ある廃墟となったラブホテルの来歴を短編連作のスタイルで断片的に語る。主人公はそれぞれ全くの別人で、だが、彼らがそれぞれ、どこかでこのホテルとかかわる。時間軸も前後して、自由奔放。規則性なんかどこにもない。一応遡行する形にはなっているけど、あまり気にすることはない。これは独立した短編集として、味わうほうがいいかもしれない。いずれの話も、なんだか侘しい話ばかりで、疲れた男女が登場する。だが、そこにほんの少しの希望が描かれる。
1話目が廃墟になったここに忍び込んでヌード写真を撮影するカップルの話。最後は、ここにこのホテルを建てる前の話。間に挟まる5つの話は、順不同、語り手の関係性はまるでない。(わけでもないけど。)ホテルの廃業を決める2代目オーナーの話の後には、たまたまこのホテルを利用した夫婦の話が用意されたりする。(たぶん。)
だが、どのエピソードも、このホテルでなくてはならないものばかりで、タイトルの「ホテルローヤル」は、まさにこの小説のタイトルとして、これ以上のものはない、と思わせるほど、見事に嵌っている。さりげないけど、最高。ありきたりな出来事を、このラブホテルと絡ませて、それぞれのどうしようもないやるせいない思いとして語る。
もちろんいずれの話も男女の関係を中心に据えてあるのだが、いやらしい話というわけではないから、そういう期待はしないように。エロではなく、でも、男女の性的な交わりを核に置く。そうじゃなくては、この設定に意味がなくなる。そのへんのバランスの取り方が実にうまいのだ。
うまく関係を結べない。パートナーであっても元をただせば他人だ。ひとりひとりの二人が体を合わせる。でも、それでわかりあえるわけではない。でも、なんだか、わかりあえる時もある。求心性がある話ではない。だが、とても人間らしい。そんな作品集だった。
1話目が廃墟になったここに忍び込んでヌード写真を撮影するカップルの話。最後は、ここにこのホテルを建てる前の話。間に挟まる5つの話は、順不同、語り手の関係性はまるでない。(わけでもないけど。)ホテルの廃業を決める2代目オーナーの話の後には、たまたまこのホテルを利用した夫婦の話が用意されたりする。(たぶん。)
だが、どのエピソードも、このホテルでなくてはならないものばかりで、タイトルの「ホテルローヤル」は、まさにこの小説のタイトルとして、これ以上のものはない、と思わせるほど、見事に嵌っている。さりげないけど、最高。ありきたりな出来事を、このラブホテルと絡ませて、それぞれのどうしようもないやるせいない思いとして語る。
もちろんいずれの話も男女の関係を中心に据えてあるのだが、いやらしい話というわけではないから、そういう期待はしないように。エロではなく、でも、男女の性的な交わりを核に置く。そうじゃなくては、この設定に意味がなくなる。そのへんのバランスの取り方が実にうまいのだ。
うまく関係を結べない。パートナーであっても元をただせば他人だ。ひとりひとりの二人が体を合わせる。でも、それでわかりあえるわけではない。でも、なんだか、わかりあえる時もある。求心性がある話ではない。だが、とても人間らしい。そんな作品集だった。