かわいい表紙に魅せられた。もちろん濱野京子作品だから、それだけでも読むけど。さっそく喜んで借りてくる。僕はずっと前から児童書も含めて彼女の本はすべて読んでいる。大好きだ。
今回はなんと気候危機がテーマだ。高校1年生に女の子が駅前でスタンディングをする同世代のグループに遭遇する。彼らは毎月第二、第四金曜日に駅に立つ環境問題研究会の面々だ。彼女は彼らに影響されて今まであまり考えたことはなかった気候変動を学習するようになる。
なんてお堅い小説か、と途方に暮れる。だが、読み始めたら止まらなくなる。真面目で堅い小説ではなく、大事なこととしっかり向き合うための物語だ。ちょっぴり恋愛感情も入るが、それはそれ。
第一希望だった憧れの高校に落ちて滑り止めにしていた(そこそこの)公立高校に入った。コンプレックスがある。今いる学校をバカにしている。だから高校生活を楽しめないでいた。そんなところから始まる。これは環境問題を扱うお話である前に、まず彼女が自分の居場所を見つけだすまでのお話。いや、2つは同等のものだ。環境問題研究会の面々は彼女が行きたいと思っていた高校の2年生。先輩になりはずだった人たち。気後れがする。そんな個人的な心情と気候変動に関わる社会的な問題を通して、高校1年生の女の子が自分のしなければならないものを、したいことを見つけるまでが描かれる。考えもしなかったことに気づき学び成長する。同時に自分が今いる場所を発見していく。10代前半の子たちやこの主人公たちと同世代の子たちにまず読んで欲しい小説だ。(何も考えず生きる僕のようなバカな大人たちにも、ね)