別役実の不条理劇を丁寧に描きながらも、その世界を、きちんと凶暴で不気味に見せていく演出のオダタクミの手腕に感服した。狭い空間を逆手にとり、生かしきる。そこでしか成り立たない密なドラマを組み立てる。抽象的なお話が、この空間故、迫りくる役者の肉感ゆえ、実にリアルに展開していくこととなるのだ。久々にそこに役者がいることが怖いな、と思った。彼らの圧倒的な迫力が芝居に有無を言わせぬリアルを与える。目の前何 . . . 本文を読む
これは三浦しをん版『東京バンドワゴン』だったんだ、と思うと、終盤のあんまりな展開にも納得がいく。と、いうか、それこそが彼女の意図なんだ、と思うと、なんだか胸が熱くなる。これからの時代、新しい家族の在り方を模索する日本人への彼女からのメッセージなんだ、と理解する。
核家族化が進展した高度成長期を経て、21世紀は「新しい家族」の形が生まれつつある。それは、他人同士が家族として暮らす社会だ。
独居 . . . 本文を読む
30年前14歳だった父と、今、14歳である息子の2人が3年ぶりに田舎である島で過ごす夏休みを描く冒険物語。だが、父と息子のお話は別々のものとして描かれる。2人が主人公なのに、2人は同じ場所にはいない。44歳の父と、息子は、同じ時間を別の場所で過ごす。父は母(彼の妻ではなく、文字通り実母)と実家で過ごし、息子は1週間のキャンプに行くからだ。平行するお話は今の少年のドラマと、30年前の父親のドラマで . . . 本文を読む
昨年最初に見た芝居がこの無名劇団の芝居だった。ミステリタッチでストレートな作品で好感が持てた。そして、今年もまた、1月に彼女たちの作品を見ることになった。夏の『無名稿 あまがさ』も含めて毎回全然タッチが違う作品を見せてくれるのもうれしい。 今回はクリスマス・イヴの夜のできごと。4つのお話が並行する。少し季節外れになってしまったけど、よくあるトレンディ・ドラマのような(言い回しがなんとも、古いなぁ . . . 本文を読む