パゾリーニの68年作品が4Kリマスター版として復活した。50年以上前の映画を見るなんて久しぶりのことだ。しかもこの映画を見るのは初めてである。当時(多感だった10代、70年代の後半のこと)フェリーニやビスコンティは旧作も新作も見ていたがパゾリーニはあまり見ていない。パゾリーニやゴダールはあまり好きではなかったからだ。今回これを見たのも、たまたまである。有名な、でもあまり見る機会もなかったこの作品がAmazonから配信されていたから興味半分で見ることにした。
呆れるくらいに自分勝手な(よく言うと独創的な)映画だった。何がなんだか訳がわからない。つまらないわけではないけど、独りよがりの映画だ。大胆というよりただのわがまま。だがあの頃はこういう映画を有り難がっていた気もする。アントニオーニやアラン・レネの不条理な映画も好きだった。たぶん今見たならあまり好きではないかもしれない。この映画が少しつまらなかったように。
テレンス・スタンプ演じる青年にブルジョア一家の面々が翻弄されていく前半は何がなんだかわからないまま見入ってしまった。だが、いきなり彼が去っていき残された家族はそれぞれパニックに陥っていく過程は「なんだかなぁ」と思う。さらにわからないことはエスカレートしてラストの裸で荒野を彷徨う父の姿まで。あれでFINと出た時には、あっけに取られた。まぁいいけど。