ここまで極端な映画はない。見ながら最初から最後まで唖然とした。驚愕と書いても大袈裟ではない。そんなありえない女が主人公だ。自閉症で鬱、ひきこもり、過眠症。躁鬱。周囲に対して攻撃的。
彼女を見守る優しさと悪意。でも、彼女にとってはそれはイコールなのかもれない。優しいも、悪意も変わらない。こんな彼女を3年間も面倒を見る恋人の存在も、彼女を彼から別れさせようと画策する彼の元カノも。そして、彼女のバイト先の人たちも。自分が嫌だけれど、自分からは逃げられない。「あなたは私からいつでも逃げられるからいいよね」と言われる。自分を変えたらいいじゃない、というような優等生の答えはいらない。それで上手くいくのなら最初から苦しまない。
これは強烈だ。久々に衝撃的な映画を見た、という感じ。最初から最後まで「どこまでやるのか、この映画は、」と思う。そのエスカレートが普通じゃない。ドキドキする。どこまでも過激にエスカレートは際限なく。見ていて笑うしかない、というのではない。ありえないのに、納得する。こんな女と関わりたくないけど、彼女の気持ちがイタいほどわかる。僕も彼女ほどではないけど鬱だ。自分もこんなふうになる可能性はあるから、笑えないし、泣けない。仲里依紗の元カノのビョーキも凄い。菅田将暉も病んでいるのだろう。ラストシーンの爽快感はそれもまた病的。この映画は実にやばい。感動と言うには少し違うけど、でも、こんな凄い映画はなかなかないだろう。