いろいろ書きたい映画や芝居はあるのだが、まず今はこれから始めたい。
ついに『ヤマト』を見てきた。まだ封切りから5日目なのだが、見るならこれから、と思い劇場に足を運んだ。期待と不安が半々で、先日の『ゴースト もういちど抱きしめた』のような『スマスマ』レベルの隠し芸大会になっていたなら、どうしよう、と、予告編を見た時から本当はかなり不安の方が勝っていた。ただ、監督は山崎貴なのだから、そんな自爆行為はするはずがないと信じて、でも、やはりドキドキしながら、見た。だが、ヤマトが飛び立つシーンを見て胸が熱くなった。だから、大丈夫だと思った。
まず結果から書く。僕はこれを認める。きっと毀誉褒貶相半ばするだろう。まるでCGアニメのような軽さは予告編からも想像できた。コスチュームや、設定、音楽等々、オリジナルをそのまま踏襲した映画である。それは遙か昔、最初の劇場版『スタートレック』が公開された時のような失敗はしない、という作り手の覚悟だろう。国民的映画である。そこには目先だけの新機軸はいらない。堂々とオリジナルそのままを見せるべきだろう。それでいい。
大体、もともとのお話自体が、ある種噴飯ものである。今時特攻隊ではなかろう、と劇場公開された時から言われた。(最初のTV放送時なんか誰にも相手にもされなかったし)だが、映画は空前絶後の大ヒットとなり、凄いことになった。今から30年以上前のことだ。公開前から待ちきれない客が何百人も映画館に並んだ。今は亡き梅田東映パラスでは徹夜が出た。(新聞にその大騒ぎの模様の記事が載り、そこで掲載された写真には、友だちの姿が写っていた!)そんな時代だ。昔話はさておき、この穴だらけのお話を大予算を投じて完全映画化するというリスクはあまりに大きすぎた。何をどうしても誰も納得しないのではないか、と思うくらいだ。
だが、このスタッフはこの無謀な挑戦に対してひるむことなく取り組んだ。たくさんの問題があったが、そのすべてをクリアした。先に書いた失敗作『ゴースト』の佐藤嗣麻子が台本を手掛けた。実に的確な仕事である。この壮大なお話を、2時間18分というコンパクト(!)な長さにまとめた。膨大な話になるはずだった。あるいはただのダイジェストにしかならないか。だが、大事な部分を外すこともなく、しかも、だれることもなくよくまとめてある。
主人公の古代進を演じた木村拓哉がすばらしい。彼がこの作品に命を吹き込んだ。更には黒木メイサを初めとするキャスト陣がみんな適材適所で踏ん張ってくれたから、成功したのだと思う。一歩間違えばただのお笑いにしかならない。もちろん中途半端なビジュアルではだれも納得しない。VFXがかなりのレベルでなくてはならないのは必至だが、それだけではこれは成立しない。何より大切なのは、役者がこの世界に命を吹き込むことなのだ。困難を可能にしたのは彼らキャストの頑張りである。ただでさえ難しいアニメの実写化である。しかも、『ヤマト』である。コスプレになる心配もあった。そうさせなかっただけでも凄い事だと思う。
イスカンダル到着からラストまでの展開も上手い。どうしても単調になりがちな話を悠々たるタッチで見せながら、飽きさせないのは台本の上手さと演出の力だろう。もともとこの話には奇想天外なストーリー上の仕掛けはないのだから、ヤマトのイスカンダルへの旅はとても単調なものとなる。ガミラスが来て、倒して、旅して、またガミラスが来て、倒して、旅する。このワンパターンである。それをきちんと見せなければ「銀河の彼方イスカンダルへ遙々」旅するというイメージは伝えきれない、というジレンマがある。この映画はヤマト艦内でのクルーたちの日常スケッチを上手く織り込んでいくことで、そこをクリアしている。そして、イスカンダル(実はガミラス!)での戦いから、ラストまでを急ピッチで一気に見せるというバランスもいい。いろいろあるだろうけど、少なくとも僕は満足した。
