アスガー・ファハルディ監督の、この新作映画は、前作である『彼女が消えた浜辺』に続いて、今回もミステリータッチの作品で、この文芸映画っぽい日本語タイトルにはそぐわない。
イランの抱えるさまざまな問題が消え隠れするのも前回と同じだ。富裕層の夫婦と、生活に窮する夫婦の2組の男女と、それぞれの子供たち。2つの家族の現状がこのお話の背景にきちんと描かれるから、これは現代イラン社会の縮図にも見える。
深刻な映画だ。だが、とてもスリリングだ。だからスクリーンから目が離せない。ドキドキする。2転3転するストーリーはまめまぐるしい。最初はある夫婦の離婚問題、この家族の離婚調停の話から始まり、それが思いもかけない事件へとつながっていく。加害書と被害者という単純な図式にはならない。お話のおもしろさで引っ張っていくが、それだけではない。
最初はささやかな出来事だった。もちろん家族にとっては大問題だ。だが、それでもちゃんと元の鞘に納まるはずだった。なのに、事故から、話はどんどん大きくなり、収拾がつかなくなる。こんなはずではなかった。しかも、他人の夫婦を巻き込んで、どちらの家庭も破壊してしまうことになるなんて、思いもしない。
それぞれの家庭の、2人の子供が、思いもしない地獄を目にするさまは、痛ましいとしかいいようがない。少女が望んだことはただひとつ。両親が仲良くあって欲しかっただけだ。でも、ほんのちょっとした齟齬が傷口を広げてしまう。悪気なんか、ない。みんながそれぞれ家族のために、少しでも幸せしたい、なりたい、と願う。ただそれだけのことが、結果的にこんなことにつながる。
イランの抱えるさまざまな問題が消え隠れするのも前回と同じだ。富裕層の夫婦と、生活に窮する夫婦の2組の男女と、それぞれの子供たち。2つの家族の現状がこのお話の背景にきちんと描かれるから、これは現代イラン社会の縮図にも見える。
深刻な映画だ。だが、とてもスリリングだ。だからスクリーンから目が離せない。ドキドキする。2転3転するストーリーはまめまぐるしい。最初はある夫婦の離婚問題、この家族の離婚調停の話から始まり、それが思いもかけない事件へとつながっていく。加害書と被害者という単純な図式にはならない。お話のおもしろさで引っ張っていくが、それだけではない。
最初はささやかな出来事だった。もちろん家族にとっては大問題だ。だが、それでもちゃんと元の鞘に納まるはずだった。なのに、事故から、話はどんどん大きくなり、収拾がつかなくなる。こんなはずではなかった。しかも、他人の夫婦を巻き込んで、どちらの家庭も破壊してしまうことになるなんて、思いもしない。
それぞれの家庭の、2人の子供が、思いもしない地獄を目にするさまは、痛ましいとしかいいようがない。少女が望んだことはただひとつ。両親が仲良くあって欲しかっただけだ。でも、ほんのちょっとした齟齬が傷口を広げてしまう。悪気なんか、ない。みんながそれぞれ家族のために、少しでも幸せしたい、なりたい、と願う。ただそれだけのことが、結果的にこんなことにつながる。