このパターンが僕にはつらい。ここには意外性がないのだ。芝居自体を確かに上手い、とは思う。だけど、まるでお話に面白さがない。予定調和に終始する。だから、退屈なのだ。オチである招き猫も、途中でネタバレだから、驚かないし。
ここまでで3本を見たのだが、なぜかいずれも同じパターン。それはワンシチュエーションをどう生かし切れるか、への挑戦なのだが、なかなか難しいみたいだ。ウイングでの公演だから、というわけではないかもしれないけど、3団体とも限定された空間の狭さを生かそうとする作劇をしようとしている。そのアプローチはいいと思うけど、それが逃げにしかなってない。そこには逃げ場はないはずなのに。
夜の高校、トイレの中。そこにやってくる高校生とおばけたちのやりとり。忘れられていく存在である彼らが必死に自分たちの存在をアピールする涙ぐましい奮闘が描かれるコメディなのだが、そしてそれが最後には切なさへと繋がるはずなのだが、(確かにそうなのだけど、)最初にも書いたようにそれがただの予定調和にしかならない。切なさや喜びが伝わりきらないのがなんともつらい。