ついに『ヤマト』を見てきた。まだ封切りから5日目なのだが、見るならこれから、と思い劇場に足を運んだ。期待と不安が半々で、先日の『ゴースト もういちど抱きしめた』のような『スマスマ』レベルの隠し芸大会になっていたなら、どうしよう、と、予告編を見た時から本当はかなり不安の方が勝っていた。ただ、監督は山崎貴なのだから、そんな自爆行為はするはずがないと信じて、でも、やはりドキドキしながら、見た。だが、ヤマトが飛び立つシーンを見て胸が熱くなった。だから、大丈夫だと思った。
まず結果から書く。僕はこれを認める。きっと毀誉褒貶相半ばするだろう。まるでCGアニメのような軽さは予告編からも想像できた。コスチュームや、設定、音楽等々、オリジナルをそのまま踏襲した映画である。それは遙か昔、最初の劇場版『スタートレック』が公開された時のような失敗はしない、という作り手の覚悟だろう。国民的映画である。そこには目先だけの新機軸はいらない。堂々とオリジナルそのままを見せるべきだろう。それでいい。
大体、もともとのお話自体が、ある種噴飯ものである。今時特攻隊ではなかろう、と劇場公開された時から言われた。(最初のTV放送時なんか誰にも相手にもされなかったし)だが、映画は空前絶後の大ヒットとなり、凄いことになった。今から30年以上前のことだ。公開前から待ちきれない客が何百人も映画館に並んだ。今は亡き梅田東映パラスでは徹夜が出た。(新聞にその大騒ぎの模様の記事が載り、そこで掲載された写真には、友だちの姿が写っていた!)そんな時代だ。昔話はさておき、この穴だらけのお話を大予算を投じて完全映画化するというリスクはあまりに大きすぎた。何をどうしても誰も納得しないのではないか、と思うくらいだ。
だが、このスタッフはこの無謀な挑戦に対してひるむことなく取り組んだ。たくさんの問題があったが、そのすべてをクリアした。先に書いた失敗作『ゴースト』の佐藤嗣麻子が台本を手掛けた。実に的確な仕事である。この壮大なお話を、2時間18分というコンパクト(!)な長さにまとめた。膨大な話になるはずだった。あるいはただのダイジェストにしかならないか。だが、大事な部分を外すこともなく、しかも、だれることもなくよくまとめてある。
主人公の古代進を演じた木村拓哉がすばらしい。彼がこの作品に命を吹き込んだ。更には黒木メイサを初めとするキャスト陣がみんな適材適所で踏ん張ってくれたから、成功したのだと思う。一歩間違えばただのお笑いにしかならない。もちろん中途半端なビジュアルではだれも納得しない。VFXがかなりのレベルでなくてはならないのは必至だが、それだけではこれは成立しない。何より大切なのは、役者がこの世界に命を吹き込むことなのだ。困難を可能にしたのは彼らキャストの頑張りである。ただでさえ難しいアニメの実写化である。しかも、『ヤマト』である。コスプレになる心配もあった。そうさせなかっただけでも凄い事だと思う。
イスカンダル到着からラストまでの展開も上手い。どうしても単調になりがちな話を悠々たるタッチで見せながら、飽きさせないのは台本の上手さと演出の力だろう。もともとこの話には奇想天外なストーリー上の仕掛けはないのだから、ヤマトのイスカンダルへの旅はとても単調なものとなる。ガミラスが来て、倒して、旅して、またガミラスが来て、倒して、旅する。このワンパターンである。それをきちんと見せなければ「銀河の彼方イスカンダルへ遙々」旅するというイメージは伝えきれない、というジレンマがある。この映画はヤマト艦内でのクルーたちの日常スケッチを上手く織り込んでいくことで、そこをクリアしている。そして、イスカンダル(実はガミラス!)での戦いから、ラストまでを急ピッチで一気に見せるというバランスもいい。いろいろあるだろうけど、少なくとも僕は満足した。
情熱が伝わったようで良かったです。
これからも忌憚の無い意見、よろしくお願いします。