初めて見る劇団である。作、演出は大川朝也さん。昨年の11月に公演する予定だったのだが、延期となり、ようやく仕切り直しての上演だ。昨年案内をいただき、楽しみにしていたが、直前に中止の連絡をもらい、ガッカリしていた。今回無事に公演ができてよかった。
端正な小品である。無理も野心もなく、丁寧に作ることを第一にしているとてもいい芝居だった。気持ちがいい作品なのである。作り手の誠実さがしっかり伝わ . . . 本文を読む
「造園設計士・高桑は大学の卒論で作庭師・溝延兵衛と、彼の代表作となったある庭を取り上げて以来、長年にわたり取り憑かれ続けていた。」と、解説に書いてあったからコピペしたが、これは高桑の話ではない。彼は導入としているだけで、実質はある華族の物語だ。
昭和初期、時代は戦争の時代へと突入していくが、同時に、やがて没落していくことになる華麗なる一族の最後をこの屋敷で仕えるひとりの女中の視点から描く。庭園か . . . 本文を読む
かわいい表紙に魅せられた。もちろん濱野京子作品だから、それだけでも読むけど。さっそく喜んで借りてくる。僕はずっと前から児童書も含めて彼女の本はすべて読んでいる。大好きだ。
今回はなんと気候危機がテーマだ。高校1年生に女の子が駅前でスタンディングをする同世代のグループに遭遇する。彼らは毎月第二、第四金曜日に駅に立つ環境問題研究会の面々だ。彼女は彼らに影響されて今まであまり考えたことはなかった気候変 . . . 本文を読む
春から小学6年になる男の子と、中学生になる女の子が主人公だ。ふたりは広島で生まれ育った。こういう児童書が読みたいし、読んでいただきたい。そして考えて欲しい。彼がついたうそ。それはとても大切だと思う。相手を思いやること。そのために必要なこと。祖父から原爆で亡くなった大おじの話を聞いた彼は広島駅に行く。爆心地に向かう。自分の足で被爆地を歩く。帰りは電車には乗らずに家まで10キロを歩く。認知症の曽祖母は . . . 本文を読む
作・演出はもちろん土橋淳志。今回彼が取り組むのは新選組。時代劇ではない。新撰組を題材にした3人の女の子たちによるコンセプト・カフェが舞台になる。
だけど土橋作品だから、描かれるものは当然軽いだけのラブコメなんかにはならない。それどころが、なんだか重苦しいくらいの勢いだ。
今までの彼の作品とはまるでタッチが違うから最初は戸惑う。何をしようとしているのか、まるでわからないから不安にもなる。ちゃんと . . . 本文を読む