このタイトルにそそられた。ここまでストレートに言われると、思わずひるむ。わかっているけど、そんなこと考えずに毎日生きているから。でも、みんなそんな不安を抱えて生きている。めったに死なないよ。でも、澄生は死んだ。小説はそこから始まる。
大切な家族を失った。心が壊れる母親。それをなんとかして支えようとする家族。父と澄生の妹である真澄(「私」)、弟、創太(『おれ』)、下の妹の千絵(「あたし」)それぞれが主人公、というか語り部として、各章は描かれる。最後の4章は『皆』が主人公となる。4章仕立て。この家族の成り立ちの複雑さについてはここにはわざわざ書かない。読めばすぐわかる。大事なことはそんな関係性ではない。それぞれが、それぞれの痛みを抱える。そこに大きい小さいはない。17歳で雷に打たれて死んだ澄生。その15年後。それまでの時間。それからの時間。
面白くないわけではない。ただ、山田詠美の小説としては少し物足りない。あまりにシンプルなのだ。でも、この悲しみを飾り立てて描くことは難しかったのだろうし、そんなふうにはしたくない。大きな悲しみに打ちひしがれて、立ち直れない。誰もがこんなにも弱くて、脆い。そんなはずはない、と信じたいけど、そうはいかない。でも、どんなに打ちひしがれても、なんとかして立ち直ろうとする。そんな自浄努力がほのかなユーモアを湛えて描かれる。確かに人間ってすごい。そう思わされた。
大切な家族を失った。心が壊れる母親。それをなんとかして支えようとする家族。父と澄生の妹である真澄(「私」)、弟、創太(『おれ』)、下の妹の千絵(「あたし」)それぞれが主人公、というか語り部として、各章は描かれる。最後の4章は『皆』が主人公となる。4章仕立て。この家族の成り立ちの複雑さについてはここにはわざわざ書かない。読めばすぐわかる。大事なことはそんな関係性ではない。それぞれが、それぞれの痛みを抱える。そこに大きい小さいはない。17歳で雷に打たれて死んだ澄生。その15年後。それまでの時間。それからの時間。
面白くないわけではない。ただ、山田詠美の小説としては少し物足りない。あまりにシンプルなのだ。でも、この悲しみを飾り立てて描くことは難しかったのだろうし、そんなふうにはしたくない。大きな悲しみに打ちひしがれて、立ち直れない。誰もがこんなにも弱くて、脆い。そんなはずはない、と信じたいけど、そうはいかない。でも、どんなに打ちひしがれても、なんとかして立ち直ろうとする。そんな自浄努力がほのかなユーモアを湛えて描かれる。確かに人間ってすごい。そう思わされた。