯友が、昭和30年代終わりの大阪下町の風景を描く、と知っ . . . 本文を読む
サブタイトルには「三島由紀夫と若者たち」とある。描くものはただひとつ。三島の割腹自殺に到るドラマだ。ここまでわかりやすいタイトルをつけるところが若松孝二監督らしい。言わずと知れた傑作『連合赤軍 浅間山荘への道』の姉妹編である。あの映画だけでは片手落ちだから、ちゃんとこの映画も作った。二本をセットにして、あの時代の気分を今に伝える。三時間強の大作である渾身の力作『連合赤軍』と比較するとこの映画はス . . . 本文を読む
タル・ベーラ監督の新作で、昨年のキネマ旬報ベストワンに輝いた作品だ。でも、あまりに地味すぎないか。キネ旬のベストワンはいつもその年の象徴的な作品になるのが常だった。要するに芸術的に優れているとかいう問題ではなく、一番、一応評論家(である大衆)から支持された作品が相対的に1位となるというのが、定番なのだ。だが、その流れが近年崩れてきた。今回の1位なんて、ありえない。映画はとてもよくできた作品だ。そ . . . 本文を読む
こういうバカもほどほどにして欲しい、と思わせる映画の傑作は難しい。月でナチスが今も生きていて、地球征服を企んでいる、だなんてあほらしくて誰も想像しない。そんなアホに挑む。要するに宇宙人による地球征服もののバリエーションでしかないのだが、ディテールさえうまく生かせば成功する。それくらいこのアイデアは悪くはないのだ。
だが、匙加減が難しい。このありきたりと紙一重の綱渡りを見事乗り越えられたなら、 . . . 本文を読む