習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『モーテル』

2007-12-07 22:40:38 | 映画
 こんなオーソドックスなホラー映画が、なぜ今、劇場公開されたのだろうか。不思議でしょうがない。しかも、ホクテンザ系ではなく、ピカデリーでしっかり上映されたのである。もしかしたら、これは思いがけないくらいに凄い作品なのかも、なんて期待してしまったくらいだ。去年の『ホステル』ですら、ホクテンザである。ここには思いがけない何かがある、と勘ぐってもしかたあるまい。

 きっと何か凄いことが仕掛けられてある、そう信じて劇場に向かう。85分と言うタイトな上演時間にも期待が高まった。ガラガラの梅田ピカデリーで見ることになる。結果。これは、昔ながらのB級ホラーのつくり方である。ほんとうに安っぽいB級映画の作り方を踏襲している。そして、たいした映画ではない。まぁ、これも予想通り、かも知れない。ほんとはつまらないに違いない、と思っていたからだ。それでも、なんだか見てしまう。哀しい性だ。

 登場人物も前半はほぼ二人だけだ。とてもしょぼい。後半になっても二人を追い詰めていく3人くらいしか出てこない。しかも、彼らがなんだかマヌケで、絶体絶命の危機を二人はなんとか、切り抜けていく。映画は、この安モーテルからほとんど出ない。

 もしかしたら、後半に何か仕掛けが用意されてるのかも、という淡い期待を抱きながら見る。飽きずに見れてる、ということはそれなりによく出来ているということだ。(ほとんどの凡百ホラーは20分で飽きる)しかし、ラストまで、見て茫然となる。これって、結局ラストまで、よくあるただの安手のホラーでしかなかったのだ。何ひとつ、新しい手も加えていない。オーソドックスを絵に描いたような、クラシック・ホラー。それなりによく作ってあるから、腹は立たないが、別に見る必要なんて何もなかった。(やっぱり)

 「宿泊料はイノチ」という安っぽいコピーそのままの映画だったのだ。これって、きっと何かの間違いで劇場にかかってしまったのに、違いない。ほんとに驚いた。80年代に戻った気分だ。

 ただ、この確信犯的なアプローチは、今ホラーに必要なものが何かを教えてくれる。正攻法できちんと作ることの大切さを教えてくれるのだ。監督のニムロッド・アントールは今年カンヌでユース賞(どんな賞や?)を受賞したらしい。これが本格長編第1作らしい。ハリウッドの様々な制約から思う通りの映画が撮れなかったのか。それとも、なんらかの、意図があったのか。定かではない。

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