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映画・演劇のレビュー

11月のDVD 『アンフィニッシュライフ』ほか

2007-12-01 10:59:12 | 映画
 宮崎あおいと西島秀俊主演の『海でのおはなし』という小さな映画を見た。ずっとスピッツを垂れ流しにした酷い映画で、あまりのつまらなさに泣いた。昨年この二人が共演した『好きだ、』という映画があったが、あんなふうな映画ならいいなんて思いレンタルしたのに、損した。

 お話の仕掛けが面白いと評判だった『ラッキーナンバー7』も見たが、この程度で大騒ぎするなんて、ほんとに面白い映画を知らない人が多いんだなぁ、とあきれた。まぁ、そこそこ面白いのでひっそりと、「よかったよ」なんて言うくらいで止めておいて欲しかった。

 ジェームズ・アイボリーがレイフ・ファインズ、真田広之を主演に迎えて30年代の上海を舞台に大人の酒場を作る話を見せた『上海の伯爵夫人』(この日本語タイトル嫌い)はいい映画だったが、あまりにレトロが過ぎて、ちょっと乗りきれなかった。ミステリアスな真田は思った以上に大役で、その期待にしっかり応える見事な演技を見せてくれる。

 少し期待してた『記憶の棘』も見たが、これはがっかりだった。生まれ変わりの話なのだが、オチは弱すぎるし、10歳の少年が40歳くらいの女性を虜にしてしまうという凄い話にリアリティーを持たすだけの力がない。思い込みと完璧な演技がありもしない幻想を作り上げてしまうというところまで、描けたなら美しい恋物語になったのに、残念だ。ショート・ヘアにしたニコール・キッドマンは難しい役に果敢に取り組んでいるのだが、演出が悪すぎる。

 『シティー・オブ・バイオレンス 相棒』も今までのリュ・スンワンの作品に較べるとあまりにパンチがなさ過ぎる。彼には早くあの『アラハン』を超える映画を作ってもらいたい。

 足立正生が約40年ぶりに撮った『幽閉者』も見たが、田口トモロヲの怪演が空回りしている。

 ラッセ・ハルストレムの『シッピング・ニュース』以来の待ちに待った新作『アンフィニッシュ・ライフ』も見た。期待が大き過ぎたのか、物足りない作品だった。こんなにも何も起きない話をハリウッドで映画にしていいのかとこちらが心配になるくらいにさりげない。ロバート・レッドフォード、モーガン・フリーマン、ジェニファー・ロペス主演という豪華な顔ぶれなのに日本では劇場未公開というのが、納得がいく出来だ。いい映画だとは思う。子供の目を通して大人と、その世界を見るというハルストレムらしい映画なのだが、息子を喪った父の痛みと、それが癒されていく過程が、あまりにおきまりに描かれすぎていて、インパクトに欠ける。風景はどこまでも美しく、とても優しい素敵な映画なのに、惜しい。

 11月は忙しすぎて、劇場に行けなかった分、DVDでそれなりに、映画を見たが、これまた時間がなくて、1本ずつ感想を書けなかった。これ以外にも何本か見ているが、それは、あまり書く気もしない作品なのでやめる。

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