こういうSFタッチのラブストーリーって「映画」は大好きなのできっとこれもすぐに映画化されることだろう。タイトルは完全にネタばれになっているから、安心して内容も書けるのだが、(でも、お話の仕掛けを楽しみたい人はこの先を読まないで欲しい。先にまず本を手に取り、読んでもらいたい。)別にストーリー紹介がしたいわけではない。
ただ、昔の大林映画が好きな人にはお勧めする。胸キュン作品なのだ。ラストはもう切なすぎて涙で読めない。そんな小説。でも、甘いお子様ランチは無理という人には勧めない。別々の時間を生きるふたりが偶然出会い、短い永遠を恋する。時空を超えたファンタジーだ。でも、荒唐無稽ではない。お話の設定だけが、ありえないけど、それ以外はすべて、納得がいくようなリアリティを持つ。だから、のめりこむ。20歳の男女が出会い、恋に落ち、離れ離れになる。運命を変えることは出来ないのか? 大林宣彦監督の『時をかける少女』を想起させる。
舞台となるのが京都で、ものすごく馴染みのある場所がどんどん登場する。主人公の実家が枚方の山田池で、京阪電車から、話がスタートする。デートの待ち合わせ場所は三条の駅のクネクネで、出町柳から叡山電車に乗るし。主人公の通う大学は精華大学で、(仮名になっているけど、誰にでもわかる)丹波橋に下宿していて、とか。
自分は毎日、京阪で枚方方面に通勤していて、京橋から急行に乗る。読書はいつも通勤電車だ。そんなこんなで、帰りの京阪の中からこの本を読み始めたから、おおっ、と思った。なんだか、あまりに身近過ぎて、感動した。お話の内容はもう書かない。必ず楽しめるはずだ。ドキドキして切なくて、胸いっぱいになること請け合い。