ミステリーに嵌っている丸尾拓さんの新作。いつものようにストーリーテラーの田中さんの案内によって、作品世界に一気に引き込まれていく。昭和モダンを背景にして、いかにもな人たちが繰り広げるフィクションの極みのようなお話をのんびり楽しめばいい。大仰な効果音の入れ方も、この作り物めいた世界をきちんと伝えていて悪くはない。
今回は謎解きよりも、設定のおもしろさの方に重点が置かれていて、そこもいい。トリックの見事さを見せる(それって、難しい!)よりも、少しずつ見えてくる人間関係の方が、興味深い(これはこれで難しいが)。母親が殺されたところから始まり、雨の降り込めた洋館に刑事たちがやってくる。昨夜の母の誕生日会に集まった家族全員が容疑者。しかも、彼らがそろって自分が犯人だと訴える。誰かをかばっているのだが、そのくせ誰もが怪しい。動機ならほぼ全員にある。やがて、浮かび上がってくる新事実。
まぁ、何処にでもあるような、よくあるパターンのお話で、なんら目新しいものはない。しかし、こういうミステリーものの王道をいくような作品をケレン味たっぷりで見せていく丸尾さんの遊び心に共感する。こういう「いかにも」な、お話を、みんなが大仰な演技で、嬉々として楽しみながら作っていくのって悪くはないと思うのだ。くさいよな、っとわかっていて、それを楽しむ余裕が彼らにはあるのだ。もちろんきちんと作れてあるからそう言えるのであって、これを中途半端にされたなら、もう目を覆うような悲惨な芝居になるだろう。それってけっこう紙一重である。
欲を言えばお話にもう少し深みが欲しい気もするが、それは無いものねだりだろう。これだけ楽しませてくれたなら、これはこれで充分満足だ。
今回は謎解きよりも、設定のおもしろさの方に重点が置かれていて、そこもいい。トリックの見事さを見せる(それって、難しい!)よりも、少しずつ見えてくる人間関係の方が、興味深い(これはこれで難しいが)。母親が殺されたところから始まり、雨の降り込めた洋館に刑事たちがやってくる。昨夜の母の誕生日会に集まった家族全員が容疑者。しかも、彼らがそろって自分が犯人だと訴える。誰かをかばっているのだが、そのくせ誰もが怪しい。動機ならほぼ全員にある。やがて、浮かび上がってくる新事実。
まぁ、何処にでもあるような、よくあるパターンのお話で、なんら目新しいものはない。しかし、こういうミステリーものの王道をいくような作品をケレン味たっぷりで見せていく丸尾さんの遊び心に共感する。こういう「いかにも」な、お話を、みんなが大仰な演技で、嬉々として楽しみながら作っていくのって悪くはないと思うのだ。くさいよな、っとわかっていて、それを楽しむ余裕が彼らにはあるのだ。もちろんきちんと作れてあるからそう言えるのであって、これを中途半端にされたなら、もう目を覆うような悲惨な芝居になるだろう。それってけっこう紙一重である。
欲を言えばお話にもう少し深みが欲しい気もするが、それは無いものねだりだろう。これだけ楽しませてくれたなら、これはこれで充分満足だ。