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映画・演劇のレビュー

あみゅうーずとらいあんぐる『たおやかな風の中で』

2016-11-21 21:01:38 | 演劇
「女と男のしゃば・ダバ・だぁ」という、いつものサブタイトル(というか、こちらがメインタイトルかぁ)を添えて、いつものように3話からなる短編連作というスタイルで描かれる女と男のスケッチ。



この「変わらなさ」ということが、あみゆーずの魅力だ。メンバーも変わらない。思い野未帆さんと中村ゆりさんはもうレギュラーとなって何年が経つだろうか。今回はそんなふたりが姉と妹を演じるエピソードからスタートする。結婚式の当日、怖気づいて、ホテルの部屋にこもって出てこられなくなった母親(彼女が今日の花嫁だ!)をなんとかして式場へと向かわせようとあれこれするふたりを描く。まず、このふたりの掛け合いがテンポよく描かれておもしろい。さらには、部屋の中にいる花嫁(母親!)は、条さんではないか、と思わせる。これは2人芝居で、ドアの向こうの母親は登場しないのに、そう思わせるのがなんだか楽しい。



あみゅーずは条あけみさんと笠嶋千恵美さんによるプロデュース集団だ。今更そんなことをここに書くまでもない。だが、改めてそういうふうに書きたくなるほど、毎回、その結束は強い。劇団でも、時期が来たなら解散する。なのにあみゅーずの友情は変わらない。今年で24年。毎年同じ時期に必ず公演がある。その公演場所も今では同じ。ウイングである。(最近ではこれも必ず夏にリーディング公演をする)スタッフも同じメンバーだ。オムニバス3本の芝居で、最初と最後にダンスシーンがちゃんとある。完璧にこの同じスタイルを踏襲する。そうすることで、ほっとする。彼女たちも、観客である僕たちも。



今回はホテルの部屋が舞台だ。3つの部屋での3つのお話。最初と最後のエピソードはそこに結婚式という共通項を用意した。ページをめくるように変わるセットも素敵だ。こういうパターンは何度も見たことがあるから、別に新鮮であるとか、驚きがあるとか、そういうのではないけど、あみゅーずがやると、なんだかとても幸福な気分にさせられる。ひとつひとつのお話を丁寧に見せていくための仕掛けなのだと、安心させられる。



作家と編集者のバトルを描く2話も笠嶋さんと上畑圭市さんのやり取りが楽しい。笠嶋さんは軽妙に書けない作家を実に楽しそうに演じる。「書けない」という作家にとってはとんでもない恐怖をこんなふうにノホホンと見せられるとあきれるよりもあっぱれと思える。



最後は条さんのベテラン花嫁(結婚は3回目)と、初めての結婚の怯える日高良基の凸凹コンビ。同じ式場で同じ時間に挙式するふたりがたまたま一緒に過ごす時間。



この小さな(短い、ということなのだが)時間を、確かな感触で描くのはいつものことだ。その中で、いつものように女と男のままならない想いを、「軽やかに」綴る。今回「たおやかな」ということばをタイトルにしたのはそこに意味がある。
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