あり得ないです。ヤクザが中学生とふたりでカラオケに行く。中学生から歌を教わるために。ヤクザは必ずしも音痴ではなく、もうノリノリで歌うんですが、何故かその中坊を気に入ってほぼストーカー状態。毎日のようにカラオケ行こ、と誘って連れ込む。まぁ怪しいことはしないけど、かなり怖い。さらには仲間のヤーさんもたくさん連れてきてレッスンを受ける。少年は仕方なく彼らに歌唱指導をする。
これはたぶんコメディだろうけど、本気。映画はマジになってふたりのカラオケを聴かせる。まぁひたすら歌うのは綾野剛で少年は最後まで歌わないけど。それだけにクライマックスの彼の熱唱は凄い迫力。
山下敦弘監督は相変わらずマイペースだ。こんな破天荒な映画なのに、至ってマジ。無理なく自然体でこの小さな破天荒映画をドライブする。ふざけない。誠実にゆっくりとしたタッチで綴られる。だからそんなバカな、と思いつつも受け入れられる。ふたりの熱い友情物語ではなく、なんとなく出会って気が合う。世代や生きる世界の違いを超えて自然に歩み寄る。(特に中学生)なんだか清々しい。