よくもまぁこんな困難な作品に挑んだものだ。これは大東市の文化事業の一環として企画された作品で、虚空旅団の高橋恵さんが作、演出した今から450年前の戦国時代の河内におけるキリシタン大名たちの物語。
それを6人の女優たちが演じる。彼らの苦難のドラマをモノローグ、ナレーションを駆使した劇として構成していく。歴史に翻弄される彼らのドラマの断片をつなぎ合わせて数10年に及ぶ日々を90分で綴った。男である彼らを女性に演じさせるということがこの作品の大切なポイントで、そこに男優をまぜてはならない、というのも演出の意図だ。
女性だから表現できる大胆で繊細な彼らの姿は、混迷する時代を見据え、ここから先にどんな未来が待ち受けているかをみつめ続ける。時の権力者たちの現実的な打算に翻弄されながらも、動じることなくそこに信じるものとしてキリスト教をきちんと捉え、自分たちの手で未来を切り開いていこうとする。弱者の立場に立ち、迫害され、抑圧されてきた民衆に寄り添い、布教することで、純粋な心を持ち、戦い続ける彼らの群像劇をここに提示した。
ふだんの高橋恵さんの作品とは全く違うアプローチで、でも、彼女の中にある強い意志は一貫して変わらない。そんな作品に仕上がっている。