『ケチる貴方』は極度の冷え性の女性が主人公。あまりのことについていけない。極端な展開は彼女の内面で処理されるから周りには見えない。80ページほどの中編。もう一篇の『その周囲、58センチ』は脂肪吸引手術にハマる女の話。こちらも周りには知られない。基本独白で展開する40ページほどの短編。この2本立て。
ふたつとも極端を描きながら平然としている。いくらなんでもここまでするか、と思うけど、彼女たちにはそれは当然のこと。寒いから必死。まだまだ脂肪があるからそれを取りたい。それだけ。
ストレスを引き受けたら、体温が上昇。脂肪吸引を続けるとますます綺麗になる。めでたしめでたし、というわけではあるけど、なんかなぁと思ってしまう。その先にある答えは描かれない。だから中途半端な印象が残るけど、それは作者の狙いだから仕方ない。