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正直いってちょっと飽きてきた。豊島ミホの小説のワンパターンにである。どれも同じ。それぞれはとても切ない話で、胸に沁みてくるのだが、いくらよく出来ていても、またか、と思ってしまうのも正直なところだ。
大学生活を描いたことは、今までと少し違うけど、男の子を描いた部分はどうしても弱いし、女の子を描いた部分は、今までの高校生を描いた作品とあまり変わらない。6話からなるオムニバスというスタイルもいつもと同じ。但し話の中心を男の子に譲ったのはいいが、あまりリアリティーはない。最初の童貞メガネーズの誕生秘話から、ラストの10代でデビューした学生作家のその後を描くエピソードまで、「学生時代の終わり」という時間に力点が置かれている。
自分たちの夢の実現に向けて(そんなものがあれば、ということだが)あがいている男女の姿は今までの彼女の作品以上に生々しい。それはまだ自分が現実に体験した時間から、それほど距離がないからだろう。
フィクションとして組み立てるにはまだ生々しく、客観性を持ちきれない。しかもリアルという程ではなく(だいたいこういう話をリアルに見せたからと言って、いい作品になるという訳でもない)なんとなく中途半端に見える。
豊島さんの描く群像劇はピン・ポイントで痛みを切り取ることは出来るのだが、長い時間のなかで人がどう変わっていくかを見せることは出来ない。それは先に読んだ『リリイの籠』の項にも書いた。マンネリをどう打破して、新しい表現を獲得するか、課題は多くとても難しい。
この作品と前後して初期作品の『日傘のお兄さん』と近作『東京・地震・たんぽぽ』も読んだが、どちらも同じ印象だ。前者は彼女としては珍しく中編小説だが、これはただのお話でしかないレベル。後者は前半はいいが後半息切れしている。それにしても、彼女が長編を書くにはいつの日か。
大学生活を描いたことは、今までと少し違うけど、男の子を描いた部分はどうしても弱いし、女の子を描いた部分は、今までの高校生を描いた作品とあまり変わらない。6話からなるオムニバスというスタイルもいつもと同じ。但し話の中心を男の子に譲ったのはいいが、あまりリアリティーはない。最初の童貞メガネーズの誕生秘話から、ラストの10代でデビューした学生作家のその後を描くエピソードまで、「学生時代の終わり」という時間に力点が置かれている。
自分たちの夢の実現に向けて(そんなものがあれば、ということだが)あがいている男女の姿は今までの彼女の作品以上に生々しい。それはまだ自分が現実に体験した時間から、それほど距離がないからだろう。
フィクションとして組み立てるにはまだ生々しく、客観性を持ちきれない。しかもリアルという程ではなく(だいたいこういう話をリアルに見せたからと言って、いい作品になるという訳でもない)なんとなく中途半端に見える。
豊島さんの描く群像劇はピン・ポイントで痛みを切り取ることは出来るのだが、長い時間のなかで人がどう変わっていくかを見せることは出来ない。それは先に読んだ『リリイの籠』の項にも書いた。マンネリをどう打破して、新しい表現を獲得するか、課題は多くとても難しい。
この作品と前後して初期作品の『日傘のお兄さん』と近作『東京・地震・たんぽぽ』も読んだが、どちらも同じ印象だ。前者は彼女としては珍しく中編小説だが、これはただのお話でしかないレベル。後者は前半はいいが後半息切れしている。それにしても、彼女が長編を書くにはいつの日か。