これはポール・ニューマンの映画だが、同時にスチュアート・ローゼンバーグ監督。懐かしい。後日、と言っても70年代の話だが彼はロバート・レッドフォードの『ブルベイカー』を監督した。あの映画はもうリアルタイムで見ている。60年代の映画はまだ子供だったから、リアルタイムでは見ていないし、名作と呼ばれた映画でもこの映画のように見逃したままだった作品も多い。初見だ。
なんだか悠々たるタッチで、2時間7分。今の映画ではありえない。同じように名作と呼ばれた脱獄もので、マックイーンの主演した73年作品『パピヨン』なんかと較べるとこれはテンポがとろくて見てられない。70年代から映画は大きく変化を遂げたのだ、ということがこれを見るとよくわかる。『イージーラーダー』『俺たちの明日はない』でスタートしたニューシネマとはまるで違う世界。
これはアメリカン・ニューシネマが登場する前夜の映画で、まだ今の映画につながる新しい映画が生まれる以前の作品だから、こんなものなのだろう。だから見ていて少し眠くなる。しかも脱獄を始める前のシーンは、なんだかほのぼのしていて、こんな刑務所なら合宿みたいで楽しいかも、なんて思う。
後半脱獄を繰り返すのだが、『パピヨン』のような激しさはない。タイトル通りクールだ。決してつまらない映画というわけではないけど、今の感覚で見るといささか退屈。それは先日『ハスラー』を見た時のも感じた感想と同じ。少し残念。