若手劇団を積極的に応援しようというウイングフィールドの姿勢を標榜する「若劇」企画による作品。これは清教学園高校演劇部OB,OGを中心にして旗揚げされた集団のデビュー作。先週の和歌山大学演劇部に続いて、今回も、始めて見る集団の芝居との対面にドキドキしながら、劇場に向かう。
実に拙い。内容も表現レベルも標準的な高校演劇のレベルでしかない。しかも、コンクールなら芝居は60分で終わるのに、これは90分ある。長い。テンポも悪い。あまりに長い間の取り方に、うんざりする。60分で十分描ける内容を90分に引き伸ばした感じ。途中から、退屈してきて、困った。
正直言うと、これではダメだ。描こうとする世界観があまりに陳腐。しかも、そこから紡がれるストーリーもありきたり。新鮮な発想は一切なし。終わらせ方も、ちょっとあんまりな悲惨さ。どうしてこんな作品を作ったのだろうか。主人公の愚かさに対して、作り手はどう思うのかが伝わりきらないのが最大の難点だ。彼の気持ちをヒロインがどう受け止めて、ふたりがどこに向かうのか。それこそが、この芝居で描くべきと事ではないか。なのに、それがこれでは一切描けていない。
正直言って、ここまで、かなりキツイ書き方になった。もっと優しく書ける。いつもなら、ここまでは書かない。でも、今回は書いてしまう。腹を立てているのではない。それくらいに、彼らの表現が幼すぎるからだ。だが、そんな幼さは嫌いではない。それどころか、他の誰かの影響ではなく、ただ、純粋に自分たちの芝居を作りたいという熱意がストレートに伝わってくるから、心地よいほどなのだ。だからこそ、僕も正直になれる。ぜひ、これで終わるのではなく(これは旗揚げ公演、なのだ)次回作では奮起して欲しい。