なぜか、『余命1年のスタリオン』を読み終えてこの映画を思い出した。別に共通項はない。だが、今、どんな映画を作るのか、なんて考えてしまった時、ふとこの映画が頭をかすめた。あの小説の中で登場する『種馬の人生』という映画がヒットするはずはない、と思う。30代の女たらしの男が真実の愛に目覚める話なんか、今の時代に通用しない。もう少しマーケッティングとか考えて企画を立てるべきだ、と思った。あれでは小説としてのリアリティーがない。
これはこの夏に見た映画だ。見たときはたわいもない映画なので、忘れていたけど、今考えると、こういう映画がどんどんこれから量産される時代が来るのだなぁ、と改めて高齢化社会の到来を実感する。新藤兼人監督が『午後の遺言状』を撮った時代から、隔世の感がある。これからの映画業界のターゲットは60代以上の観客(映画の魅力を若い事に実感している世代)だ。彼らが心地よく見れる映画が望まれる。しかも、映画を見た後、元気になれたなら最高だ。それがお年寄りだけでなく、若い世代にも共感できたなら、さらに最高だろう。この夏宮崎駿監督の『風立ちぬ』がアニメーション映画なのに、老人を大量に動員した。すごいことだ。
そんな陰に隠れて、この映画も公開された。結婚して31年目の夫婦をトミー・リー・ジョーンズとメリル・ストリープが演じる。なんだか少し年を行き過ぎている。60歳前後という設定なのか。それにしては、ジョーンズなんか枯れ過ぎ。では、実年齢の60代後半なのか。そうすると、話に破綻が生じる。
監督は僕と同じ年である『プラダを着た悪魔』のデビッド・フランケル監督。これはまだ50代前半の彼が、60代半ばの夫婦を描いたのだが、コメディータッチとはいえ、少しリアリティーがなさすぎないか。大体、結婚「31年目」という時間設定なら、僕も後2年でそうなる。それだから、この映画が描く内容には興味シンシンだったのだ。それだけに、見た後の失望は大きかった。
もう夫婦間のセックスはない。でも、それで満たされている、と夫は思った。だが、妻はそうではなかった。もう一度あなたと一緒に人生の輝きを取り戻したい、という彼女の願いはよくわかるのだが、それがセックスをすること、というのは、なんだか違う気がした。それはそれでありだが、それだけではない、もっと大事な「何か」がある。そのことも含めてリアリティーのある描き方が欲しかったのだ。見た後、すごくがっかりした。しかも60前後と60代後半は違う。微妙だけど、そこをちゃんと描かなくてはリアルじゃない。
つまらなかった。だから、このブログで取り上げるのを忘れていたのだが、主役の2人をもっと若々しい男女でキャスティングしたなら、これでもありだったのではないか、と今では思う。31年目のセックスレスを前面に押し出したいのなら、(それって監督の問題ではないか?)あのキャストでは無理。
もしキャストが優先するのなら、この映画はあのふたりが納得するような話を作るべきだった。60代の後半になって30年以上一緒に過ごして、幸せなのに、なんだか寂しい。そんなふたりがもう一度、若いころのようなときめきを感じるシチュエーションを作り上げることで、この映画を見に来た熟年カップルたちを幸せに出来たならよかった。夫婦げんかは犬も食わないというけど、そんなふたりのラブストーリーが出来たなら、今の時代ならきっと大ヒットするのではないか。
要するにどこをターゲットにするか、だ。それ実には難しい問題だ。だが、そこをおざなりにしたなら、映画はつまらなくなる。出来ることなら、これはロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープ主演で撮って貰いたかった。『恋に落ちて』の31年後の話として、コメディーではなく、シリアスで作ったなら、きっと凄い映画が出来て空前の大ヒットになるかもしれない。
これはこの夏に見た映画だ。見たときはたわいもない映画なので、忘れていたけど、今考えると、こういう映画がどんどんこれから量産される時代が来るのだなぁ、と改めて高齢化社会の到来を実感する。新藤兼人監督が『午後の遺言状』を撮った時代から、隔世の感がある。これからの映画業界のターゲットは60代以上の観客(映画の魅力を若い事に実感している世代)だ。彼らが心地よく見れる映画が望まれる。しかも、映画を見た後、元気になれたなら最高だ。それがお年寄りだけでなく、若い世代にも共感できたなら、さらに最高だろう。この夏宮崎駿監督の『風立ちぬ』がアニメーション映画なのに、老人を大量に動員した。すごいことだ。
そんな陰に隠れて、この映画も公開された。結婚して31年目の夫婦をトミー・リー・ジョーンズとメリル・ストリープが演じる。なんだか少し年を行き過ぎている。60歳前後という設定なのか。それにしては、ジョーンズなんか枯れ過ぎ。では、実年齢の60代後半なのか。そうすると、話に破綻が生じる。
監督は僕と同じ年である『プラダを着た悪魔』のデビッド・フランケル監督。これはまだ50代前半の彼が、60代半ばの夫婦を描いたのだが、コメディータッチとはいえ、少しリアリティーがなさすぎないか。大体、結婚「31年目」という時間設定なら、僕も後2年でそうなる。それだから、この映画が描く内容には興味シンシンだったのだ。それだけに、見た後の失望は大きかった。
もう夫婦間のセックスはない。でも、それで満たされている、と夫は思った。だが、妻はそうではなかった。もう一度あなたと一緒に人生の輝きを取り戻したい、という彼女の願いはよくわかるのだが、それがセックスをすること、というのは、なんだか違う気がした。それはそれでありだが、それだけではない、もっと大事な「何か」がある。そのことも含めてリアリティーのある描き方が欲しかったのだ。見た後、すごくがっかりした。しかも60前後と60代後半は違う。微妙だけど、そこをちゃんと描かなくてはリアルじゃない。
つまらなかった。だから、このブログで取り上げるのを忘れていたのだが、主役の2人をもっと若々しい男女でキャスティングしたなら、これでもありだったのではないか、と今では思う。31年目のセックスレスを前面に押し出したいのなら、(それって監督の問題ではないか?)あのキャストでは無理。
もしキャストが優先するのなら、この映画はあのふたりが納得するような話を作るべきだった。60代の後半になって30年以上一緒に過ごして、幸せなのに、なんだか寂しい。そんなふたりがもう一度、若いころのようなときめきを感じるシチュエーションを作り上げることで、この映画を見に来た熟年カップルたちを幸せに出来たならよかった。夫婦げんかは犬も食わないというけど、そんなふたりのラブストーリーが出来たなら、今の時代ならきっと大ヒットするのではないか。
要するにどこをターゲットにするか、だ。それ実には難しい問題だ。だが、そこをおざなりにしたなら、映画はつまらなくなる。出来ることなら、これはロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープ主演で撮って貰いたかった。『恋に落ちて』の31年後の話として、コメディーではなく、シリアスで作ったなら、きっと凄い映画が出来て空前の大ヒットになるかもしれない。