アフリカとデンマーク。2つの場所を結んで、これはそこに生きる子供たちへのメッセージだ。もちろん、それは世界中へと発信される。アフリカのとある難民キャンプで医療活動に従事する主人公の父親の話からこのドラマは始まる。テントへはどんどん患者が運び込まれてくる。彼は現地のスタッフを指示して、その応対で大わらわだ。サバンナの仮設のキャンプ内はいつも騒然としている。
何ヶ月に1度か、デンマークの家に戻る。彼は2人の男の子の父親である。この映画の主人公は兄弟の兄の方である。学校で虐めにあっている。転校生がやってくる。母親を癌で亡くし、父親の実家で暮らすことになった少年だ。主人公は彼ら2人である。彼らが理不尽なイジメと対峙していく。教師たちは見て見ぬふりしかしない。それどころか、家庭に問題があるのではないかとすり替える。虐める側ではなく、虐められた少年に転校を勧める。
だから、2人は暴力に対しては暴力しかないと思う。そこまで追いつめられる。徹底的に反撃をする。完膚無きまでに叩きのめす。さらにはナイフを使って脅す。もう僕等に関わるな、と。「目には目を」である。だが、これが問題になる。相手の少年が酷い怪我で、警察が介入する。
自分たちは悪くはない。悪い奴らは平気でのさばり、やられた側が酷い目に遭う。このエピソードからスタートしてそれは学校の中だけにはとどまらない。大人の世界も同じだ。最初に書いた主人公の父親の話になる。子供のささやかな喧嘩を止めに入って相手の子供の父親に殴られる。その後、彼はこの暴力的な男の理不尽な行為に対して、相手にしなければいい、と子供たちに教えるのだが、2人は納得しない。当然だろう。それではどう子供たちに納得させるのか。彼は「自分は暴力なんか怖れない。暴力は愚かな行為で、同じ事をすれば自分も相手と同じ愚かな存在になる」と教える。理想論だ。だが、それを実践することで示す。先の暴力的な男に言葉で立ち向かう。だが、感情でしか対応しない男には通じるわけはない。この小さなエピソードが最後には大きな事件を引き起こす。
子供たちとの先の出来事がアフリカに戻った彼を、苦しめる。理不尽な暴力はここにもある。地元のボスが、理不尽な暴力で住民たちを殺していく。そんな中で、医療行為をすることにどれだけの意味があるのか。根本的な問題を解決させなければ何も変わらない。だが、暴力に対抗して暴力をなすわけにはいかない。子供に教えた事と同じ事がもっと大きなスケールでここでは起こっている。そんな中、そのボスが足の怪我で運び込まれてくる。彼は医者として分け隔てなく治療に当たるのだが、村人たちはそんな彼の行為に反発する。その男のせいで罪もないたくさんの人たちが死んでいるのだ。それでも助けるのか?
とてもよく出来た話だと思う。この現実の中で僕たちはどう立ち向かうべきなのか。考えさせられる。父親と息子。息子とその親友。それぞれの価値観、考え方がぶつかり合う。そして、衝撃のラストに至る。復讐は解決にはならない、という当然のことをこんなにも見事に証明してみせる。凄い映画だ。許すという行為。それは簡単な事ではない。だが、それをこの映画は納得させる。あの優しいエンディングに心打たれた。デンマークで生きる2人の少年たちの物語と、アフリカの難民キャンプの子供たちの無邪気な笑顔。この2つを対比させることで見えてくるもの。そんな単純なことではないだろ、ということはスサンネ・ビア監督自身が一番よくわかっている。だからこそ、こういう終わらせ方をしたのだ。この世界には希望はある。
何ヶ月に1度か、デンマークの家に戻る。彼は2人の男の子の父親である。この映画の主人公は兄弟の兄の方である。学校で虐めにあっている。転校生がやってくる。母親を癌で亡くし、父親の実家で暮らすことになった少年だ。主人公は彼ら2人である。彼らが理不尽なイジメと対峙していく。教師たちは見て見ぬふりしかしない。それどころか、家庭に問題があるのではないかとすり替える。虐める側ではなく、虐められた少年に転校を勧める。
だから、2人は暴力に対しては暴力しかないと思う。そこまで追いつめられる。徹底的に反撃をする。完膚無きまでに叩きのめす。さらにはナイフを使って脅す。もう僕等に関わるな、と。「目には目を」である。だが、これが問題になる。相手の少年が酷い怪我で、警察が介入する。
自分たちは悪くはない。悪い奴らは平気でのさばり、やられた側が酷い目に遭う。このエピソードからスタートしてそれは学校の中だけにはとどまらない。大人の世界も同じだ。最初に書いた主人公の父親の話になる。子供のささやかな喧嘩を止めに入って相手の子供の父親に殴られる。その後、彼はこの暴力的な男の理不尽な行為に対して、相手にしなければいい、と子供たちに教えるのだが、2人は納得しない。当然だろう。それではどう子供たちに納得させるのか。彼は「自分は暴力なんか怖れない。暴力は愚かな行為で、同じ事をすれば自分も相手と同じ愚かな存在になる」と教える。理想論だ。だが、それを実践することで示す。先の暴力的な男に言葉で立ち向かう。だが、感情でしか対応しない男には通じるわけはない。この小さなエピソードが最後には大きな事件を引き起こす。
子供たちとの先の出来事がアフリカに戻った彼を、苦しめる。理不尽な暴力はここにもある。地元のボスが、理不尽な暴力で住民たちを殺していく。そんな中で、医療行為をすることにどれだけの意味があるのか。根本的な問題を解決させなければ何も変わらない。だが、暴力に対抗して暴力をなすわけにはいかない。子供に教えた事と同じ事がもっと大きなスケールでここでは起こっている。そんな中、そのボスが足の怪我で運び込まれてくる。彼は医者として分け隔てなく治療に当たるのだが、村人たちはそんな彼の行為に反発する。その男のせいで罪もないたくさんの人たちが死んでいるのだ。それでも助けるのか?
とてもよく出来た話だと思う。この現実の中で僕たちはどう立ち向かうべきなのか。考えさせられる。父親と息子。息子とその親友。それぞれの価値観、考え方がぶつかり合う。そして、衝撃のラストに至る。復讐は解決にはならない、という当然のことをこんなにも見事に証明してみせる。凄い映画だ。許すという行為。それは簡単な事ではない。だが、それをこの映画は納得させる。あの優しいエンディングに心打たれた。デンマークで生きる2人の少年たちの物語と、アフリカの難民キャンプの子供たちの無邪気な笑顔。この2つを対比させることで見えてくるもの。そんな単純なことではないだろ、ということはスサンネ・ビア監督自身が一番よくわかっている。だからこそ、こういう終わらせ方をしたのだ。この世界には希望はある。