恒例の夏のリーディング公演。今年で8回目になる。今年も浴衣で時代物。だけど、同じようなものにはしない。毎回いろんな新しい挑戦をするのが、この企画の凄いところだ。千日亭が和の空間であることを生かす。畳の間、客席の近さ、結構広いアクティングエリア。大胆な動きと密な芝居。3つのお話のバリエーション。これはいろんな意味でとてもよく考えられた、そして、よく出来たリーディング芝居だ。
当日パンフに書かれてあるように「飛び出す立体紙芝居的リーデング」というネーミングがぴったりの作品で、まず、お話自体をしっかり伝えることを旨とする。物語の面白さ。そしてお話の重要なポイントになると、完全にお芝居になる。ここぞという見せ場は役者たちがテキストを離して渾身の熱演をみせる。演じきってくれる快感。演奏(闇色鍵盤)と照明、役者たちの立ち位置、動き、動線が見事に練られてあるから心地よい。
選ばれた3本の小説もとてもわかりやすく、納得の展開で、ハッとさせてラストではホッとする。落としどころが明確で、最初から安心して見られる。予定調和がこんなにも心地よいのは、定番ゆえの安心からか。いつものメンバーが織りなすアンサンブル。75分が夢のような時間だ。