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映画・演劇のレビュー

売込隊ビーム『隙だらけが好きなだけ』

2008-11-03 09:58:30 | 演劇
 ほんとに久しぶりで売込隊ビームを見た。初期のシュールでグロテスクな笑いを搭載した核弾頭のような横山さんの芝居が大好きだった。『トバスアタマ』を見た時の衝撃は今も忘れられない。だが、回を重ねるごとにだんだん少しずつマイルドになっていき、気付くと全く毒気のない芝居になっていた。あぁ、これは僕が見る芝居ではないのだな、と思い始めて、それからは疎遠になったようだ。

 だから、ほんとうに久しぶりなのだ。今回の若手公演は、まるで初めて見る劇団の気分で見ることになった。だが、見終えて少し失望した。

 正直言って、相変わらず緩いタッチで、見ていて退屈した。取りあえずは、よく出来たコメディーの体はなしているが、ここにはなんら刺激を受ける要素がない。かっての横山さんの作品に必ずあった毒はどこを捜してもない。もし、これが今の売込隊ビームの芝居なのだとしたら、残念だが、やはりこれは僕のテリトリーではない。

 若手の役者たちは通り一遍の芝居でしかなく、なんら魅力はない。お話の方もシチュエーションコメディーとすらいえないくらいのお粗末なもので、森の中で迷子になってのドタバタだけ。時空すら超えての荒唐無稽も(まぁ、最後にはオチがつくが)それが何の方向性も示さない。1時間20分、ただ楽しければいい、というのならこれはこれで悪くないのかもしれないが、僕には物足りない。だいたいこの程度の娯楽ならわざわざ劇場まで足を運ばなくてもTVのバラエティーで充分見れるのではないか?(とはいえ、僕はTVのバラエティー番組を見たことがないから偉そうな事は言えないが)

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