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映画・演劇のレビュー

『幸せのキセキ』

2012-06-24 21:18:07 | 映画
 キャメロン・クロウ監督の新作。こういうハートウォーミングを作らせたなら、彼はとてもうまい。今回も、こんなにも嘘くさい話(でも、実話をモデルにしている!)なのに、乗せられてしまう。生きる希望をなくしてしまった家族が、再生していく物語なのだが、なんでそれが動物園?なの、と思わせる。でも、その意外性がこの作品にリアルを付与するのだから、なんか不思議だ。ありえない、を可能にしていくことで、このキセキ(それは「奇跡」であり、そこまでの「軌跡」でもある)を信じさせることとなるのだ。

 最愛の妻を失い、幼い2人の子供たちと共に、途方に暮れる男をマット・デイモンが演じる。彼は突撃インタビューで有名になったコラムニストなのだが、企画が受け入れられなくなって仕事を失う。この情けない男がなかなか様になっている。

 心機一転、引っ越し先に選んだ風光明媚な田舎の家には、なんと動物園がついていて、結果的にはそこの再建と経営を委ねられることとなる。ありえないような話だ。だいたいふつうの男が民営の動物園なんか運営できるはずもない。でも、これはメルヘンではなく、ちゃんとした実話なのだ。夢を実現させるのは底なしのお金が必要になる。受け身で出来ることではない。だいたいもともとは動物園が目標だったのではない。そんなこと、夢にも考えもしなかったのに、娘が喜ぶから、というそれだけの理由で、なんとなく、仕方なく始めて、とんでもないことを抱えることとなる。でも、簡単にはあきらめないで、がんばってしまう。

 おきまりのストーリー展開だが、安心して見ていられるし、最後にはちょっと涙。でも、なんかあまりに単純すぎて、こんなのでいいのかなぁ、とも思う。まぁ、たわいもないハートウォーミングなのだから、深く考えず自然に受け入れるのがいいだろう。いい話だ、ということにしておこう。


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