産むという行為を通して、劇的に変わってしまう女性の「生」について、あらゆる局面から徹底的にみつめる。こんなにも厳しいドラマを見たことがない。そして、こんなにもそれが同時に愛おしい。男と女。たった2つしかない人間の「性」。それがその人の「生」にいかに影響を与え、その人生は出産によってどう変わっていくのか、をある母と娘を中心に据えて、母親の母親(映画は老いた彼女の介護の問題からスタートする)、娘の娘(この世に産まれたこの子の運命を描くドラマで終わる)までをも含めた4世代のドラマとして紡いでいく。
そして、彼女たちが関わる男たち。女たち。あるいは彼女たちに影響を与える人たち。さまざまな周囲の人間たちのドラマを内包しながら、2人の話は、すべての女性たちに向けて語られることとなる。これは極端なケースかもしれない。しかし、突き詰めていくと、こういうことになる。多かれ少なかれ、ここに描かれたようなドラマはすべての女性に心当たりがあるところだろう。14歳で出産をし、生まれた子どもを同時に取り上げられ、人生を見失った女。37年後、51歳になった彼女(アネット・ベニング)は母親の介護をしながら、暮らす。頑なな彼女の現在の姿は、その後の人生を想像させる。子どもとは一度も会うことも叶わず、死んだように生きてきた。娘(ナオミ・ワッツ)は弁護士になり、男に頼ることなく、自分のキャリアを大事にして、ひとりで生きていた。そんな2人のそれぞれの今が描かれていく。やがて、2つの物語は残酷な形でひとつになる。
主人公の2人は、あまりに極端で、見ていてこの頑なさはきつい。こんな女たちがいたなら、絶対につき合いたくない、と思わせるくらいに面倒くさい女たちである。しかし、その頑なさはギリギリまで追いつめられて、そこでなんとか自分を保って生きていくためには必要なものなのだ。安易に肯定するのではない。彼女たちの本気がしっかり伝わってくるから、それを否定するなんてできるわけがない。こうしていなくては、生きていけないからだ。男に頼ることなく、自分の足で立って生きるためには必要なことなのである。そんな強情な彼女たちをみつめて、支えようとする男たちもいる。とても立派な男たちだと思う。しかし、そんな男たちでさえ、彼女たちの苦悩の前では、たいしたことはない、と思わされる。
産む≪性≫と産まない≪性≫の差は大きい。どれだけのリスクを抱え込むことになるのか、は想像に難くない。というよりも、そんな想像なんか軽々超越する。これは男というつまらない存在が介在する余地のない女たちについての物語である。
映画は断片に近いような短いシーンを積み上げて見せる。そんな中から、2人を中心にした様々なドラマがたちあがってくる。別々に見えたすべてのピ-スはラストで見事にひとつに重なる。決して重なることのなかった彼女たちのそれぞれの生き方が、少しずつ胸に迫って来る。唐突なカタストロフも含めて、近頃こんなにも、感動させられた映画はない。大傑作である。
そして、彼女たちが関わる男たち。女たち。あるいは彼女たちに影響を与える人たち。さまざまな周囲の人間たちのドラマを内包しながら、2人の話は、すべての女性たちに向けて語られることとなる。これは極端なケースかもしれない。しかし、突き詰めていくと、こういうことになる。多かれ少なかれ、ここに描かれたようなドラマはすべての女性に心当たりがあるところだろう。14歳で出産をし、生まれた子どもを同時に取り上げられ、人生を見失った女。37年後、51歳になった彼女(アネット・ベニング)は母親の介護をしながら、暮らす。頑なな彼女の現在の姿は、その後の人生を想像させる。子どもとは一度も会うことも叶わず、死んだように生きてきた。娘(ナオミ・ワッツ)は弁護士になり、男に頼ることなく、自分のキャリアを大事にして、ひとりで生きていた。そんな2人のそれぞれの今が描かれていく。やがて、2つの物語は残酷な形でひとつになる。
主人公の2人は、あまりに極端で、見ていてこの頑なさはきつい。こんな女たちがいたなら、絶対につき合いたくない、と思わせるくらいに面倒くさい女たちである。しかし、その頑なさはギリギリまで追いつめられて、そこでなんとか自分を保って生きていくためには必要なものなのだ。安易に肯定するのではない。彼女たちの本気がしっかり伝わってくるから、それを否定するなんてできるわけがない。こうしていなくては、生きていけないからだ。男に頼ることなく、自分の足で立って生きるためには必要なことなのである。そんな強情な彼女たちをみつめて、支えようとする男たちもいる。とても立派な男たちだと思う。しかし、そんな男たちでさえ、彼女たちの苦悩の前では、たいしたことはない、と思わされる。
産む≪性≫と産まない≪性≫の差は大きい。どれだけのリスクを抱え込むことになるのか、は想像に難くない。というよりも、そんな想像なんか軽々超越する。これは男というつまらない存在が介在する余地のない女たちについての物語である。
映画は断片に近いような短いシーンを積み上げて見せる。そんな中から、2人を中心にした様々なドラマがたちあがってくる。別々に見えたすべてのピ-スはラストで見事にひとつに重なる。決して重なることのなかった彼女たちのそれぞれの生き方が、少しずつ胸に迫って来る。唐突なカタストロフも含めて、近頃こんなにも、感動させられた映画はない。大傑作である。