シンプルな3人芝居だ。タイトルにあるように同郷同年の3人が、放射性廃棄物処理場誘致を巡って繰り広げるドラマである。シーンごとにどんどん状況が変わっていく。そこにある明確な時間の経過を経て、立場や状況が大きく変わっていくさまはドキドキするくらいにスリリングだ。
静かな対話劇なのだけど、彼らの関係性や、その変化から、彼らの態度、対応がどんどん前回とは違う展開をしていくさまは圧倒的である。いくつかの局面が時系列に描かれる。町内の誘致反対、賛成という問題から始まり、思いもしない展開を見せていく。
もちろん、そこに描かれることは原発誘致の時に起きたことと同じようなことで、人間は変わらないようだ。幼馴染の3人が、彼らの置かれた状況によって、どんどん変わっていく。暗転後一転して立場が変わる。そんな3人のドラマを演出の高橋さんは敢えて淡々と見せていく。彼らに寄り添うのではなく、3人から距離をおいて、冷静に見つめる。これは誰が正しいとか、間違っているとか、そんな問題ではないからだ。誰かに肩入れすることはない。感情的にもならない。
原発によって彼らの運命が劇的に変わった。ただ、その事実がこんなにも悲しい。人間は自分が置かれた状況の中でそれと向き合い生きていく。そんなあたりまえのことをこのお話は彼ら3人を通して描いていく。ただ、それが原発という問題だから、彼ら自身の個人的な話にはならない。原発なんかなければ彼らの暮らしも友情も損なわれることはなかったかもしれない。同じ年に同じ町で生まれ、一緒に育ち、大人になった3人がそれぞれの立場から、反目し、共同し、対立する。故郷にため、自分たちのために戦う。ほんとうならみんな同じ想いで、手を携えていたはずなのに、そうはならない。
そんな彼らを見守ることで、僕たちもまた、この問題にかかわることになる。これは他人ごとではない。ここから作者のくるみざわさんは「目をそらすな」というメッセージを呼びかける。真摯にそれを受け止め、自分の問題として考えることが大事だ。