こんな小説がある。まさかのおしゃべりだけで続く、それだけで終わる。無意味すぎる会話劇。4人の中学生がたわいないことをダラダラしゃべっているのを生配信。ポッドキャストという手段で世界とつながる。
全校生徒がたった4人しかいない中学で暮らす彼女たち。(生徒はみんな女の子)そんな配信を毎回チェックして保存する引きこもりの男の子。配信される彼女たちの放送とそれを聞いた彼の感想が交互に描かれていく。そこにはストーリーや小説としての展開はない。ただダラダラとしたおしゃべりが続くだけである。それが小説だと言えるのかはなんだか微妙だなと思いながら、とりあえず読む。しかもなんと横書き。だから左から始まる。読みにくいけど、我慢して読む。つくづく思う。日本語は縦書き。右から左。
さて、内容だが、視聴者からのお便りがあったり、お話がかなりマジなテーマ(イジメの問題とか)になったりと新しい展開もある。だけどあくまでもそれがテーマではない。これは彼女たちのとりとめのないおしゃべり自体が大きなテーマである。だけどその先に何があるのかは気になる。エアチェックする男の子も同様だろう。やがて夏休み限定なのか、と彼は不安になる。夏がもうすぐ終わる。
彼女たちはこれを夏の間だけで終わらないことにする。誰かとつながって、何かが伝わっていくことが快感になる。そこがこの作品のテーマだね。