なんとこれでもう6作目になる。ずっとリアルタイムで刊行されたらすぐに読んでいる。この手の作品で飽きもせず、忘れずに毎回その都度読んできた小説なんて他にない。そういえば神戸遥真の『恋ポテ』シリーズも5冊とも刊行されたらすぐに読んできたけど、本作は6冊なのでこちらのほうが勝ち。(というか、勝ち負けではないけど)世の中にはこういうライトノベルでなら膨大なシリーズがあるようだが、僕はそういうのは一切読んでない。あまり興味がないし、他にすることがあるからだが、なぜかこのシリーズは読んできた。たまたま、である。偶然『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を手にして読んでしまったからだ。とてもいいな、と思い、この作者の本をもう少し読んでみようと思ったとき、この本の第1作がたまたま刊行されたところだったので読んでしまっただけ。
甘い少女漫画のようなラブストーリーで「これはなんだかなぁ、」という感想を抱いてけど、嫌いじゃない。そういうことでついつい毎回出るたびに読むことになった。嫌いじゃない、と書いたけど実は恥ずかしいけど(ちゃんと書いてあれば、だが)この手のお話も好きなのだ。でも、安易な定番は時間のムダだから読まないだけ。
今神戸遥真の『本日は、離婚日和です。』を読んでいるけど、彼がこういう大人を主人公にした小説も書くのか、と感心して手にしたのだが、これが初めての大人向けの作品ではなかったことを知る。メディアワークス文庫からすでに山盛り一応大人向けの作品をすでに書いているのか、と今さらながら驚く。本の巻末の宣伝ページを見てそれを知った。シリーズものでたくさんある。僕が知らなかっただけ。彼は児童書とYA向けの専門家なのかと思っていた。そんなの当たり前の話だが(気にもしてなかったけど、)世界は広い。ということで、神戸遥真と七月隆文はなんとなく僕の中では2人でセットって感じ。
さて、本作の話である。相変わらず読みやすいし、楽しい。主人公の美羽は今回もけなげで、かわいい。彼女には大好きなケーキを食べたいだけ、という大前提がある。イケメンの彼氏はおまけ。最初に恋愛ありきではなく、恋愛もあり、というそのスタンスがいい。
小説自体はさすがにマンネリ化してきているから、次回で完結編というのは悪くないだろう。今回の舞台はクリスマス。今は夏なのに、この時期にクリスマスの小説を刊行するのか、とあきれるが、雑誌ではなく単行本であるこの小説に「季節外れ!」と文句を言うのも「なんだかなぁ」だと思い直す。
反発しあいながらも実はなかよしというよくあるパターンを踏襲し、無事に恋人同士になったふたりのその後を描き、本来ならもうこれは後日譚の域に達しているのに、まだ続いている。でも、ふたりが高校3年生になり、美羽も自分の進路を明確にし、颯人は国際コンクールに無事出場、という展開で次回は最終回。これはこれで楽しみだ。