久々の文庫本だ。通勤途中で読むのは文庫のほうがいいのだけど、新刊を読みたいからあまり文庫は活用していなかった。だけどこれは文庫オリジナルだし、久々の通勤電車(この1年仕事をしていなかったので)なので、ついつい文庫に手を出した。
堀川アサコの前作(たぶん)『定年就活 働きものがゆく』は自分にとってはタイムリーだったし、なかなか面白かったので、なんとなくこれを読み始めたのだが、失敗だ。電車で細切れに読むには難しい。一気読みで読み流すほうがいい小説だった。しかも、あまり面白くないから、読んだところの内容もすぐ忘れるし。これはだめかな、と思い(僕にしてはめずらしく)途中でやめようか、とも思う。だけど、なんとなく途中から一気読みで終わらせた。
今日は眠くて集中力がなくなり、何度も居眠りする。お話自体がなんでもありの幻想小説で、それは鏡花のような集中力を強要するものではないから、甘えてしまう。だらだら読んでしまったけど、こんな小説だからそれはそれでちょうどよいのかもしれない。
つまらない、わけではない。だけど、どうでもいいようなお話でたわいもない。これでは暇つぶしにしかならない。彼女のこの「幻想」シリーズは好評で既に10冊ほど出版されているようだ。知らなかった。でも、第1作の『幻想郵便局』はちゃんと読んでいる。読んだという事だけは覚えていた。(内容は・・・)
今回の新作は、一応「探偵もの」だけど、謎解きにはならない。だってすべてが幻想でしかないのだから、謎は謎のままだ。一応お話の決着はつくのだけど、それはないでしょ、と思うくらいに、いいかげん。たわいもない。もちろん、わかっていてそういうふうに作っているのだから、文句ではない。落としどころも明確で、上手く収まりなんの不満もないけど、なんの満足感もない。この手の小説は時間のムダだからあまり読まないけど、でも、これはこれでたまには悪くはないな、とも思った。ほぼ同時に見た映画『スーサイド・スクワッド 極悪党集結』も同じような感じでバカバカしくて、つまらないけど、最後まで見てしまったら、それなりには楽しかった。でも、睡眠不足から途中で何度となく居眠りしてしまう。巻き戻すのは面倒なので、そのまま起きたとこから再び見て最後まで見た。
何度となく主人公の真理子さんが美人過ぎて、という描写が繰り返される。でも、彼女が間抜けで、『スーサイド・スクワッド』のヒロイン、マーゴット・ロビーとまるで違うのに二人のイメージが重なってしまった。1999年7月で廃園になった竜宮ルナパークとその後地に建てられた海原川団地。仕方なく巻き込まれた「たそがれ探偵(助手だけど)真理子さん」の冒険は、最終的には謎の教団「月華天地の会」の秘密を暴き、粉砕するのだけど、それが痛快ではなく、なんとも間抜けで、これはそこを楽しむしかない。そんな小説。やれやれ。