こんな小説をちゃんと子供たちに届けたい。彼らがこの本を通していろんなことを考えるきっかけになるといい。『在日』に対する認識や知識をきちんと得る。そこからさらにはさまざまな差別について考える。小学校から中学生くらいまでをターゲットにしていると思うけど、大人の僕が読んでも身に沁みてくる。
今は韓流ブーム以降、もう以前ほどは韓国に対する差別や偏見はなくなってきたみたいだが、まだまだこの国では根強い。北朝鮮に対するものは言わずもがなであろう。『朝鮮』は北朝鮮を指すと思っている若い子も多いみたいだ。
そんな時代だから、この小説の優しい語り口は身に沁みてくる。3つの話は13歳だった少女の詩集によってつながる。無邪気な差別から圧倒的な差別まで。特に前者が怖い。無意識のうちに差別をしている時、本人には何もわかっていないのは怖い。もちろん後者はあり得ない。
この小説は差別について丁寧に教えてくれる。つまらない正義感ではなく、確かな認識と優しさ。分かり合えることから始まり身近な存在になり、お互いに愛し合える。そんな時代になって欲しい。